青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

Stay Local いつまでも

2008年10月05日 12時45分29秒 | 日常

「始発列車」
(上総牛久駅)

昨日の続き。

で、深夜の海ほたるで友人と別れた私は、しばし仮眠を取った後に小湊鉄道の撮影に(笑)。
今年の春の2回に続いて3回目の訪問です。
まあ、アクアライン乗ったなら選択肢はこれしかないわなあ。
小湊一本買いになってしまうのはある意味仕方ないです。
前回の経験を活かしてもう一度撮り歩いてみたいなあと思っていたのもあるし。

アクアを抜けて、朝5時に小湊鉄道の中間の主要駅である上総牛久駅に到着。
小湊の車両は全てキハ200型と言うちょっと丸っこい感じの気動車。
DMH17Cと言う独特のエンジンのガラガラ音が特徴ですな。
デザインにとりたてて特筆すべき点はないんだけど、それでも3編成並ぶと壮観です。

「芙蓉の駅」
(月崎駅)
月崎駅では、ピンクの花がホーム一面に咲き乱れていました。
花の名前は知識不足で知らなかったんだけど、聞けば「芙蓉」の花だとの事。
そう言えば9月の中山に「芙蓉ステークス」ってあるもんねえ。
木造の古い駅舎と駅名票を包む季節の花。
「列車を撮らずとも絵になる」と言う雰囲気が、小湊の魅力かもしれません。

「川面、静かに」
(里見~飯給間)
小湊鉄道は、起点の五井から終点の上総中野まで、ほぼ養老川に沿って走ります。
養老川の刻む谷が、だいぶ深くなってくるのがこの辺り。
それでも、高い山のない房総では、谷は深くとも水は緩やかに流れます。
高低差がないんですね。
静かな水面に姿を映して、列車は走ります。

「秋支度」
(里見~飯給間)
里見の駅を出たすぐの、県道沿いのSカーブ。
このSカーブ、春に訪れた時には一面の菜の花だったねえ。
カーブを覆うように立つイチョウの木。
夏の青さとは明らかに違う色に、確実な秋の気配を感じます。

「秋草銀波」
(上総中野~養老渓谷間)
稲穂の穂波は終わっていましたが、ススキの列が線路を覆っていました。
若いススキの穂って、上質な感じの銀色ですよね。
これから晩秋に向けて、銀波から金波へ変わっていくんでしょう。
養老渓谷から上総中野にかけては、房総半島の分水嶺にもなる低い峠道が続きます。
サミットへ向けて、紫煙を吐きながら列車が上って行きました。

「刈穂の煙棚引いて」
(上総久保~上総鶴舞間)
昼を前にして、ようやく雲が切れてきました。
大きな空に白い雲、夏とは違う高い空が戻って来ました。
稲刈りを終えた田んぼでは、枯れ藁を集めては野焼きの作業中。
列車の吐く煙と、野焼きの煙のコラボレーション。
決して列車がエンストしている訳ではありません(笑)。

「秋空」
(上総久保駅)
昼になり、文句のない天気になって来ました。
秋空と言うのは「抜けるよう」と言う形容詞を使いますが、まさにそんな感じ。
この空の色と白い雲があれば、誰がどう撮ったってきれいでしょうね。
大きなイチョウがポイントの上総久保の駅も、今日は脇役。
構図的に隅っこに追いやってみた列車ともども、ご不満の様子。

「深森を往く」
(養老渓谷~上総大久保間)
単行キハが深い森の中を行きます。
休耕田に一本の柿の木、わずかに柿の実も色付いているようです。
小湊のカラーリングと言うのはいわゆる「国鉄色」なんですが、
こうして見ると、里山の風景に非常に映えると言うか引き立つ色をしていますね。
景色の中で埋もれずに、存在感の出る色だと思います。

「わら地蔵」
(上総久保駅)
先ほどの上総久保駅で、同じ場所から違うアングルで。
田んぼのあぜにちょこんと並んだわら地蔵。
ってか、何て言うんですかね、これ。勝手に命名したが…
ひな人形のようでもあり。
でも「わら人形」じゃあなあw

「荘厳」
(上総川間駅)
養老温泉に浸かり、午後も遅くなって来ると雲が増えて来ました。
これは露出が厳しそうだななあなんて考えていると、雲の切れ間から光がこぼれて来ました。
これは光芒(こうぼう)と言うヤツですね。
この現象、古代から「神の降臨」の象徴だと言われて畏れられていたそうですが…
ローカルな小湊に、突然現れた荘厳な雰囲気。

「里の秋」
(上総大久保~月崎間)
おなじみ大久保の大カーブ。
♪静かな静かな 里の秋 お背戸に木の実の 落ちる夜は
「お背戸」ってなんでしょうねと調べてみたら、家の裏庭のことらしい。
ともかく、そんな童謡がピタリと当てはまるような、里山の夕景。
西の山に陽は翳り、雲がほのかに朱に染まる。
香りが鼻をくすぐる、野焼きの煙の中を。

撮影が終わり、家までは圏央道の木更津東ICからアクアライン経由で1時間20分。
そんな場所に、東京近郊とは思えない雰囲気が保たれています。
しかし、そんな小湊沿線にも確実に開発の波は押し寄せているようで、
高滝付近では圏央道の延長工事が行われていましたね。

便利な社会になればなるほど、人は不便さをいとおしむ罪深き生き物です。
そして私も、その一人です。

Stay Local.イツマデモ。

コメント
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