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「射精道」今井伸

2022年10月12日 07時46分53秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「射精道」今井伸

著者は、島根大学医学部臨床教授、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本性科学会幹事、同会認定セックス・セラピスト、日本思春期学会理事。

中学・高校の性教育のテキストにすべき良書、と思う。
教育関係の方にぜひ読んでほしい。そして学生諸君に薦めてほしい。

P46
オナニーによる射精は、野球でいえば素振りです。うまくバットコントロールできなければ、ヒットを打てないように、陰茎をうまく刺激したり、コントロールできなければ、気持ちのよい射精はできません。

P60
オナニーは1日に何回してもかまいません。ひと昔前には「やり過ぎると頭が悪くなる」などと言われたことがありましたが、これはなんの根拠もない間違いです。

P67
「性は摩擦と空想から構成されている」(by H・S・カプラン)

P73
和姦を以て貴しとなす

P75
(誤)「イヤよイヤよも好きのうち」
(正)「イヤよイヤよはマジでイヤ!」(by 櫻井裕子)

P83
コミュニケーションのないセックスは、豪華なオナニーにすぎません。

P86
カウパー腺液とは、精子を守る役割を持つ分泌液です。精子は尿道から射出されますが、普段は尿が通る場所であり、尿は酸性であることが多いことから、尿道は酸性に傾いています。ところが、精子は酸に弱い性質があるため、先にカウパー腺液を分泌して尿道を弱アルカリ性に整え、精子を守る準備をしているのです。

P88
厚生労働省の調査によると、実際には2019年に、クラミジア2万7221人、性器ヘルペス9413人、尖圭コンジローマ6263人、淋病感染症8205人、梅毒6642人と、合計5万7744人の性感染症患者がいることが分かっています。

P118
貝原益軒が記した『養生訓』の一説のように「接して漏らさず」ではダメです。

P139
日本人の年間の性交の回数は45回、およそ8日に1回であり、調査対象となった41カ国中、最低でした。(中略)
一方、性交回数の世界平均は、年に103回とおよそ週2回という結果でした。(2005年、英国コンドームメーカーDurex社「グローバルセックス、サーベイ」)

日本の調査「結婚している(または交際相手がいる)人のセックスの頻度」
P139
1ヶ月のセックスの平均回数は、20代が4.11回とおよそ週1回、30代が2.66回と11日に1回という結果でした。(2013年、コンドームメーカー相模ゴム、調査)

妊活での注意
P146
精巣は熱に弱い性質があるため、サウナや長風呂もできるだけ控えたほうが無難です。(中略)下着は風通しがよく、熱がこもりにくいトランクスがよいでしょう。(中略)
長時間の自転車走行も、できるだけ避けましょう。サドルの刺激で男性器付近の血流が悪くなりやすく、EDの原因となったり、精子の濃度や運動率の低下など、精子に悪影響を与えてしまいます。実際に、自転車のよく乗る男性のED発症率が高いという報告もあります。さらに、育毛剤にも注意が必要です。

P231
旧約聖書「創世記」38章「オナンの罪」
ユダには、長男のエル、次男のオナン、三男のシェラという三人の息子がいました。ある時、長男のエルが死んでしまいます。子孫を残すために、次男オナンは、父親であるユダから、残された兄の妻タマルを娶り、子をなすことを命じられます。
 しかし、オナンはそれに背き、タマルと関係を持つたびに膣外射精で精液を地に漏らし続けたことから「オナニー(正確には膣外射精)という大罪を犯した」として、神に罰せられたという内容です。

P256
日本人の場合は70代の71%以上が、中度から完全なEDになることが分かっています。

【感想】
先日読んだ「新しいセックス」より、ずっと内容は濃い。
まず本書を読んでみて。お薦めです。

【ネット上の紹介】
陰茎は、その機能をできる限り引き出し維持するためには、正しい扱い方を体得することが必要だ。また、パートナーの心身を傷つける凶器としないためにも、道徳と品格、相手を思いやる礼儀を養った上で使えるようにすることも重要である。しかし現代の性教育では、重要なポイントにはほとんど触れず、青年期の誤った扱い方による射精障害や勃起障害も増加している。また性行為の前に絶対に必要な心の育成も欠落している。本書では、性機能と生殖医療の専門医が、それぞれの年代での性生活・射精生活の心構え、現れやすい問題と対策を解説。思春期から中高年までの各年代を読み通すことで、医学的に正しい陰茎の扱い方や、生涯にわたり性機能を維持する方法を知る。
第1章 なぜ今、「射精道」が必要なのか
第2章 射精道―思春期編
第3章 射精道―青年期編
第4章 射精道―妊活編
第5章 射精道―中高年編
第6章 射精道―射精障害克服編
第7章 性教育の黒歴史とオナニー受難の日々
第8章 医学的に正しい陰茎のメンテナンス―包茎から病気の見分け方まで
第9章 女性と射精道―射精道は男子だけのものにあらず