MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『約束のネバーランド』

2021-01-29 00:42:44 | goo映画レビュー

原題:『約束のネバーランド』
監督:平川雄一朗
脚本:後藤法子
撮影:今村圭佑
出演:浜辺美波/城桧史/板垣季光人/柴崎楓雅/山時聡真/安藤美憂/渡辺直美/北川景子
2020年/日本

優秀な子供を持つ親の苦悩について

 親子関係の寓話として考えさせられる作品だと思う。ママと呼ばれるイザベラの正体を知った主人公のエマとレイとノーマンは、自分たちは「鬼」と呼ばれる種族の食用として育てられている事実を知り、「孤児院」からの脱出を図る。イザベラは子供たちが「ハイスコア」であればあるほど高価値になるために丁寧に育てているのだが、それが却って子供たちを優秀にしてしまい自由の切望に繋がり、巧妙な計略で脱出計画を練られてしまうという矛盾に陥ってしまうのである。さらにレイがイザベラの実子であるということも、その情により彼女の青写真に狂いを生じさせたと思う。
 エマたちが忘れていることが一つあって、自分たちが「孤児院」の脱出に成功するならば、イザベラがどのような制裁を加えられるのか全く想像していないことである。まるで自分たちの将来の「希望」しか見えていないエマたちは当然実社会におけるアナロジーであって、子供たちが実家を離れてしまえばその親は「親」としては死ぬ他ないのである。
 ところでシスター・クローネを演じた渡辺直美はもはや「ヘレナ・ボナム=カーター化」しつつある。


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