MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『レイルロード・タイガー』

2017-07-02 18:55:00 | goo映画レビュー

原題:『Railroad Tigers』
監督:ディン・シェン
脚本:ディン・シェン/フー・カーカー
撮影:ディン・ユー
出演:ジャッキー・チェン/ホアン・ズータオ/ワン・カイ/ダレン・ワン/ジェイシー・チェン/池内博之
2016年/中国

使用言語の「無関心さ」について

 1941年12月の東南アジアにおいて日本軍の輸送列車を巡る日本軍と「レイルロード・タイガース」を名乗る中国ゲリラ部隊の争いを鉄橋の爆破を含めダイナミックに描いていると思うのだが、画力はあるのに言葉が雑に扱われていることで作品のクオリティーを著しく貶めているように感じる。
 例えば、作品冒頭の列車内でジャッキー・チェンが演じるマー・ユェンが日本兵を欺くために日本人になりすまそうとするのであるが、ジャッキー・チェンが喋っている日本語が、日本語の字幕が付くくらいに全く日本語に聞こえず何故日本兵が中国人だと気がつかないのか分からない。
 あるいはマー・ユェンは仲間と一緒に日本軍に捕まり護送列車で運ばれる途中で、池内博之が演じるケン・ヤマグチが部下に出した指令を通訳が日本語で語り、それをヤマグチが「あいつらは日本人だ」とツッコむのであるが、ここは通訳は中国語で語らなければギャグとして成り立たたず、コメディー作品としてはあり得ない間違いである。
 同じ監督による『ラスト・ソルジャー』(ディン・シェン監督 2010年)同様、本作もマー・ユェンという一介の鉄道員が偶然知り合った負傷兵のダーグォ―との友情から、国を救うという大役を成し遂げるという「アンチヒーロー」の物語である。テーマは悪くなく、ジャッキー・チェンはハリウッドでも活躍しており、親日家でもあるはずなのだが、この言葉に対する「無関心さ」に驚く。確かに香港映画とはこの程度のものだと言われてしまえばそれまでなのだが。


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