MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『火花』

2018-01-03 00:54:22 | goo映画レビュー

原題:『火花』
監督:板尾創路
脚本:板尾創路/豊田利晃
撮影:福本淳
出演:菅田将暉/桐谷健太/木村文乃/川谷修士/三浦誠己/加藤諒/高橋努/日野陽仁/山崎樹範
2017年/日本

冒頭の花火の「動線」がラストで「スパーク」する意味について

 主人公でお笑いコンビ「スパークス」の徳永は先輩芸人でお笑いコンビ「あほんだら」の神谷の、今までの漫才の枠を壊すような才気にほれ込み神谷の伝記を書くという条件で弟子入りすることになる。拠点を大阪から東京に移してきた神谷と頻繁に会っては徳永は漫才に関して議論を交わしていたのだが、10年活動しても彼らが望むほどにコンビは売れず、相方の山下の妻が妊娠したことをきっかけに解散することになる。
 不動産会社で働くようになった徳永は久しぶりに神谷に会うのだが、豊胸手術をして現れた神谷を見て徳永は「そんなものを見て誰が笑うのか」と説教をすることになる。恐らくここのシーンは当初は既存の漫才の形式の破壊を目論む神谷に憧れていたはずなのだが、漫才師を止めてしまった今は「常識」を持ち出して説教するようになった徳永の落ちぶれ具合を描こうとしたのだと思う。ところが神谷は年下にそんなことを言われても徳永を誘って熱海の漫才大会に出場するのである。
 神谷は真樹という女性と一緒に住んでいたのであるが、神谷と真樹は恋人関係ではなく、真樹に恋人ができると神谷は部屋を追い出されてしまう。その時、神谷は徳永を引き連れてきて、自分が落ち込まないために徳永に勃起させるのである。
 ある時は、自分と同じ髪型と髪色にしてきた神谷を見て、他人の真似は絶対にしなかった神谷が自分の真似をしてきたことに徳永は激怒する。
 神谷が豊胸手術をしてきたことは既に触れた通りで、要するに本作は神谷の徳永に対する片想いが描かれているのである。板尾創路監督のデビュー作『板尾創路の脱獄王』(2010年)も同性愛が隠れテーマとして描かれていたのだが、板尾監督が同性愛にこだわっている理由がよく分からないとしても作品自体はよく出来ていると思う。


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