東京都美術館で催されている「ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜」のメインは
ポスターにもなっているピーテル・ブリューゲル2世(Pieter Brueghel the Young)の
『野外での婚礼の踊り(The Outdoor Wedding Dance)』(1610年頃)である。
「この作品では、宴の主役である新婚の二人のうち、花婿はどこにいるのかわからないが、
花嫁は画面奥の特別席に座って祝儀を受け耽っている。彼女のどこか悲しげな表情は、
踊っている農民のカップルたちの楽しげな様子とは対照的である」とキャプションに
あるように、哀しそうな花嫁が気になる。
本作に並んで展示されているマールテン・ファン・クレーフェ(Marten van Cleve)の
『農民の婚礼(Peasant Wedding)』(1558年-1560年頃)という6点連作の作品
が参考になると思う。
同じように祝儀を受け取っている花嫁のシーンである。
花嫁が笑顔なのは祝儀をたくさんもらっているからであろう。ここからは憶測になるのだが
ピーテル2世の作品に花婿がいないのは彼が祝儀を持ち逃げしたためではないだろうか?