現在、Bunkamuraザ・ミュージアムにおいて「デュフィ展」が催されている。
ラウル・デュフィ(Raoul Dufy)は19世紀末から20世紀前半に活躍したフランスの画家で、
フォーヴィスムに分類されるらしいのであるが、本展の作品を観る限り、デュフィは
遠近法を理解していないようで、だから風景画はともかく室内画になるとそのことを
ごまかすかのように、窓や戸が開け放つか、あるいは自身の他の作品を描きこんでいる。
ファッション・デザイナーのポール・ポワレと仕事をしていることも重要で、その結果、
線が細いタッチがアンディ・ウォーホルに似て、よりポップなものになっている。
不思議なもので、遠近法を身につけていないバルテュスやデュフィの作品が残っている
ことは皮肉であるが、「馬に乗ったケスラー一家(The Kessler Family on Horseback )」
(1932年)はそれを逆手にとった浮遊感を持つ傑作である。