原題:『100 Dinge』 英題:『100 Things』
監督:フロリアン・ダーヴィド・フィッツ
脚本:フロリアン・ダーヴィド・フィッツ
撮影:ベルンハルト・ヤスパー
出演:フロリアン・ダーヴィド・フィッツ/マティアス・シュヴァイクホファー/ミリアム・シュタイン
2018年/ドイツ
エピソード過多でシンプルにならないライフについて
本作は元々は『365日のシンプルライフ』(ペトリ・ルーッカイネン監督 2013年)というドキュメンタリー映画を劇映画にしたもので、主人公のパウル・コナスキーとトニー・カッツという35歳の幼馴染み同士は「ナナ」と呼ばれるスマホ用のアプリが実業家のデヴィッド・ザッカ―マンに売れたことですっかり有頂天になり、祝賀パーティーで羽目を外し、社員たちの手前、どちらかがギブアップするまで全ての所持品を倉庫に預けて何もない自宅で缶詰状態になり一日一個ずつ倉庫まで取りに行くという耐久レースを始めることになる。
最初はそれぞれ寝袋とコートを選ぶのだが、その後、買い物依存症のルーシーとの出会いや、パウルの祖母のオマとのエピソードが挿入されると物語の軸である勝負の流れ、つまり彼らが次に何を持ち帰るのかということが分からなくなってきて、ズルもしているので本当に物の有難みを学んだのかどうか怪しくなり、パウルがザッカ―マンにヘッドハンティングされてカリフォルニア行きの片道切符を貰ったにも関わらず行かなかった動機も弱くなるのではないだろうか。ザッカ―マンが「アップル」をかじっているシーンは面白かったが。