原題:『銀魂』
監督:福田雄一
脚本:福田雄一
撮影:工藤哲也/鈴木靖之
出演:小栗旬/菅田将暉/橋本環奈/柳楽優弥/早見あかり/長澤まさみ/菜々緒/岡田将生/堂本剛
2017年/日本
予算が大きいほど実力を発揮する「カルト映画」の監督について
もはや「銀魂」シリーズの恒例となったと言ってもいい作品冒頭のギャグもそつなく取り入れ、『花より男子』、『宇宙戦艦ヤマト』、『機動戦士ガンダム』、『ONE PIECE』など細かいネタをまぶしたような作風はいかにも福田雄一監督らしい仕上がりとなっている。何でもありの「銀魂」というフォーマットにアドリブも積極的に利用する(佐藤二朗のアドリブに菜々緒が笑っていたように思う)福田監督の作風が合っているのだと思う。
いつもの福田監督の脚本同様に本作においても物語に深みは感じられないのではあるが、予算が大きい分、豪華な映像に助けられたように感じる。つまり矛盾してはいるのだが独特の作風で客を選ぶはずの福田作品は却って大きな予算で撮る方が面白くなるのである。
しかし何といっても本作の白眉は坂田銀時を演じた小栗旬が歌う「パッション」という曲で、曲調や歌い方も含めてこれは間違いなく『GTО』(鈴木雅之監督 1999年)の主人公の鬼塚英吉を演じた反町隆史の「POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~」を意識したものであろう。良い意味で悪意しか感じなかった。