青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

宝ヶ池で考えた。

2024年11月04日 13時00分00秒 | 叡山電鉄

(ばっさりとした分岐駅@宝ヶ池駅)

叡山電車の宝ヶ池駅。ここで、鞍馬線と叡山本線が分岐します。複線から複線をバサッと分けるこのシンプルな配線がなんとも関西の私鉄っぽさっがあるよね。これは感覚的なものなのかもしれないけど、関東の私鉄って駅を出てから本線と支線が分かれて行くけど、関西の私鉄って駅の前で本線と支線の系統が分かれて行くイメージがある。代表的なのが阪急電車(能勢電鉄を含む)の配線なんですけど、南海の岸里玉出とか、京阪の中書島とかもそうだよね。関東の場合は、東京へ向かう本線筋に対して従する支線筋という明確な主従の関係があるけれど、関西は京阪神+奈良・和歌山という拠点がそれぞれの求心力を持ってネットワーク化しているから、どっちが主従ということもないからなのかな。あと、系統別で複々線を採用する区間が多いってのもあるかもしれない。

宝ヶ池の駅は3面4線。叡山本線と鞍馬線がそれぞれ相対式にホームを持ち、その間に挟まれたホームは島式。関東の私鉄だと、2面4線にしてそれぞれのホームで八瀬比叡山口・鞍馬行きの上下の電車を発着させそう。前述しましたが、分かりやすく言えば関東は「方向」でホームを分けるけど、関西は「系統(路線)」でホームを分ける傾向があるので、違うホームから同じ行き先の電車が出ることがある。これが関東から来ると慣れんのよね。ここ宝ヶ池駅と関東代表として東武動物公園駅小平駅をどちらも公式のHPのリンクで見比べていただきますが、宝ヶ池の駅から出町柳行きに乗ろうとすると、駅の案内をよく見ないと「次の出町柳行きはどっちのホームから出るかが分からん」ということになる。関東だと、だいたい方向別にまとまっているから同じ行き先の電車は同じホームから出発するんだけど、割と関西は「系統別」のホーム分離も幅を利かせていますよね・・・その極め付けが阪急の大阪梅田とか十三なんですけど。

本線・鞍馬線の分岐を渡って宝ヶ池の駅に進入する叡電の800形。大きな窓に前面の後退角、ストライプのデザインと居並ぶ抵抗器が、調べなくても絶妙に平成初期の電車のテイストって感じがする車両である。ここらへんがストライクゾーンの人って結構多そう。鞍馬の山を登り降りするために、強力なモーターと制御装置を備えているオール電動車編成。標高で言えば出町柳が約50m、宝ヶ池で90m弱、終点の鞍馬で230m強。比高では180m程度なるも、二の瀬駅周辺からは50‰の勾配を示す場所もあって、洛北の登山電車という感じの重装備を施してあります。当然、叡電も「パーミル会」に所属しています。

宝ヶ池では、鞍馬の山から下って来た叡山電車のエース「きらら」ことデオ900形と並びました。この「デオ」という型式、叡山電車独特のもので、電動車の「デ」、大型車の「オ」で=「デオ」という型式が採られています。じゃあなにかい、小型だと「デコ」なのかい。と思わず江戸っ子のクマさんが身を乗り出して来そうなのですが、「デコ」という型式の採用は過去の叡電の歴史上でもありません。その代わりと言っちゃあなんですが、昔の叡電の車両にはもう一つ「デナ」という型式がありましてな。デは分かるけど、ナってなんだよって思うじゃないですか。これが「中型(ナカガタ)」の「ナ」のことなんだそうです。思わず「チュウガタじゃないんかい!」って言いたくなりますよね。そういうもんらしいです(笑)。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする