MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『おとなの事情 スマホをのぞいたら』

2021-01-14 22:22:59 | goo映画レビュー

原題:『おとなの事情 スマホをのぞいたら』
監督:光野道夫
脚本:岡田惠和
撮影:須藤康夫
出演:東山紀之/鈴木保奈美/益岡徹/常盤貴子/田口浩正/木南晴夏/淵上泰史/桜田ひより/室龍太
2021年/日本

一流の表現者が果たさざるを得ない使命について

 唐突なのだがマイケル・ジャクソンの話から始めてみたい。「ウイ・アー・ザ・ワールド」や「アース・ソング」のような歌を歌っていれば良いイメージのままいられたのに、何故マイケル・ジャクソンは自らを「スリラー」や「バッド」であると宣言し、「スムーズ・クリミナル」を犯し、「ビリー・ジーン」や「ダーティ・ダイアナ」で女性嫌悪を主張するのか不思議ではないだろうか? マイケル・ジャクソンの歌に説得力があるのはそれが「私小説」だからであって、父親に虐待され、それを母親に見て見ぬふりをされながら一流のアーティストに成長したマイケルの心の底からの叫びだからこそ人に訴える力があるのである。
 熊谷の塾講師に採用された主人公の小山三平を演じた東山紀之が何故このキャラクターを演じることになったのか寡聞にして知らないとしても、マイケル・ジャクソンを信奉し、ジャニー喜多川を敬愛している東山が表現せずにはいられなかったテーマだからだと思うのだが、本作にジャニーズ事務所が関わっていないところに所属タレントを活かしきれない芸能事務所の深刻な問題(おとなの事情?)が垣間見えるのである。


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