青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

デルタに浮かぶ三日月

2017年08月20日 09時35分38秒 | 名古屋鉄道

(東も西も塞がれて@西枇杷島駅ホーム)

名古屋の市内観光をする前に、ちょっくら鉄ネタを仕込みに来たのはここ、名鉄名古屋本線は西枇杷島駅。名古屋から僅かの距離の駅がこんなんなんだから割と名鉄って恐れ入るところある。一応見た目の配線は2面4線を形成しているんだけれども、線路に挟まれたホームはなんだか車庫にある乗務員用の仮通路のような貧弱さ。東海道新幹線に乗って大阪方面に向かってる時、名古屋を出て庄内川を渡るとすぐ右に見える駅なので、車窓から「あれは何だ?」と思われた方がいたら鉄道趣味のセンスあると思います(笑)。こんな駅のためにわざわざJRの枇杷島駅前にクルマ停めて歩いて来てるんだから何というモノ好きか。


地理的な位置関係を確認しておくと、西枇杷島駅は名鉄本線で名古屋から3つめの駅。名鉄は庄内川を渡るとすぐに岐阜方面(本線)と犬山方面(犬山線)に分岐するんですが、地図上でもわかる通りこの分岐点は名古屋岐阜犬山それぞれ双方向の行き交いを可能にしたデルタを形成しており、西枇杷島の駅は岐阜側の分岐点のすぐ西に位置しています。実際のところは「名~岐・名~犬」の行き来はあっても「岐~犬」間の列車の行き来はほとんどないようで、「岐~犬」間は線路脇にある留置線への出入線代わりになっているようですがね。

  

駅東側の踏切から。急行の豊橋行きが通過して行ったのだが、ちょうどよく新幹線N700系とのコラボになりました。地図を見ても分かる通り駅の西側(奥)は東海道本線と東海道新幹線のガードがあって、東側(手前)は県道67号線の側道(県道は一応立体交差)が走っており、その狭いスペースに押し込められたように西枇杷島の駅があります。東西を塞がれたどうにもならないスペースの狭さはいかんともしがたく、この駅自体の拡張や改良などにはなかなか手が付けられていないようで、そこにこの駅の風情とおかしみがあります。


今度は駅西側の踏切から。県道の立体交差の右下にある赤い瓦屋根の古びた建物が駅舎になります。左が名古屋方面行き、右が岐阜方面行きホームになりますが、左ホームのさらに外側に一本側線が出ていて、これが犬山方面に繋がるルートになります。もし「岐~犬」ルートの列車があるとしたら、西枇杷島の駅は通過扱いになってしまいますね。


西側踏切通路から岐阜方面行きホームを。狭い場所の限られたスペースで2面4線を形成するためホームは極端に狭く、まるでミカヅキモのようでもあります。特にその先端部分は飛び込み台もかくや、と思わせるおひとりさまでも触車上等のスペースのなさで、ホームの体を成してはいないようです。子供的にこのホームの形は「ばかうけみたい」と言っていて思わずこっちがバカ受けしてしまったのだが、確かにこの形は栗山米菓感ある(笑)。青のりしょうゆ味が結構好きだぞ。

 

駅東側に立つ西枇杷島駅舎。券売機小屋を建て増しした感じで新旧が入り混じってますけど、「旧」の部分は漆喰壁の瓦屋根と言うスタイルはいかにも私鉄電車の駅らしく好ましいですね。ホームで電車を待つには狭過ぎて危険なため、通常は構内踏切が降りていてホームには上がれないようになっています。と言う訳で乗客は駅舎内で待たされる事になりますが、電車の到着が近づくと、駅員の方が遮断機を上げてホームに誘導してくれます。


西枇杷島の駅は名古屋から3駅しか離れていないのに日中は上下方向とも30分ヘッドと非常に間隔が長いのがネック。優等が全く止まらないのは仕方がないとしても、名古屋方面はデルタでの犬山線の合流を見越して普通列車の本数を絞っているのか完全にダイヤ上のエアポケットになっている感じ。かたや岐阜方面は日中は津島線方面の電車ばかりなので、一宮や岐阜へ行きたければ須ヶ口で乗り換えになるので使い勝手は良いとはとても言えない。600m西にある二ツ杁駅は準急停車駅で日中毎時4本の停車があるので、名駅まで急ぐ用事ならそっちを使え(9分230円)と言う事なのだろうか。そもそも西枇杷島の駅の北800mにはJRの枇杷島駅があって、そっから名古屋までなら1駅4分190円だからハナっから勝負にはならないのだが。

待ちくたびれた我々家族、駅員さんのお許しがようやく出たのでホームに駆け上がる(笑)。様々な理由がある中で近代化にも取り残された駅ですが、それでも我々家族の他に4~5名程度の近所の方々が電車の時間に合わせて駅に集まっているのを見ると、本数は少ないながらも利用者はそこそこいるようです。
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夏は名古屋で、何をする?

2017年08月19日 23時00分00秒 | 名古屋鉄道

(尾張名古屋は何で持つ?@名古屋城)

えー、クソみたいな天気の関東地方を抜け出して、今回のお盆休みは家族で名古屋に遠征して来ました。普段テツ絡みでばっかし名古屋に来てるもんだから、まともに名古屋なんか観光した事のないアタクシ。今回はあくまで家族運用が主体なので名古屋城とか行ってしまったよ(笑)。関東から西へ行けば行くほど天気が良く暑い傾向があったお盆休み、この日の名古屋は日射しこそ強くないものの蒸し暑さがハンパなく、忍者のコスプレをして場内を回っているイベンターの方々が非常にしんどそうだった(笑)。


復元中の本丸御殿とか。入場料500円分くらいのモトは取るべくしっかり見て行きますよ。こういう構図を見るとどうしても松平健が脳内に登場して、暴れん坊将軍のテーマソングが流れ出してしまうのは仕様。まああれは江戸のお話だけど、同じ徳川だから似たようなもんだろう。


金のシャチホコを戴いた天守閣。尾張徳川家の象徴とも言える城です。徳川御三家尾張と紀州とあとどこだっけ。水戸か。もう山川の赤い歴史本から得た知識は遠く遥か彼方。下から見た瞬間「天守閣まで階段だったら登頂拒否」を固く心に誓いましたが、ご心配なく5階まではエレベーターで行けるのじゃ。


天守閣からの眺め。まったりと水蒸気の多い空気に霞む栄方面。テレビ塔が見えるからあそこらへんが久屋大通か。ちなみに「ぢ」のお薬で有名なヒサヤ大黒堂って名古屋の会社かと思ってたけど、この久屋とは何の関係もなく大阪の会社らしい。涼しけりゃ栄の方とか大須観音あたりブラブラしてもいいけど、子連れであんまり歩かしてもかわいそうだよね。


と言う事で名駅に戻ってみんなでスガキヤ。この店もいわゆる「名古屋めし」というものが意識される前から、関東でも人気のあった名古屋めしかなと思います。ヨメさんも「ニチイの中に入ってて、子供の頃お父さんと食べてた!」とか言ってたけど、昔は関東のショッピングセンターにもスガキヤは店舗展開してたんですよね。それにしてもニチイって懐かしいな。流通業界的にはニチイ→マイカル→サティ→イオンと言う流れですな。


名駅西口の地下街エスカは46周年。名古屋と言えばSKE48(なのか?)。地下街のそこらじゅうにコラボのポスターが張られていたが、残念ながら松井珠理奈と惣田紗莉渚しか判りませんでした。ヨメさんに言わせれば「松井玲奈なき後で松井珠理奈以外を知っているだけで凄い」と妙な感心のされ方をしたのだが、SKEで一番かわいいのって惣田紗莉渚じゃね?


なんかこのブログの記事でデンシャの写真が一枚もないのもキモチワルイので一枚貼っときます(笑)。名古屋中心部をフラフラするのにクルマだと駐車場代ばっかかかってしょうがないので近くのコインパーキングに突っ込んで電車で行ったんだけど、せっかく名古屋に来たんだからJR東海じゃなくて名鉄に乗ったよ!通勤系も新世代のVVVF車とか3300系みたいなステンレス車とかいっぱい走ってるけど、名鉄と言えばこのカタチ。普通運用に就く6000系@東枇杷島。真っ赤な車体と尾灯脇のルーバーに名鉄らしさがありますよね。

テツなお話は次回から!しーゆーねくすとすーん。
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寝ぼけ眼に、目覚めの赤を

2013年03月10日 17時58分19秒 | 名古屋鉄道

(飛ばすぜパノラマ@車内)

と言う訳で、豊橋で一旦豊橋鉄道をソデにし名鉄に乗ってみる。
名鉄なんか、大昔に18きっぷで笠松競馬に行った時に一宮から笠松まで乗ったくらいのもんなので、こちらも超久々。豊橋鉄道に関しては全長20km程度の路線だから、朝からそうガッツリと回る事もないのかなと。豊橋から近いところで小一時間撮ってさっさと戻って来ようと言う判断でございます。関東と違って全くもって名鉄の撮影地の情報なんざ知りませんから、携帯で情報を収集していると本宿と言う駅の近くが良いらしい。パノラマカーが引退間近の際に、このポイントが祭りになったと言う事が書かれているブログが多かったな。豊橋からは7つ目ですが、乗っちゃった快速特急は止まらないので途中の国府で乗り換え。名鉄の緩急接続が悪くってえーらい待たされてしまった。国府のホームのベンチに黙って座ってたら眠くなってしまったよw


ともあれ本宿駅到着。行政上では岡崎市になるらしいが、国道1号と東名に挟まれた山間の駅。三ヶ根山の裏っ側って感じの場所だあね。豊橋寄りのSカーブって事だけは分かったので、駅前の1国を南に歩いて行くと、線形から「たぶんココだな」って感じの場所があったので三脚を降ろして構えてみる事に。つーか線路の東側に山があるからこの時間じゃ全然日が当たんないんだなココ…順光の時間まで調べときゃ良かったぜ。地形からして午後遅くならいいんではないかと思うんだが、また名鉄をガッツリ撮りたかったらその時はもうちょっと調べてから来ますw


正直、名鉄の事あんまり良く知らないんで、車種も分からずとりあえず来た列車来た列車片っ端からやっつけてみる事にします。最初に来たのは6500系普通伊奈行き。大手私鉄の本線筋でも普通列車は2連と言う事実が関東のジョーシキからは考えられないのだが、確かに豊橋からこっち小さな無人駅が結構あったもんなあ。せっかく撮影の舞台がS字なのに、2連じゃ何のサマにもなりゃしないw


次。6800系準急豊川稲荷行き。で合ってるんだよね?(笑)。こっちはちょっと長めの6連。豊橋の駅が飯田線と共用になっているせいで、豊橋まで入線するのは特急急行が中心で、普通は手前の伊奈止まり、準急は国府から豊川線に回されてしまいます。これは豊橋駅が名鉄とJRの共用のため、1時間単位の豊橋への入線本数に関する協定が結ばれているためなんだそうな。これが豊橋付近の緩急接続がおもくそ悪い原因の一つになってるんだろうな。


どんどん行こう。3500系急行豊橋行き。さっきの6800系と基本的な表情に違いはござんせん。名鉄の通勤車ってこんな顔が多いみたいなんだが、失礼ですけど日車さんデザインちゃんと考えてますか?(笑)。なんか子供の描いた電車の絵みたいな…良く言えば簡潔な、悪く言えば手抜きと言われても仕方のないデザインレベルだと思わなくもない。運転台の下の「ECB」のエンブレムは、ECブレーキ=電気指令式ブレーキ車両の意味らしいが、威張るような事なのかな、それw


ここで名鉄のフラッグシップ車両1000系パノラマスーパー特急豊橋行きが満を持して。さっきまで名鉄の通勤車に悪態を突いてたから大将が登場しちゃったんだろうか(笑)。ファインダー覗いてたら豊橋方からも上りのパノラマスーパーが来襲してしまい、んだよ被りかよ!と思いつつ諦め半分で連写したら上がって来た画像がことのほかいい感じのパノラマスーパーの離合シーン@本宿カーブ、納得の一枚(笑)。


次。6000系普通伊奈行き。2連の普通に文句言ったから、今度は4連です(笑)。鉄道会社に顔があるとするなら、この顔がアタクシ的には名鉄の一般車のイメージ(特急車はもちろん初代パノラマカー)ですねえ。貫通路になんかサボが刺さってんなと思って良く見てみたら、「中京競馬場60周年」の記念サボでした。そういや今週から春の中京競馬開幕でしたねえ。中京競馬場やらウインズ金山やら笠松けいばやら、競馬絡みの乗客も名鉄のいわゆる「太客」なんでしょう。


三脚にTAMRONの長ダマ付けて、電車が来たらリモートコードで連写すると言うお気楽な撮影を続けていたら名鉄から前パン車両で怒りの鉄槌が(笑)。何だよ~名鉄にこんな前パン車両いるなんて知らなかったよ~。って撮り鉄の人以外には分からんと思うのだけど、なるべくバランス良く車両を画角に収めるためには、パンタグラフの位置ってとても重要なんですよね。名鉄車って基本的に後パンだと思ってたから、こっちも車両の上部をそんな開けた画角にしてないんですよ。三脚で置きながら撮ってるとこう言う時に微調整効かないんだよなあ(笑)。そのため天地がカツカツ&引き付け足らずの失敗写真になってしまいました。おっと車両は1700系快速特急豊橋行き。シングルアームの前パンにブラックフェイスと赤のスカートは、何だか南米とかにいるカブトムシのよーな異色のいで立ちです。


もう一本1000系パノラマスーパーの特急豊橋行き。初代パノラマカー引退後のフラッグシップ車両ですが、パノラマ部分は豊橋方の1両だけで岐阜方にはパノラマシートがありません。これは名鉄の本線特急が【←岐阜(一般席6両+特別席2両)豊橋→】と言う編成構成になっているためで、特別席には特急券を持った人しか乗れませんが(空港特急のミュースカイだけ全席指定)、一般席は普通乗車券のみで乗車可能です。一本の列車で着席需要と速達需要の両方を満たす思想な訳ですが、南海本線の「特急サザン」とかにも見られる関東にはない考え方ですね。


そーいやミューシリーズの車両が来てないなあ。そろそろ時間も小一時間経ったんで、それが来たら帰る事にして待っていたら諦めかけた頃に登場したのが2200系特急豊橋行き。2000系ミュースカイはブルーのカラーリングですが、やっぱ名鉄って言えば赤でしょ。前面のイメージは何となくN’EX風味がするが、まあ同じ空港特急と言う事で(笑)。こちらも豊橋寄りの2両だけが特別席で、残りの6両は一般車をぶら下げて走っているのはパノラマスーパーと同じ。競合相手が国鉄からJR東海になって以降、中京地区で特別料金なしの新快速をバンバン投入されて乗客を取られちゃった名鉄特急。国鉄時代ならいざ知らず本気になって儲けを追及するJR東海相手では…名鉄も不採算路線の廃止を始め徹底的な合理化を強いられているようですし、結構ケツに火が付いてますよね。このミューシリーズは巻き返しへの起爆剤なんでしょうが、相手の313系もあれはあれで相当完成された車両ですしねえ。

まあ、関東もんの聞きっかじりは諒とされたく…
軽やかにS字を駆け抜けて行った姿を見届けて、フィニッシュと致しましょう。
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