原題:『Seto Surya』 英題:『White Sun』
監督:ディーパック・ラウニヤール
脚本:ディーパック・ラウニヤール/デイヴィッド・バーカー
撮影:マーク・オフィアガイ
出演:ダヤハン・ライ/アシャ・マグラティ/ラビンドラ・シン・バニヤ/スミ・マッラ
2016年/ネパール・アメリカ・カタール
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017)
「レッド・サン」が知らない「ホワイト・サン」について
『喪が明ける日に』(アサフ・ポロンスキー監督 2016年)が息子を亡くした父親の物語だったのに対して、本作は父親を亡くした息子たちの物語である。主人公でネパール共産党毛沢東主義派、いわゆるマオイストの人民解放軍のゲリラだったチャンドラが亡くなった父親のチトラの葬儀のために故郷に帰って来るのだが、異母兄弟のスルジュとは政治的に敵対していた。チトラは村の主権者だった人物で余計に対立は深まっていたのである。
ストーリーはチトラの死体を家から出して、川辺まで運んで埋葬するまでの間に起こる出来事が描かれ、2人の兄弟の諍いの中においても一緒に彼らに付いてきた2人の子供たちが遺体を傷つけないように保護する様子が未来の希望と共に感動をもたらすのであるが、ストーリー自体はいたって単純なものではある。
しかしネパールという国でいまだにマオイスト(=毛沢東主義派)が政権を握っているという事実に驚かされる。まさかこんな場所で毛沢東が「生きて」いるとは。ちなみに原題も含めてタイトルの「ホワイト・サン」とはネパールの国旗に描かれた太陽を指す。