東京国立博物館平成館の特別展「写楽」を見に行ってきた。フィンセント・ファン・ゴッホ
などのフランス印象派に多大な影響を与えている浮世絵版画ではあるが、思っていたよりも
実物は小さくて、なおかつ色褪せていた。筆致は漫画そのもので、確かによく目にする
大首絵などはそのデフォルメ感に迫力があってよかったけれど、全身絵あたりになると
同時代の歌川豊国や勝川春英とどのような違いがあるのか分からなかった。個人的には
葛飾北斎の方が好きなのだけれど、今回浮世絵版画を見て気がついたことは、版画で
あるのだから、色褪せているだけでなくて剃り方を変えたりもしており、要するに“正解”が
無いということである。浮世絵は印象派の元になっただけではなく、アンディ・ウォーホル
などのモダンアートの元祖でもあったことになる。