(降りしきる雪の中を@戸狩野沢温泉駅)
時刻AM4:40。降りしきる雪の中を、音もなく戸狩野沢温泉の駅にやって来たのが回8121D。通常時であれば、森宮野原に上下の始発列車2本(1両×2)、戸狩野沢温泉に長野行き始発列車1本(2両)を滞泊させる飯山線の運用ですが、降雪の見込まれる冬季に限っては夜間滞泊を行わず、早朝にこうして長野の車両センターから送り込み回送が行われています。この日は先頭から【飯山・一般・一般・飯山】という豪華なセット…飯山線からのお年玉ってトコでしょうか(笑)。
冬場しか使われない、回8121Dの停目。後方2両が充当される120Dの先頭を長野方2連の停目に付けるため、戸狩の駅のホームから大きくはみ出した跨線橋の先に立っている。最初、4連だから普通の4連の停目に付けるだろうと思って待っていたのだが大きく空振りしてしまった。飯山線の標識は雪に埋もれないように長く高く刺さっているので目立ちますが、8121Dの停目は気が付かなかったなあ。
回8121Dから、折り返し長野行き始発120Dを切り離す作業。雪の中、黙々と動く人影。こんな時間、こんな雪の中で撮影に来ている私は伊達と酔狂だと笑っていればいいけれど、彼らは仕事だ。作業をこなす職員さんの仕事ぶりに、思わず旅人は鉄路の定時運行に向けた責任感とプライドを見てしまうのだが、彼らの心の中はいかばかりか。どうしてもマニアは過剰に感情移入してしまう生き物だが、案外「さっさと上がって家で焼酎のお湯割りでも飲みてぇなあ…」なんてグチっているかもしれない。もしそうだとしても作業の手順に抜かりはなく、豪雪地帯の地域の足である鉄路を守る姿に変わりはない。10秒目を閉じていたから居眠りだといって、SNSで車掌が通報されてしまう世の中は、なんか世知辛い。
滞泊を行わない飯山線の冬ダイヤ。森宮野原の最終列車を上下2両分まとめ、戸狩着の最終2連をくっつけ、回8154Dとして長野のねぐらに帰って来るのはAM1時頃だそうだ。豪雪地帯での滞泊を行わないのは、夜間の除雪作業の障害になるだけでなく、突然の雪崩などで車両が孤立して運用に影響するリスクや、ダイヤ乱れに即応できる運転士の人員確保などを勘案した結果だと思われる。夜中の1時過ぎに戻って早朝4時前には送り込みのために出庫なのだから、飯山キハは寝る間もない。冬場は不夜城と化す、飯山線の奮闘ぶりである。
車内灯の消えた回レが、桑名川の照岡の集落の踏切を通過。
水銀灯に、明るいパープルと虹が浮かび上がります。