原題:『好きっていいなよ。』
監督:日向朝子
脚本:日向朝子
撮影:月永雄太
出演:川口春奈/福士蒼汰/市川知宏/足立梨花/永瀬匡/西崎莉麻/山本涼介/八木アリサ
2014年/日本
黒沢大和の恋愛観について
例えば、主人公の橘めいが携帯電話の番号が書かれた紙を黒沢大和から受け取った際に、制服の右ポケットに入れたはずなのであるが、渋谷行のバス停でバスを待っている間にめいがその紙を左ポケットから取り出したという些細なことを論うつもりはないとしても、黒沢と武藤愛子の関係については黒沢の恋愛観を語る上で避けて通れない問題であろう。
現在、武藤は立川雅司と付き合っている。立川は太っている武藤も痩せている武藤も知っている唯一の男であると語っているところから勘案しても、黒沢は痩せている武藤しか知らないのである。ところで武藤は黒沢に好かれるために二ヵ月で15キロダイエットしたと語る。黒沢と武藤とは既に肉体関係があり、当然、ダイエットした後に関係を持ったはずである。ところが無理なダイエットがたたって、武藤は腹部に治らない傷(セルライト?)をつくってしまうのであるが、黒沢は武藤と別れてしまうのである。
別れることになった原因が語られていないので、腹部の傷以外にも原因は考えられるのではあるが、このような過去を持つ黒沢がめいとハッピーエンドを迎えるとしても、若い娘たちならば気にならないのかもしれないが、若くない娘は気になるのである。
川口春奈には橘めい役は荷が重すぎると感じたが、終始抑えた語り口には好感が持てる。