青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

内ヶ巻栄枯盛衰

2018年05月01日 17時00分00秒 | 飯山線

(トンガリ屋根の駅舎と@内ヶ巻駅)

意外にも残っていた魚沼の桜を探して、内ヶ巻の駅までやって来ました。ここの桜は老木なのであまり勢いはありませんが、それでも今年も精いっぱい花を付けています。信濃平から進めてきた飯山線の春の旅、ひとまずここ内ヶ巻が折り返し地点。飯山線標準仕様のトンガリ屋根の駅舎とともに。


やって来た十日町行き190D。街道筋から離れた位置にある内ヶ巻の駅は、いつ来てもひっそりとしているのですけれども、この列車からは一人の乗客が降りて来た。乗客がいるという事は、駅が生きていることの証。最近テレビで「ローカル線の秘境駅で一日待って利用者がいるかどうかを探す」みたいな番組をやってるけど、あれついつい見てしまうんよねえ…(笑)。


土手に咲いた黄色いスイセンとともに。幌側が順光になるのは午後からなので、この光線はありがたい。側面弱いけど。今回の飯山線の撮影でなんだかんだ言って一番桜が残ってたのは内ヶ巻だったな。地面の雪の残り方とか見ても、信越国境と比べて気温の上がり方が遅いのかもしれない。ここの桜はテングスにやられちゃってるのも多いんで、誰か手を入れてあげて欲しいなあ。過疎化で人がいないのは承知しておりますが…


のどかな山村、という感じの今の様子からは考えられないけど、ここ内ヶ巻も昭和30年代に周辺の田麦山で油田が操業を開始した時期はたいそう賑わったそうです。油田としての田麦山の全盛期は短く、とうの昔に操業を停止してはいますけれども、新潟とか秋田とかの日本海側って今でも僅かながら国産の原油が取れたりするんだよね。んで、石油や天然ガスのボーリングの副産物として掘り抜かれた温泉が多いのも特徴だわな。瀬波とか月岡とか、ツンと油臭い名湯が多いのも特徴。


石油などの鉱物資源は、地面に封じ込められた動植物などの有機体が、地圧によって変性して形成されるものとされています。内ヶ巻の周辺地図を見ると、南側にある川口田麦山の周辺だけが山間部のくぼ地になっているのですが、何らかの地殻変動で地盤が落ち込み、そこに動植物などの死骸が流れ込んで溜まり、悠久の時の流れの中で地層が積み重なって石油となった…というメカニズムなんでしょうな。

何らかの地殻変動、と言いましたけど、おそらく原因は地震なんでしょうね。断層帯の非常に多いこの地域は、直下型地震の巣であることもまた頷ける話で、2004年の中越地震の震源地がここ旧川口町とされています。
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