原題:『La pelle dell'orso(熊の皮)』 英題:『On the Trail of My Father』
監督:マルコ・セガート
脚本:マルコ・セガート
撮影:ダリア・アントニオ
出演:レオナルド・メイソン/マルコ・パオリーニ/ルチア・マッシノ/パオロ・ピエルボン
2016年/イタリア
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017)
「悪魔」に憑りつかれた男の息子の振る舞いについて
1950年代の北イタリアの小さな山村ではまだ戦争の傷が癒えていない男たちがいた。採石場で働いているピエトロ・シエラもその一人で同僚たちからも嫌厭されている。そんな時、酒の勢いもあったのか雇い主のクレパズと60万リラを賭けて「悪魔」と呼ばれ恐れられていた熊を退治するためにピエトロは一人で山に入っていく。
それを知った14歳の息子のドメニコは隣人のトーニに猟銃を借りて父親の後を追っていく。途中で、サラとブルーノのカップルと出会う。サラはドメニコの亡くなった母親のカテリーナの友人だったが、ピエトロに関しては冷めた態度だった。
ようやくドメニコがピエトロと合流して一緒に熊退治に向かうのだが、そんな中でピエトロは息子に母親が亡くなった原因を語る。自分が留守をしていた間に男と密会していた妻を見つけてしまう。ピエトロの詰問に対してその男がただ笑っていたことに激怒して殺してしまったことでピエトロは刑務所に入れられ、妻は自殺してしまったという話をする。
ついに「悪魔」と遭遇した2人は発砲するのであるが、ピエトロは襲われ絶命してしまい、ドメニコは熊の皮を持ち帰ってクレパズから60万リラを受け取るのである。
戦うことを強いられた人生を送らざるを得なかった男の息子がようやく父親の代わりに決着をつけたという「寓話」が美しい大自然と共に丁寧に描かれていると思う。