青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

上境雪描

2019年01月16日 22時30分00秒 | 飯山線

(千曲川のシュプール@上桑名川~上境間)

真っ白な、真っ白な河岸段丘の森に沿って続く鉄路。鋼色の川の流れと、落雪除けの片持ちのスノーシェッドが飯山線らしさ満載の光景。戸狩野沢温泉~津南周辺まで、飯山線は千曲川と付かず離れずのランデブーを繰り返しますが、一番接近して走るのがこの上境の辺り。鉄道が走る前はもっぱらこの地区の交通手段は千曲川の水運によって行われていたそうですが、この雪国の隘路を切り開いた飯山鉄道(飯山線の前身)のスポンサーは、西大滝ダムの建設を推進した地元の電力会社だったとか。ダムの建設のため、そしてダム建設によって影響を受ける水運に代わる交通手段を確保するため、鉄道の建設が急がれたのではないかと思われます。


千曲の名の通り、地形に合わせて屈曲する川の流れ。特にトンネルを掘る事も、橋を架ける事もなく、大地に描いた流路に沿って優しく寄り添う飯山線の線路。桑名川から戸狩にかけては、あたかもスキーヤーがゲレンデに描くシュプールのように、流麗なS字を描いて走って行きます。線路がカーブしているのと、最高速度も65km/hと控えめな区間。追っ掛けていると、走っている列車には簡単に追い付いてしまう。下境の集落を、コトンコトンと飯山色が通り過ぎて行きます。
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