(地方私鉄の厳しい現実@館田駅)
館田駅の待合室に掲示してあった従業員募集の告知。2025年問題という団塊世代の高齢化による労働力不足は、否応なしに地方私鉄の現場にも押し寄せています。そもそも公共交通機関は「売上」である運賃を国交省による認可により定められた事業ということで、なかなか営利性のみを追求した形にはしにくいものです。大手私鉄は別事業として不動産や建設、小売り、流通などをグループ会社で持つことによる収益の補完構造が成立していますけども、地方私鉄はなかなかそのようなコングロマリット的な事業体系は形成できず、慢性的な低賃金にあえいでいます。地方の過疎化は、乗客減少にもつながりますけど、労働環境の悪化にも直結していて・・・運転士もそれを支える技術職も高齢化し、再雇用などをかけて騙し騙し職場のシフトを回しているのが現状のようです。運転士のみならず、車両保守や保線や饋電関係を担える人材が枯渇しかかっているのですよね。正直、必須ではないにしろ電気工事二種免許まで求めて正社員じゃなくてアルバイト待遇まであり得るというのはどこまで集まるのかねえ・・・という気がしますし、賃金は?という一番大事なところが書いていないところに、人事担当者の苦悩が感じられます。「はぁ~客もいねェ、人もいねェ、おカネもそれほど払えねェ」ということで、おらこんな街イヤだぁにはなって欲しくないもんだが。
難しいことを考えていたら寒くなってしまったので、津軽らしく朝湯を楽しんで行く事にします。駅から南の方向に歩いて5分くらいの場所にある「館田温泉」。津軽地方、それこそ北の五所川原から弘前・平川・黒石・大鰐の範囲は、石を投げれば当たるのではないかというくらいの温泉施設のメッカで、通りすがりに見つけた温泉に全部入ってたら簡単に日が暮れてしまうだろう。という訳でこの温泉も、前を通ったことあるので存在は知ってたんだけど立ち寄ったことはなかったんですよね。朝5時からやってるってのもいかにも津軽クオリティ。名古屋のモーニングじゃないけど結構青森の朝湯戦争も激しさがあって、それはサービスというよりも「開湯時間」なんですよね。一応決めごととして「朝5時」にしているところが多いんですけど、その時間を目指して一番風呂に行ったらもうお湯に浸かってるジモのオッサンが何人もいたりする。「いつから開けてるんだ?」「営業時間の概念って?」という根本的な疑問がありますし、そもそも来る客も来る客であんたらいつ寝てんの・・・と。そう思って一度湯船で聞いたことあるんですけど、青森のおっさんらって寝るのも凄く早いらしいのですよ。夕方の5時くらいから晩酌始めて、6時くらいにご飯食べて7時のニュース見て8時には寝ちゃう、みたいな。勿論会社勤めのホワイトカラーの人たちとかはそうも行かんのでしょうけど、リンゴ農家の人とか、お米の農家さんとか、そういう第一次産業の人が中心の地域ならではの生活サイクルなんでしょうね。そら夜8時に寝てたら朝4時に起きてもばっちり8時間睡眠だでなあ。館田温泉はいかにも津軽らしい重曹の効いた塩化物泉でツルツルとした肌触り。そしてなんか妙に旨みの効いた和風出汁的な塩味がある。それにしても一浴でポカポカとやたらと温まりが良いのは津軽の温泉の力だなあ。湯上がりに東奥日報読んで400円でした。
ホカホカの体で館田駅へ戻る。ちょうどやって来た7153編成の弘前行き、行き先表示のステッカーもボディのブルーの線も擦れてしまって痛々しい。ちなみにこのヘッドマークの「柏木温泉」というのはお隣平賀駅から南のほうに歩いて行くとある温泉施設である。弘南線、昼間がおおかた一時間ヘッドになって、利用者の利便性はどうなのだろうか。朝夕の高校生の通学には影響を出さないように・・・ということでの日中を間引いた減便策。まだ黒石方面は弘前へ直接出る弘南バスが一時間に一本あるからいいんだけど、弘前から平川を渡ったこの館田とか平賀の市街などの中心地は日に何本かのコミュバス程度の交通インフラしかなく、単純に弘南線の減便は交通インフラの後退でしょう。公共交通が公共交通として有意に定期客以外の日常の利用に耐えうるのは毎時一本が最低限のラインなのだそうだが、これ以上のダイヤ上の後退がないことを祈るのみである。
地方私鉄の人材不足と経営難は深刻ですよね。
ジモティの長電も運転士不足により一部特急列車の減便という状態ですからね。
弘南鉄道の休止報道を受けて、津軽に行かなければという気持ちに駆り立てられています。基本は距離ガバのドライブ中毒な小生ですが、地方私鉄のある風景には惹かれるものがあり、出先では意味もなく線路に吸い寄せられ、列車を待ってしまいます(苦笑)
津軽へ行ったら道、鉄、湯と絡めて楽みたいものです。
大鰐線に残された時間はあと三年しかありませんが、三年あれば結構色々なことが出来るような気はします。
ただ、「三年」という期限は区切られましたが、地元が同意してしまえば廃線の前倒しがあるのではないかと思っています。
朝夕は学生の乗車がありますが、日中や夜間は乗車の痕跡すら少なく・・・
なので、善は急げです。