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「君の名残を」浅倉卓弥

2019年03月15日 21時33分27秒 | 読書(歴史/時代)


「君の名残を」浅倉卓弥

タイムトラベルもの。
平安末期、源平の争いの時代にタイムスリップする。
普通、この手の話は、少し軽めになる。
なぜなら、タイムトラベラーは過去に介入できないから。
どんな小さな事でも「バタフライ効果」の影響があるから。
「パラドックス」の問題もある。
しかし、本書ではそれを逆手にとっている。
結果として、針は振り切り、レッドゾーン突入。
非情にシリアスな展開と内容になっている。

比叡山と延暦寺について
P351
 山並みの中でも一際高く聳える比叡は当時は人も通わぬ深山で、樹々は鬱蒼と茂り真昼でも魍魎の跋扈しそうな風情であった。
 邪気悪霊の類は鬼門の方位から出入りする。そこに鬼の棲み家があれば、いずれ禍の元となるのは必至である。桓武帝も一時は遷都を断念しかけた。
 ところがそこに一つの報告が届いた。最澄なる僧が単身この山に籠り修行を続けているというのである。
 ならばこの男に命じ比叡に寺を開かせよう。これを以て鬼門の守りとすれば新都は長く栄えるに違いない。

【ネット上の紹介】
その日、彼らの時は歪んだ。目覚めるとそこは戦乱の前夜だった―。激動の平安末期を舞台に壮大なスケールで描く衝撃と慟哭の絵巻ここに登場。