原題:『Transcendence』
監督:ウォーリー・フィスター
脚本:ジャック・パグレン
撮影:ジェス・ホール
出演:ジョニー・デップ/レベッカ・ホール/ポール・ベタニー/モーガン・フリーマン
2014年/アメリカ・中国
肉体と信頼の関係について
人工知能と化した主人公のウィル・キャスターが統率するリサーチセンターを巡るウィルたちと、FBIとR.I.F.T.の活動家たちの抗争が人類の生死を賭けたものであるにも関わらず、その描写があまりにもしょぼいのではあるが、肉体を失ったウィルを、妻のエヴリンが信用できなくなっていく過程は、『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督 1968年)における人工知能HAL(ハル)9000型コンピュータとデビッド・ボーマン船長の関係を想起させる。やはり人は肉体を持たない者を信用できないのかという問題を提起しながら、『2001年宇宙の旅』と『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー監督 1972年)を大胆に組み合わせようとした野心は残念ながら功を奏していないと思うが、寂寥感はよく出ている。しかしそれは3作品ともに共通したもので、要するに演出の問題ではなく、テーマに必然的に伴うものなのである。