「はるか遠く、彼方の君へ」安澄加奈
「君の名残を」に引き続き、これもタイムトラベルもの。
源平の争いが時代背景なのも同じ。
でも、雰囲気は全く違う。
こちらは、歴史小説+青春小説で、
あくまでも、現代人の視点から物語が語られる。
エンタメ度も、こちらの方が高い。
P161
「那須与一だったの!」
「……なにが?」
「宗高さん。さっき遠矢くんに教えてもらったんだけど、あの人の本名、那須与一宗高だって」
壇ノ浦のシーン
P429
女たちは何事かを唱えながら、舟の縁に立ったかと思うと、次々と海へ飛び込んでいった。
(読んでいて、太平洋戦争の「玉砕」を思い浮かべた。「平家物語」って日本人の情緒に大きな影響を与えた。敵の手に落ちずに入水自殺するって、この時から?読んでいて、こんな事を感じたんだけど、これって既に、誰か論じてる?)
(さらに、明治維新の際に「尊皇攘夷」が「尊皇開国」にすり替わった。消えた「攘夷」が太平洋戦争で「鬼畜米英」となって現れた、と。これは何かで、この通りじゃないけど、そんな雰囲気のことを読んだ気がする。明治維新ではいくつか疑問点があるんだけど、いずれ機会があったら書こうと思う)
【ネット上の紹介】
京都への修学旅行中の高校生・夕鷹は、博物館で古い剣を目にして気を失い、気が付くと炎があがる知らない土地にいた。武士に襲われたところを助けてくれた男は、源九郎義経と名乗る。ほかにも同時にタイムスリップしたらしい2人の高校生、華月、遠矢と出会い、夕鷹たちは「平家物語」の記憶をたどりながら、元の世界に戻るために、神器の剣を探す。焦燥や葛藤、恋と別離。ラストには感動が押し寄せるロングストーリー!感動のタイムスリップ青春小説。