原題:『Azul Y No Tan Rosa』 英題:『Blue and Not So Pink』
監督:ミゲル・フェラーリ
脚本:ミゲル・フェラーリ
撮影:アレクサンドラ・エナオ
出演:ギレルモ・ガルシア/イグナシオ・モンテス/イルダ・アブラハムズ/カロリーナ・トレス
2012年/ベネズエラ・スペイン
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014)
テーマの多用性がもたらす人間関係の虚弱性について
同性愛嫌悪やドメスティックバイオレンスなどをユーモアを交えて描いたことろは評価できるのであるが、そのテーマのフォーカスの多用な移り変わりが後半になって曖昧さとなってくるように感じる理由は、例えば、主人公のカメラマンのディエゴの恋人で、産婦人科医のファブリシオが暴漢に襲われて入院したはずなのであるが、ディエゴのアシスタントをしている女性が子供を出産する際に、きれいな顔をして現れ、とても瀕死の重傷を負ったようには見えなかったことで、だからと言ってクリスマスの日にディエゴが一緒に過ごす人物はファブリシオではなく別の男性なのであり、ここの、基軸であったはずのディエゴとファブリシオの関係がどうなってしまったのか分からないままなのである。これはディエゴの息子のアルマンドにも当てはまり、ネットで知り合った少女とはタンゴを踊っただけで別れてしまい、すぐに新たに地元にガールフレンドができているところが、アルマンドは相手に嘘をついていたから仕方がないとしても、どうも人間関係の強度が弱いように感じるのである。