原題:『반도』
監督:ヨン・サンホ
脚本:ヨン・サンホ/パク・ジュソク
撮影:イ・ヒョンドク
出演:カン・ドンウォン/イ・ジョンヒョン/キム・ドゥユン/クォン・ヘヒョ/ク・ギョファン
2020年/韓国
昨今のゾンビの「受難」について
既に『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督 2019年)において現代の韓国映画のクオリティの高さは世界的に証明されているのだが、それは本作のようなエンターテインメント作品においても当てはまるように感じた。
それはただ単にもはや人間に敵対するというよりも障害物と化している大量のゾンビのエンターテインメント作品として楽しめるのみならず、今まで韓国映画が持っていた強烈なヒューマニズムも健在で、例えば、ラストシーンにおいて日本人監督ならば諦めるはずだし、本物の国際連合の隊員ならば断わるはずのストーリー展開でさえ本作では強引に成立させてしまっているのである。
昨今ますます雑に扱われ蔑ろにされているゾンビを見ながら、かつてゾンビといえども射殺してしまったことに罪悪感を覚えその場で自殺してしまったり、丁寧にゾンビの死体を土葬していたりしていたSWAT隊員たちを描いた『ゾンビ』(ジョージ・A・ロメロ監督 1978年)から隔世の感を禁じ得ない。