MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『マレフィセント』

2014-07-13 23:15:51 | goo映画レビュー

原題:『Maleficent』
監督:ロバート・ストロンバーグ
脚本:ポール・ディニ/リンダ・ウールヴァートン
撮影:ディーン・セムラー
出演:アンジェリーナ・ジョリー/シャールト・コプリー/エル・ファニング/サム・ライリー
2014年/アメリカ

「男性不信」映画がヒットしているという深刻さについて

 どうしても同じウォルト・ディズニー・ピクチャーズによって製作された『アナと雪の女王』(クリス・バック/ジェニファー・リー監督 2013年)と本作を比較してしまう理由は、それまで当たり前のように描かれていた「真実の愛=男性のキス」という法則が成り立たなくなっていることで、氷の彫像と化したアナを救ったものがハンスやクリストフではなく姉のエルサだったように、城の地下の糸車に自ら指を刺し、醒めない眠りに落ちてしまったオーロラ姫を目覚めさせたものはフィリップ王子ではなく、16年間絶えずオーロラ姫を見守り続けたマレフィセントの「真実の愛のキス」だからである。実際に、マレフィセントは好意を寄せていたステファンに翼を折られたのみならず、クライマックスにおいても止めをさすことをためらったマレフィセントをステファンは背後から襲おうとし損なって屋根から墜落死し、2度もステファンに裏切られたのである。
 このように次々と「男性不信」映画がヒットしているという現実を私たちはもっと深刻に受け止めなければいけないのではないだろうか?


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『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』

2014-07-12 23:50:22 | goo映画レビュー

原題:『DOCUMENTARY of AKB48
     The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』
監督:高橋栄樹
撮影:高橋栄樹/角田真一/木村太郎
出演:AKB48
2014年/日本

島崎遥香の捉えどころのないキャラクターについて

 AKB48の中心メンバーとして活躍していた大島優子の卒業を中心に描かれるはずの本作で、大島以上に私が気になったメンバーは川栄李奈でも入山杏奈でもなく島崎遥香だった。今年成人式を迎え、次世代のエースと目されていながら、島崎はインタビューで先輩と次世代のつなぎ役になりたいと語り、卒業する大島にメンバーが一人一人が声をかける場面において、島崎だけが大島に言葉をかけることもなくハイタッチだけで終わらせていたり、だからと言ってやる気がないわけではなさそうで、要するに見るたびに変化している髪型の不安定さに象徴されるように島崎遥香は捉えどころのないキャラクターでありながら何故か君臨しているのである。
 今回初めて劇場で『DOCUMENTARY of AKB48』を観たのであるが、テレビで観る際には気にならなかったが、劇場で観賞すると音響の悪さが異常に目立つ。


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『グランド・ブダペスト・ホテル』

2014-07-11 23:41:29 | goo映画レビュー

原題:『The Grand Budapest Hotel』
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン
撮影:ロバート・D・イェーマン
出演:レイフ・ファインズ/F・マーリー・エイブラハム/マチュー・アマルリック
2014年/ドイツ・イギリス

快楽そのものの映像について

 冒頭で現れる現代の少女はある作家の像の前でその作家の本を読み始める。その作家は1968年に「グランド・ブダペスト・ホテル」を訪れ、ホテルのオーナーであるゼロ・ムスタファから、1932年頃に一緒に働いていた伝説のコンシェルジュ、ムッシュ・グスタヴ・Hの話を聞くのであるが、1968年が描かれる画面がシネマスコープ、1932年が描かれる画面がヴィスタサイズ、そして読書をしている少女が描かれる画面がその中間のサイズに統一され、ウェス・アンダーソン監督は徹底的に形式にこだわる意志を見せる。それは画面のみならず、例えば、若きゼロ・ムスタファ(Zero Moustafa)が婚約者のアガサ(Agatha)に渡すプレゼントに添えた文面には「ZからAへ」と書かれており、そのネタは、ゼロと共に牢獄から脱出したムッシュ・グスタヴ・Hを追いかけるために警官が「AからZまで探せ」と街の名前の頭文字としてギャグに取り入れられ、形式主義は徹底される。
 まるでカメラをパンさせれば、あるいはカメラをドリーで横移動させれば何かが起こるであろうという楽観主義は、究極の形式主義と合わせて今のところウェス・アンダーソン監督だけに与えられた特権であるかのように、私たちはもはやストーリーなど気にする必要さえなく、ただ画面の美しさに見とれていればいいかのようだ。


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『ラストミッション』

2014-07-10 22:23:25 | goo映画レビュー

原題:『3 Days to Kill』
監督:マックG
脚本:リュック・ベッソン/アディ・ハサック
撮影:ティエリー・アルボガスト
出演:ケビン・コスナー/ヘイリー・スタインフェルド/アンバー・ハード/コニー・ニールセン
2014年/アメリカ・フランス

主人公の重篤な状態とコミカルな環境の齟齬について

 『チャーリーズ・エンジェル』(2000年)などを手掛けたマックGも多少その気があるのかもしれないが、やはり映画界最強のロリコンといえばリュック・ベッソンであることは既に『レオン』(1994年)のレビューで書いた通りである。
 そんな2人がタッグを組んだ本作は、主人公でベテランCIAエージェントのイーサン・レナーと彼の16歳の娘のゾーイ・レナーが巻き起こす物語である。娘からかかってくる着信音がIcona Popの「アイ・ラブ・イット(I Love It)」で、ところかまわず「私は気にしないの、あなたが好きだから(I don't care, I love it)」と流れるシーンは面白いと思ったが、そのコミカルさとイーサンが余命3ヶ月の癌を患っているという深刻な状況がかみ合っておらず、確かに癌に効く試験薬が報酬として提供されるのではあるが、ストーリーに深みを与えているように思えない。


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野々村竜太郎とねづっち

2014-07-10 00:16:05 | Weblog

橋下市長、高校先輩の“号泣県議”に皮肉…「僕も泣いたら許される?」(デイリースポーツ) - goo ニュース
号泣県議、UR住宅を目的外使用か 自宅なのに…政治団体事務所(産経新聞) - goo ニュース
号泣県議、議会事務局に自殺ほのめかす 職員がやむなく裏口入退室に加担した理由(デイリースポーツ) - goo ニュース
ねづっち最高月収は500万円だった 2010年は1度も休みなし(デイリースポーツ) - goo ニュース

 橋下徹大阪市長の、大阪の北野高校の先輩で、不自然な政務活動費の使途に関する

釈明会見で壮絶に号泣した兵庫県議の野々村竜太郎に関する「なんで、メディアは

あそこ(会見)でもっと突っ込まないんですか」という指摘はもっともで、「僕も

泣いたら許してもらえるんですかね」と問われるならば、あれだけ号泣できれば

許してもらえると思う。何故ならば、あの号泣の仕方は泣いて誤魔化そうと試みた

類のものではなく、病的なものであるからで、だから記者のみならず大阪県議会

事務局長まで野々村竜太郎に気を使っているのであろう。それにしても私には

野々村竜太郎がどうしてもお笑いコンビ・Wコロンのねづっちに見えて仕方がない。

最初は本当にねづっちがお笑いをやめて本名で兵庫県議になっているのかと思った。


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2人の天才の出現に期待する

2014-07-09 22:58:57 | Weblog

【W杯】ブラジル「ブレーキ役」不在 むやみに攻撃、持ち場がら空き…(産経新聞) - goo ニュース
ブラジル、7失点で史上最悪の大敗 大きかったネイマール&チアゴシウバの穴(夕刊フジ) - goo ニュース

 ブラジルがドイツを相手に同国W杯史上ワーストの7失点を喫し、1-7で完敗した試合は

エースでFWのネイマールとセンターバックの主将チアゴシウバがいなかっただけで

この惨状を呈してしまったのであるが、逆に言うならば勿論ある程度の全体的なレベルは

必要であるとしても、攻守にそれぞれ一人天才がいるだけで、W杯の優勝が狙えるチーム

になるということを証明しているのではないだろうか だから今回日本のチームは

1勝も出来なかったが、本田圭佑や香川真司は天才と呼べるほどの才能はなかった

のだから仕方がなく、4年後のW杯までに天才が2人現れることを期待するしかない。


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『エンディングノート』

2014-07-09 22:21:03 | goo映画レビュー

原題:『エンディングノート』
監督:砂田麻美
撮影:砂田麻美
出演:砂田知昭
2011年/日本

「理想的な死」について

 おそらく主人公は大手のフィルムメイカーに勤めており、昔の記録フィルムも有効に使用されているために、本人にしてみればリタイアして2、3年後の60代で亡くなることは不本意であるとしても、これ以上ないほどの、敢えて言うならば理想的な死に際が描かれている。主人公が生前の時にときおり映し出されるきらびやかな東京タワーが、主人公が亡くなった後にラストにおいて白いビルに変わっていたところが印象的である。


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『トランセンデンス』

2014-07-08 23:55:58 | goo映画レビュー

原題:『Transcendence』
監督:ウォーリー・フィスター
脚本:ジャック・パグレン
撮影:ジェス・ホール
出演:ジョニー・デップ/レベッカ・ホール/ポール・ベタニー/モーガン・フリーマン
2014年/アメリカ・中国

肉体と信頼の関係について

 人工知能と化した主人公のウィル・キャスターが統率するリサーチセンターを巡るウィルたちと、FBIとR.I.F.T.の活動家たちの抗争が人類の生死を賭けたものであるにも関わらず、その描写があまりにもしょぼいのではあるが、肉体を失ったウィルを、妻のエヴリンが信用できなくなっていく過程は、『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督 1968年)における人工知能HAL(ハル)9000型コンピュータとデビッド・ボーマン船長の関係を想起させる。やはり人は肉体を持たない者を信用できないのかという問題を提起しながら、『2001年宇宙の旅』と『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー監督 1972年)を大胆に組み合わせようとした野心は残念ながら功を奏していないと思うが、寂寥感はよく出ている。しかしそれは3作品ともに共通したもので、要するに演出の問題ではなく、テーマに必然的に伴うものなのである。


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『サード・パーソン』

2014-07-07 22:50:02 | goo映画レビュー

原題:『Third Person』
監督:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス
撮影:ジャンフィリッポ・コルティチェッリ
出演:リーアム・ニーソン/ミラ・クニス/エイドリアン・ブロディ/オリヴィア・ワイルド
2013年/アメリカ・イギリス・ベルギー・ドイツ

「Watch me」と「White」を巡る考察

 なかなかレビューが難しい作品で、敢えてストーリーには踏み込まずに論じておきたい。本作のキーワードとなる「Watch me(私を見て)」という言葉は決して主人公の小説家のマイケルの幻聴ではなく、例えば、6歳の息子のために人形を買いに行ったジュリアがお金が無く買えなかったために一体だけ持ち逃げしてしまった際にも聞こえており、「Watch me」と発する人たちは、ジュリアの息子やマイケルの目の前で溺死してしまった彼の亡き娘、あるいはロマ族の女性のモニカの娘のような子供たちであり、その中には父親に「囲われて」いるアンナも含まれているように思う。
 あるいは「White(白)」も本作のキーワードであるだろう。マイケルは最新小説に「白」の定義として「Trust(信用)」や「Belief(信頼)」としているように、マイケルがアンナに贈った大量の白い花束や、モニカが最後に乗ってきたクルマの色も白である。だから逆にジュリアの元夫で白いキャンバスに色を塗る仕事をしているモダンアーティストのリックは、無理やり手に塗料を付けられて塗らされる息子からも厳しい目が注がれることになるのであるが、マイケルは同時に「白」の定義を「Lies he tells himself(自分自身に対する嘘)」ともしており、小説家のマイケル、ファッションブランドからデザインを盗む仕事をしているショーン、そしてアーティストのリック共に「嘘」を仕事にしている点で当てはまる。しかしこの「白」の定義の不安定さがストーリーを複雑にしてしまい本作を分かりにくいものにしている。監督は本作を『欲望(Blowup)』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督 1967年)のように描くつもりだったようだが、あたかも幻想を現実のように見なしてしまう『欲望』と比較するならば、次々と語られていた女性たちが消えてしまう本作には幻想の力強さが感じられない。


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『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

2014-07-06 00:00:06 | goo映画レビュー

原題:『Edge of Tomorrow』
監督:ダグ・リーマン
脚本:クリストファー・マッカリー/ジェズ・バターワース/ジョン=ヘンリー・バターワース
撮影:ディオン・ビーブ
出演:トム・クルーズ/エミリー・ブラント/ビル・パクストン/ブレンダン・グリーソン
2014年/アメリカ

誰がオメガを殺したのか?(Who killed the Omega?)

 本来ならばNATO軍が率いるUDFの広報を担当しており実戦経験が無かったウィリアム・ケイジ少佐は、フランス行きを巡ってブリガム将軍との話し合いがこじれて命令違反で逮捕されてしまい、気がついたらヒースロー空港の基地で手錠をかけられてた。
 無理やりファレウ曹長にJ分隊に入隊させられると翌日ケイジは最前線に送られるのであるが、クレイモア対人地雷で敵のミミックと共に爆死したケイジは、目覚めるとヒースロー空港の基地で手錠をかけられてた。リタ・ヴラタスキ軍曹との出会いでケイジは自分がミミックの血を浴びてタイムループの能力を獲得したことを知る。
 カーター博士とも組んでケイジは何度も死んで目覚めることを繰り返しながら、敵の大本であるオメガがフランスのルーヴル美術館の地下に潜んでいることを知り、複数の手りゅう弾で倒すことに成功する。
 ここで問題となるのが、結末部分である。目覚めたケイジがいる場所はヒースロー空港の基地ではなく、UDFの広報としてヒースロー空港の基地に向かっている軍用機の中である。どうやらパリを中心とした敵の勢力が失われたようだというアナウンスが流れている中、ケイジはかつての同僚たちとすれ違いながら、広報担当として真っ先に「完全武装の雌犬(Full Metal Bitch)」や「ヴェルダンの天使(Angel of Verdun)」として知られ今回の戦争のイメージキャラクターを務めていたリタ・ヴラタスキ軍曹に会いに行く。もちろんリタはケイジと一緒に戦ったことなど覚えていないのであるが、実はケイジも自分が必死に戦っていたことなど覚えていないのである。
 しかしオチはこれで終わっていないと思う。このような作風で何が正確かを定義することは難しいが、輸血されてしまいタイムループが出来なくなったという設定にわざわざしたのだから、ケイジは水中でオメガの爆破に巻き込まれて死んでいなければならないはずなのである。記憶が失われず何度もトライが可能のタイムループの中では、リタがケイジのことをそう指摘したように「兵士(Soldier)」は「武器(Weapon)」と化すのである。そして臆病者のケイジでさえこの「ゲーム」の「ゴール」にたどり着けたのだから、本物の戦士であるならば、もっと簡単に「上がれる」はずなのである。つまり本作はリタ・ヴラタスキ軍曹のような立派な戦士に憧れ、「明日の端(Edge of Tomorrow)」を夢見ていたケイジの「夢オチ」なのである。


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