(村人の暮らしとともに@野沢温泉麻釜)
森宮の駅前でマルヨしたは良いが、さすがに北信の朝はまだ少し肌寒かった。毛布はかぶっていたのだけど、体が冷えてしまったので結局朝も野沢温泉に温まりに行く。麻釜では、朝もはよから村の人が山菜を茹でていた。温泉で茹でると、アクもよく抜けて柔らかく仕上がるんだそうな。秋になると、野沢菜漬けにする葉っぱも温泉で洗ってるのを見る。野沢菜の茎のシャキシャキしたのが好き。葉っぱは葉っぱでご飯を巻いて食べるのが好き。
朝湯は今日も霊泉真湯。泉質は単純硫黄泉、痔疾など温めるとよい病に効能。誰も入ってない一番風呂は鬼のように熱かった。人生の終わりが見えた頃、隠居するんだったら野沢温泉辺りがいいかなと思う。温泉入って野沢菜でビールでも飲みながら飯山線撮って暮らすとかよさげ。もうその頃は飯山線もハイブリッド気動車だろうか。最近はインバウンド需要だけでなく、野沢に移住してくる外国人も増加しているそうだ。真湯を出る時、外国人の若い男性が普通に風呂に入りに来た。そういう時代らしい。
桑名川のバイパス旧道俯瞰から162D。R403の市川橋のたもとから登って行くのだが、結構崖にへばりついている道なのでそこそこ眺望は効く。上桑名川の駅手前、照岡の集落の裏の森が鮮やかな春の色になっていました。そう言えば去年の春にこの辺りの裏山が大規模な土砂崩れを起こして、土石流の危険があるとかで長いこと飯山線が運休になっていたことがありましたねえ。雪解け水をたっぷり含んだ土壌は滑りやすい。
列車は上桑名川の駅を出て、千曲川に沿いながら戸狩へ。桑名川のバイパス旧道俯瞰、おそらく冬季は除雪が来ないと思われるが、こういうトコにカンジキ履きで入って雪に沈む北信の里を俯瞰したら楽しいんだろうなあと思う。上向いたらすっごい崖なんで雪崩のリスクは相当だと思われるが…(笑)。
森宮始発の162Dは、戸狩で折り返して163Dへ。上境の駅先の踏切で。集落の外れの気持ちの良いインカーブ、里山の森の中でカミンズエンジンの軽やかなサウンドを聞きながら。うーん、ここは123D飯山色2連でやれたら結構最高じゃないかな?
振り返って、163Dをもうワンショット。北信の人々は、冬が嫌だ、雪が嫌だと言う。罪深き都会の人は、それを風趣として喜ぶ。それにはどちらにも理があって、日常と非日常のないものねだり。隣の芝生の色の話なのでありましょう。ただ一つ確かなことは、冬の厳しさがあるから、北信の春はこれほどまでに美しいんじゃないかなあ。
「何回むかえても春はいいねぇ」と
ひとり暮らしのおばあさんは笑った
誰もが嬉しい春だから
(滝沢豊満氏著「ふるさと飯山線」より)
ひとり暮らしのおばあさんは笑った
誰もが嬉しい春だから
(滝沢豊満氏著「ふるさと飯山線」より)
押し寄せるような新緑のグラデーションの中を、飯山色のキハが去って行きます。
飯山線春の歳時記、これにて結びの一枚。