メランコリア
2011年/デンマーク=スウェーデン ほか
映像美の行き着く先
総合 80点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
本作は2部構成で、パート1が「ジャスティン」、パート2が「クレア」とされている。パート1では姉のクレアの豪華な邸宅で妹のジャスティンの結婚式が行われるのであるが、ジャスティンと婚約者のマイケルが遅刻してしまう辺りから既に怪しい雰囲気が漂い、ジャスティンの悪態でもって会社の昇進も結婚そのものも御破算となってしまうのであるが、それは惑星メランコリアの接近によるジャスティンの精神不安というよりも、ジャスティンがガラスビンに入れた豆の数を正確に言い当てたところから判断するならば、メランコリアが地球に衝突することが分かっていたために、敢えて全ての人間関係を清算したと見倣すべきであろう。実際に、パート2で人生を諦めたジャスティンとは対照的に、夫のジョンや息子のレオなど守るべきものを持つクレアは完全に取り乱すことになる。メランコリアの接近を確かめるために、クレアが使う丸めた針金や、最後にメランコリアから身を守ろうとするために、ジャスティンとクレアとレオの3人で入る木の枝の‘テント’など、真面目にふざけているところは見ていて面白いし、いまさらハリウッドではこのようには撮れないと思う。
冒頭の8分間とラストシーンの細密な映像と、空撮を除く、その間に挟まれたハンディカメラによるラフな映像のコントラストの意図がよく分らない。冒頭の8分間の映像はその後の映像の‘ダイジェスト版’であり、ラース・フォン・トリアー監督の「同じものをどのようにでも撮れる」というアピールにも見えるが、活劇を生み出すものはその間にあるはずの‘ショット’だと思う。ハンディカメラのぶれる映像は確かに人々の不安を表現するには適した方法ではあるが、いかんせん長過ぎて見ていて疲れる。
冒頭の8分間の映像の中にはピーテル・ブリューゲルの「雪の中の狩人」が紛れ込んでおり、『ブリューゲルの動く絵』(レヒ・マジュースキー監督 2011年)を観たばかりで、精密な映像を作ろうとするとブリューゲルの絵画に行き着くという事実から、改めてブリューゲルの偉大さに驚かされた次第である。
AKB快挙!6作連続ミリオン(日刊スポーツ) - goo ニュース
AKB48の25枚目のシングル「GIVE ME FIVE!」のミュージックビデオは『北の国から』
などのテレビドラマを手掛けた演出家、映画監督の杉田成道で、3日間で撮影されたものの
かなり手の込んだものだった。定時制高校に通うAKB48のメンバーたちがバンドを組んで
卒業式で新曲を披露するまでの過程が描かれているのであるが、陣内孝則が扮する担任
の教師が柴田翔の小説「されど われらが日々」を引用しながら“困難”をキーワードに、
60年代学生運動と東日本大震災を繋げるという、意外とかなり重いテーマを扱っている。
さすがにいくら弟という設定であっても、前田敦子が演じる主人公が卒業式に呼び出した、
青森に住む弟を最後まで登場させない演出はファン心理を的確に捉えていると感心した。