アニマル・キングダム
2010年/オーストラリア
‘最高権威’の‘恐怖政治’
総合
90点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
作品冒頭で、ヘロインの過剰摂取で既に亡くなっている母親の隣でソファに座ったままテレビのクイズ番組をぼっと見ている主人公の17歳のジョシュア・コディと同じように、観客はその後、確かに殺人などを目撃することにはなるのであるが、何が起こっているのか正確には分らないままぼっとスクリーンを観続けることになる。
ようやく物語のとっかかりを掴めるようになる場面は、後半にジョシュアが証人保護プログラムの元に置かれた時である。「Police」と書かれた防弾チョッキを着ているにも関わらず、ジョシュアを警護していた警察官たちは急にやって来た警察官たちを見て、何故か拳銃を床に置いて‘降参’してしまう。もちろんジャニーンがジョシュアの口封じのために送り込んだ警察官たちではあるが、同じ警官同士でありながら話し合うことが出来ない状況にあると見倣すならば、問題はギャングにしろ警察にしろ敵と味方の区別がつかないところなのである。
そうなると最初の事件の発端となったバリー・ブラウン(=バズ)が突然警官に射殺された原因もバリーがアンドリュー・コディ(=ポープ)に足を洗うと言い出したことで、裏切り者としてポープが仕組んだ罠のように思える。警察に殺されたのだからポープとしては復讐と称して警官を殺すことが出来るために、一石二鳥なのである。捜査官のネイサン・レッキーがジョシュアを保護して犯罪の確証を得て法廷で全てを明るみにしようとしているのを余所に、クレイグ・コディも警官に殺され、状況はますます混沌としてくる。
そしてガールフレンドのニッキーが殺されたことを知ったジョシュアは捜査官のレッキーに協力することになるのであるが、前述したように危うく警察官に殺されかける。
結局、このままでは生き残れないことを悟ったジョシュアはポープとダレンに有利になるような証言をすることで、2人は保釈されるのであるが、それが意味することはポープに寝返ったということではないことはラストシーンで明らかになる。
一見するならばギャング団を仕切っていたのはジャニーンのように思えるが、ジャニーンは三男のダレンが可愛かっただけで、ダレンが救えるならば何でもしたにすぎず、‘最高権威(=Pope)’による‘恐怖政治’をジョシュアが引き継ぐのかどうか不安を抱きながらのラストの抱擁が強い印象を残す。
「マドモワゼル」は使わないで=既婚・未婚の差別撤廃―仏公文書(時事通信) - goo ニュース
英語の「Miss(ミス)」や「Mrs.(ミセス)」が婚姻の有無で区別することから女性差別として
「Ms.(ミズ)」という語感としては明らかに美しくないものに変えられてしまったのは1970年
代辺りのウーマンリブ運動を端に発していると思う。だいたい“圧力”でもって変えられて
しまうものに碌なものはないのであるが、まさか男性名詞や女性名詞を持つフランスまで
女性団体の圧力でもって、公文書に限るのであろうが、未婚女性に付ける敬称で、響きの
可愛い「マドモワゼル」をできるだけ用いないよう指示する通達を出したことは残念に思う。
フランスであるならば、アメリカ文化に対抗するように、「マドモワゼル」を廃止するのでは
なくて未婚男性に付ける敬称を新たに作って欲しかった。文化とは生み出すものだと思う。