(雪の轍を踏んで@津南~越後田中間)
確か、去年も雪の時期に飯山線を訪れて、この田中の軽俯瞰からSカーブを見下ろしていた。その時も、飯山色は164Dに充当されていた。あの日と同じか。いや、雪の降り方だけは今日の方が激しいかな。手早く履いている長靴でガンガンと雪壁に足場を作り、二丁のカメラでターゲットを待つ。いつもなら風に乗って聞こえて来るはずのジョイント音が全く頼りにならないので、Sカーブの先の雪の森に目を凝らす。気温がそこまで低くないせいか、降る雪はすぐにべちゃべちゃとカメラやコートを濡らして鬱陶しいことこの上ない。雪が強いので遅れを持ってくるか…と心配していたのだが、これしきの雪は飯山線ではものの数ではないらしい。定刻きっちりに、飯山色がSカーブに姿を現しました。
雪の進軍、氷を踏んで…と言うのは大袈裟だけれども、大人の肩以上は確実に積もっているであろう雪の中を進む164D。秋の暮れ行く山々を眺めながら、ススキ輝く道を撮影したのがついこの間なのが信じられない。一面の銀世界である。雪壁の中を進む列車は足元までなかなか抜きにくいのが難点だけど、それも深雪の里を行く雰囲気と捉えればさもありなん。集落の道も至るところで繰り返し行われた除雪の結果、うず高く積もった雪の壁が迷路のように続いているのであった。
森宮野原を越え、雪はどんどん深くなっていく。これだけの雪に閉ざされる日々の暮らし。冬の間の雪国の、特に農業に生きる人は何をして生きているのだろうと不思議に思ってしまう。昔のように、春になったら農作業で使う草鞋や菅笠を編んで、秋に漬けた野沢菜を噛んで暮らしている訳でもないだろう。それこそ国鉄の時代には、冬場の沿線農家の人々はほうぼうで除雪要員として駆り出され、それが貴重な冬場の現金収入になっていたそうだが。
除雪の来ない道へ、カメラを抱えて腰まで埋まりながらの雪中行軍。
カンジキ買って来れば良かったぜ。