原題:『友達』 英題:『Friendship』
監督:遠藤幹大
脚本:遠藤幹大/岡田寛司
撮影:清水絵里加
出演:山本剛史/松本花奈/大庭裕介
2013年/日本
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014)
役者になりきれない男の末路について
主人公の島田は35歳になるが、いまだに芽が出ない俳優である。芽が出ない理由として実力はあっても運が無いという人もいるが、例えば、島田は怪我をした友人の代役として演じた原始人の役を上手くこなせない。島田にはどこか役になり切れない自我を抱えているように見え、むしろ先輩の福地がさらなるキャリアアップを目指してハリウッドに行った「振り」をしたり、息子がオーディションに受かったと思っている「振り」をしている島田の母親や、島田が素に戻って注意しても止めずにテロリスト役に徹する女子高生のミオの方が立派な「役者」なのである。
ミオにテロリストの役を与えられた島田は、実際にミオが指定した女性に血糊が入った水風船をぶつける。彼女はミオの実父の再婚相手だった。警察に捕まった島田は、懲りて俳優を止めるというのであるが、テロリスト役なのだから捕まることは覚悟していなければならないはずで、そこが島田の甘さなのである。
ところがラストは驚くべき展開になる。学校の隅でタバコを吸っているミオは校舎から出てきた2人の友人の目の前に学校の屋上から2つの水風船が落とされるところを目撃する。「役」になりきれなかった島田は「本物」のテロリストになったのである。『アンナと過ごした4日間』(イエジー・スコリモフスキ監督 2008年)を彷彿させる素晴らしいラストショットだと思う。