青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

日本一の特急チーム

2016年05月24日 19時00分00秒 | 近鉄

(旧街道の佇まい@三本松駅前)

宇陀路を行く街道・初瀬街道。桜井から松坂を結ぶ古くからの街道ですが、三本松の駅前に繋がる道は現在は拡幅された国道165号線の脇にひっそりと走る旧道部分。車一台通ればいっぱいの狭い道ですけど、道すがらの雰囲気が実に旧道っぽい雰囲気を残していて好ましいですね。


この三本松駅から室生口大野駅方面に15分程度、初瀬街道の旧道を歩いて行くと、高台から棚田と近鉄線の鉄橋&築堤を見通せる近鉄線全線の中でもかなーり有名な撮影地に出る事が出来ます。場所で言うと室生東小学校の脇。実は奈良行きの夜行バスから名阪国道の沿道を眺めていた時に、山間地の水田に水が張られていたのが見えたんですよね。あー、この辺りの田んぼは水が入り始めたんだね→水鏡狙いたいね→夕方に順光のポイントと言う事ではじき出したのがここだったんですが、残念薄日は時折射すもののガス曇り。

  

有名撮影ポイント&GWですから、三脚を並べている人間もちらほら。アングル的には結構キャパありそーな感じで開けてるんですが、最近立ったっぽい電柱のワイヤーがかなりのポイントで絶妙にひっかかるというイジワルな撮影地でもあります(笑)。ガス曇りであまり気勢が上がらないんですけど、今回の旅はほぼ天気には恵まれていたんで贅沢は言えないのかなあ。まあ特に毒にも薬にもならない写真を量産してしまいました。50000系しまかぜも来たでよ。

  

この辺りは普通列車や急行は毎時3本程度と少なく、通過するのは特急車両のオンパレード。それにしても近鉄の特急車って何種類あるんだろうな。ちなみに私は23000系の伊勢志摩ライナー(左画像)が好きです。上半分のピンクの塗り分けが近鉄特急車っぽくなくてちょっと斬新。ちょっとJR西日本のオーシャンアロー入ってますよね。


21020系アーバンライナーnext。近鉄の特急車は5桁の車番でざっくりまとめると常用形式が16形式、団体臨時用の形式が4形式の計20形式(ぐらい。たぶんマニア的にはもっと細分化されるんだと思われる)が現在活躍しています。両数で言うと450両くらいあるらしい。相鉄の全車両数がだいたい400両程度なので、一応大手私鉄で10連中心の相鉄より特急車だけで数を上回っている。系統別に整理すると名阪・阪伊・名伊・京伊・京橿・京奈・阪奈・吉野の8系統。色々とボリュームがあり過ぎて、それだけで一冊の本が出来そうなのがさすがに日本一の私鉄・近畿日本鉄道の特急チームである。

  

夕陽が射してくれば築堤と水が張られた棚田が茜色に輝いたのだろうけど、ガス曇りですからアングルを変えてみます。21000系アーバンライナーplus、2400系の急行、そしてダブルデッカーを組み込んだ30000系ビスタEX。我が地元小田急電鉄も平成24年まではLSE、HiSE、EXE、RSE、VSE、MSE、JR371と7形式の特急車両が走っていたのですけれど、現在は4形式までに減少。このような種々様々な特急が行き交う光景を見ていると、「MSEばっか増やすんじゃないよ」と最近の特急車の増備施策に文句も言いたくなる(笑)。


一通り近鉄特急車を堪能して三本松の駅に戻って来たら、帰りの電車待ちの間に50000系しまかぜが通過して行きました。ハイデッカー、カフェテリアのダブルデッカー、平サロ、コンパートメントと様々なシートスタイルのため個々の車両での窓配置がそれぞれ違っているのがスペシャル感ハンパないですねえ。世の中ななつ星だのカシオペアクルーズだのトランスイート四季彩だの金持ちのジジイ連中から回収する事しか考えてない列車ばっか出て来ますけど、しまかぜくらいだったら乗れないこともないからな(笑)。結構予約は取りにくいみたいだけど、車内のビュッフェで松坂牛のカレーとか出ちゃうんでしょ?食ってみたいわあ。
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河内から宇陀路へ

2016年05月23日 19時00分00秒 | 近鉄

(信州じゃないよ、河内だよ@河内長野駅)

美加の台駅から区間急行なんば行きに乗って朝通って来た河内長野リターンズ。「おー!よう来たのワレ!久しぶりやんけワレ!」と(朝以来ですが)言われてしまいそうに思えるのは「河内のオッサンの歌(ミス花子)」の印象が強いからなんでしょうか。コミックソングのように思えてギターのカッティングがファンク強くてカッコいいですよね(笑)。河内のほうの人に言わせると「そんなにワレワレ言うてないですよ」と言う事らしいが。

 

暑くなって来ましたので、駅前のノバティながの(駅ビル)で飲み物とタオルを補充。こっからは近鉄長野線に乗り換えます。長野電鉄の長野線は完乗しているので、ここで全国の長野線は完全制覇です。河内長野の駅は南海が2面4線ですが、近鉄はへりにくっついたような1面1線のホーム。近鉄のホームで待っていると、南海ホームに特急こうや9号が入線して来ました。


近鉄長野線は河内長野駅から羽曳野市の古市駅まで約20分。河内平野の東の縁を南北に走る路線です。河内長野からはしばらく単線なんですね。滝谷(たきだに)不動駅で上下列車が交換。富田林の市街地に入ると、羽曳野名物パーフェクトリバティー教団の大平和記念塔が山の上に見えて来ます。パーフェクトリバティー教団って言われちゃうと何ぞや、って感じですが「PL」って言われればご理解いただけるかと…♪わこおどのゆめ~ は~びきのの~ せいきゅうきよ~く あ~おぎみて、と言う感じ。


野球部の存亡はおろか、学園の存亡すら噂されるようになって久しいPL学園。色々な事情は推察されますが、PL学園!KKコンビ!池田高校!死闘!横浜商業!取手二高!そういうアツーイ昭和50年代後半の甲子園シーンがピンズドの世代にはただただ寂しい。って長野線の話何もしてねえな。河内長野の出発時はあんま乗ってなかったけど、富田林からそこそこ混んで来たよ。あと結構沿線に住宅建ってるのに、喜志から古市にかけて何の駅もないのは勿体ないような気がする。駅作れば?

 

古市駅。とりあえず腹が減ったので駅前に出て大阪王将でささっとギョーザ定食とか食ってワンブレイク。ここからは近鉄南大阪線にお乗り換え。アーバンライナーやしまかぜなど名だたる近鉄の花形特急が走り回る大阪線に隠れて日陰の身な感じのする南大阪線。関西本線から羽曳野地域への貨物輸送を目論んだ出自から国鉄規格の狭軌1067ミリで、大半が広軌1435ミリの近鉄線内においてなおさら亜流っぽい匂いの路線であります。

 

南大阪・吉野線系統の特急は21000系「さくらライナー」が主力ですが、我々世代にはこの16000系が吉野特急のイメージなんですよね。まだまだ現役よ。大手私鉄でも特急が2連ってーのが富山地鉄か!って感じなんですが、このサイズ感と狭軌で2両1ユニットで動ける機動力を活かして何本かは大井川鉄道へ譲渡されましたね。

 

古市の駅のベンチでコーヒー片手に休憩しつつ電車を待っていると、橿原神宮前行きの電車が…うわー、ちっちゃ(笑)。2連。南大阪線って一応本線筋だと思うんだけど、正直こっから先は優等以外は長野線より扱いが悪い感じ。乗客の流動が少ないのかねえ。確かに列車は2連で椅子の埋まらない状況で、河内平野と奈良盆地を隔てる穴虫峠を越えて行くのであります。

  

尺土で後続の急行吉野行きに乗り換え、橿原神宮前へ。狭軌の南大阪線と広軌の橿原線の接続駅なので、実質は隣り合った別の駅のような作りになってます。乗換通路の本屋で思わず近鉄時刻表とか買っちゃったよ…橿原・京都線方面のパタパタ。京都からの特急もあるでよ。京都観光してから翌日は吉野巡礼とか女子旅チックでいいですよね。京都から特急乗って来てもここで乗り換えになっちゃうけどね。

  

橿原線の橿原神宮前駅は、折り返しの南側が電留線のようになっていて構内踏切は基本開けっ放し。京都からの特急が到着しましたが、アタクシは左側の急行に乗って大和八木へ。

  

大和八木で大阪線に乗り換え。大和八木は大阪線と橿原線が十字にクロスする立体交差の駅ですが、京都方面から伊勢志摩方面への特急は手前の新ノ口駅から橿原線=大阪線間の連絡線を通って大阪線ホームに着きます。大和八木から伊勢中川の間の大阪線は名阪特急・大阪・京都~伊勢特急が入り乱れ毎時上下合わせて7~8本くらいの特急が走ってますね。


大和八木から乗車したのは急行の青山町行き。ひたすらスルKANを使いながら元を取って行くスタイル(笑)。既に時刻は16時前…高野山出てから4時間弱くらいかかっている。食事したり古市の駅でまったりしてたのもあるけど、結構日も傾いてきてしまった。降り立ったのは近鉄大阪線の三本松駅。ちょうど奈良県と三重県の県境に近く、次の赤目口駅から三重県に入ります。


この辺りの近鉄大阪線は、ローカルな宇陀路の里山と田園風景を眺めながら走るロケーションのいい区間。帰りがけの駄賃じゃないですけど、この駅で降りて近鉄を撮って帰ろうと思います。もう駅に降り立った瞬間から何だか良さそうな雰囲気を感じる山間の小駅。降り立ったのはもちろんアタクシ一人だけでした。
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さながら人生のように。

2016年05月03日 19時00分00秒 | 近鉄

(どこへ行こうと近鉄線@大和西大寺駅)

快速急行で奈良を発っておきながら、5分後に途中下車してしまうプレイ(笑)。はい、東西に走る奈良線に北は京都線、南は橿原線が接続する大和西大寺駅です。ともに主要路線が交わる、近鉄全体で見ても運用上の大事な結節点でもあります。ってか大和西大寺の駅の前で奈良線は平城京跡の真ん中を走るんだけども、そのスケール感が無駄に「古都・奈良」な感じを盛り上げてくれます。いつも使っている人間にしてみたらなんてこたあない風景なんでしょうが、これもヨソモノには凄く新鮮に見えるんですね(笑)。

   

東は奈良・西は大阪難波・南は橿原・北は京都。4・5番ホームは4番線を挟む形の変則3面5線の駅に、様々な方向から電車が来ては出て、出ては入りを繰り返す。その目まぐるしさはホームの駅員がひっきりなしにマイクで着線の案内放送を入れている事からも窺い知れるのでありますが。またこの駅では南北の京都・橿原線系統に直通する列車や当駅止めの折り返し電車があるため、奈良線の本線を横断する形での平面交差があったりするのもこの駅のカオス感に拍車をかけているような感じですね。


これが見たかった、大和西大寺駅の名物でもある駅東側のあまりにも複雑怪奇なポイント群たち。シングルスリップと片渡り線とシーサスクロッシングと…あーもう良くワカンネ。とにかくポイントの博物館のように複雑に絡み合う平面交差。果たしていくつの分岐があるのか数えるのも面倒です。前の日、子供に夜行バスで近鉄奈良から電車に乗る事になりそうだよと言ったら「じゃあやまとさいだいじは見てくるといいよ!ポイントいっぱいですごいんだよ!」と丁寧にアドバイスをいただいたので…いや、知ってたけど。そして本物見たら確かに凄いけど(笑)。

じーっと見ていると気が遠くなってくる。実際何通りの進路が取れるのだろうか。
何度も枝分かれ、そしてその先でもさらに複雑に絡みもつれるレール群に、人生を見たというのは言い過ぎでしょうか(笑)。
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