青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

秩父鉄道に乗って来ました(前編)

2008年02月03日 09時50分02秒 | 日常
(画像:秩父駅ホームより)

秩父のシンボル・武甲山。
石灰石の採掘で形が変わるほど削り取られた山容は、独特のものがあります。
ホームから山を眺めながら、真っ先にこの馬の事を思い出したのだが(笑)。

昨日訪問した秩父鉄道は、埼玉県中部の羽生から埼玉北部を横断するように終点三峰口までの71.7kmを結ぶ、地方私鉄にしてはかなり長い路線です。
羽生から熊谷近辺では都市間輸送、寄居からは荒川の渓谷に沿い、名勝長瀞を経て秩父盆地へ。春は羊山公園の芝桜、夏はキャンプと川遊び、秋は紅葉、冬は秩父神社の夜祭と四季に見所のある秩父盆地へのアクセス手段として利用されております。
また、秩父地方の重要産業である石灰石輸送に重要な役割を果たしており、この会社の株主は古くは秩父セメント、現在は筆頭株主は太平洋セメント(合併のため)ですが、秩父鉄道は子会社と言う形になっており、きちんとジャスダックに上場もしてるそうで(初めて知ったw)、事業態様としてはローカル線と言うのもちょっと違うような、立派な会社です。確か、三重県の三岐鉄道も親会社が太平洋セメントだったような…あちも石灰石出るのかね。
ちなみに先週訪問した鶴見線も、奥多摩から産出された石灰石を加工するために敷設されたんで、先週からはセメントつながりの乗り鉄です(笑)。前身の鶴見臨港鉄道の敷設に関わっていた旧アサノセメント(浅野財閥系)は、やっぱり現在の太平洋セメントに合併されておりまする。つか、プロレスリング・ノアのレスラー田上明の必殺技は「秩父セメント」らしい。どんな技だw
最近は「パレオエクスプレス」と言う蒸気機関車(C58)を走らせたり、割と鉄ヲタにもフレンドリーな企画を積極的に打って出る会社でもあります。今の時期は冬季運休中ですが、まあ蒸気もいいけどヲタはウザイし(同属嫌悪)、蒸気ナシの時期のほうがマターリしていいんじゃね?と言う訳です。

●秩父へ
家から流れの悪いR16を延々と入間まで走り、R299で飯能市街をパスして秩父方面へ。飯能を出ると道は高麗川沿いのワインディングになり、車も少なくなって快適に流れる。右へ左へ寄り添うのが西武秩父線。
何故か急に西武秩父線に乗ってみたくなったので、正丸駅の駅前に車を止める。ハイキング客用に一日借りの駐車場があり、1日500円。正丸駅は、奥武蔵の壁として立ちはだかる正丸峠を目前に控えた山間の小駅で、なんと西武線内で一番乗降客の少ない駅なのだとか。そんな駅ですが、PASMOは使えますw
やって来たのは西武電車の山男こと西武4000系・快速急行三峰口&長瀞行。車内はクロスシートにトイレ付きと言うおよそ普段の西武電車のスペックとはかけ離れた、山岳専用のパワフルトレインであります。
正丸峠の下を貫く正丸トンネルは4811m。名張の山奥にある近鉄の新青山トンネルが出来るまで私鉄最長を誇ったトンネルをライオンズカラーがかっ飛ばす。秩父鉄道線内乗り入れ急行ですのでそのまま乗ってても良かったんだけど、PASMOで入っちゃった関係上西武秩父で下車せざるを得なくなった。うかつ。

●お花畑で捕まえて
西武秩父駅から秩父鉄道の御花畑駅へは商店街を経由して徒歩5分程度。商店街の路地裏にひっそりと木造の駅舎があります。しかし、御花畑って駅名はなんかメンヘラーの頭の中のようだ(笑)。開業当時からこの駅名らしいが、名前を付けた人間の頭の中のほうがよっぽど御花畑だよ。
地方私鉄らしいレトロな改札口。高校出たてっぽい出札の女の子はメバチマグロのようにくっきりしたアイラインが印象的な秩父ヤンキーですw。そんな方から、一日乗車券「遊々フリーきっぷ(1400円)」を購入して、秩父鉄道の旅を開始する事と致しましょう。

●秩父鉄道の車両たち(人が乗る用)
さて、現在の秩父鉄道で活躍している車両は全部で3形式。昔は自社製造の車両であったそうなのですが、ご多分に漏れずここでも他社のお下がり車両が第二の人生を送っております。
その中でも主力となるのが旧国鉄101系を3両編成に組み替えた1000系。だいたい日中はこの編成が羽生と三峰口の間を行ったり来たりしているようです。南武線ユーザーだった私には、車内が酒臭いイメージしかなかった印象の良くない車両でもありますw走り始めて40~50年になろうかという車内のヤレっぷりもなかなかなもんですが、一応は日本の高度経済成長を支えた名車、と言う事になるんでしょうか。
それを逆手に取って、秩父鉄道では一部を「なつかしの国電塗装」として塗り替え、鉄道ファンの注目の的になっております。新津のキハ52もそうだけど、今は国鉄色って人気あるもんねえ。単に国鉄時代は車両の塗装に使える色の数に制限があって、当時は没個性だの暗いだのと言われていたそうですが…ちなみにこの旧国電塗装、昨日は京浜東北色(スカイブルー)総武色(カナリアイエロー)が走っていました。中央線色(バーミリオンオレンジ)もいるんだけど、地元氏によれば現在は調子が悪くて車庫で修理中との事。
カナリアイエローは総武線と言うよりは自分にはまんま南武線で、懐かし!と言う感じなのだが、リアルさを追求するなら真ん中に色違いのウグイス色をブッ込んで欲しかった(笑)。昔の南武線は冷遇されてたから、山手線とか常磐線とかから放り捨てられた101系をつなぎ直して、色がアベコベなまんまよく走らせていたもんだ。
普通列車用はもう一つ5000系というのがおりまして、これは元都営三田線6000系。4編成が在籍し、やはり3連に改装されております。今でこそ東急目蒲線と繋がって城南の通勤新線として変貌した都営三田線も、三田と高島平の間を走っていた時代は実に印象の希薄な路線だったのだが、この車両はそんな印象薄な時代の三田線の主力車両。西高島平から荒川を遡上して秩父にたどり着いた苦労人なんでしょう(←いい加減)。地方私鉄にはステンレス車両をするカネはないから、長野電鉄にいた営団の日比谷線3000系とか結構地下鉄のお下がりを地上転用するのは多いですよね。
あとは線内急行「秩父路」に使用される6000系。これは旧西武新101系。ややこしいがそうとしか言えない。簡単に言うと西武の通勤車両のロングシートをひっぺがして、一応座席には重機のエサになるレッドアローの座席をかっぱらって付けましたんで急行料金を取りますよ、とそう言う車両です(笑)。前面は大改造されてますが、窓周りに西武新101系の面影がありますな。無駄にLED表示とか付けてるけど、正直パッと見あんまりかっちょよろしくない車両だな、と(笑)。ちなみにこの車両、そんな派生部品でばかり作ったものだから座席と窓の幅が合ってないそうです(笑)。何じゃそりゃ。昨日は長瀞の宝登山(ほどさん)で開催された朧梅(ろうばい)祭りを記念したヘッドマーク付きで走行。ロウバイ祭りってなあみんな((((;゜Д゜)))な感じなのかしら(違)。

●とりあえず三峰口へ
御花畑から、まずは終点の三峰口を目指して旧国電101系車両に乗車。
ダカダカダカダカ言う床下からのコンプレッサの音が懐かしい。三峰口に向かっては次第に川幅を縮めて行く荒川に沿って右に行ったり左に行ったり。カーブが多くスピードは出ず、小さな駅を丹念に拾って行く。しかしながら、どんな小さな駅でもしっかり駅員さんがおり、古いながらも整備されているのがいいですね。
およそ30分で三峰口駅。いいじゃないすかこの雰囲気!きっと模型マニアならそのまま基礎ごとお持ち帰り必至ですね(笑)。関東の駅100選にも選ばれたそうなので、台紙付きの記念入場券を買っておきました。ちなみにこの秩父鉄道には、こんな味わい深い駅がいくつも当たり前のように存在する事が分かりましたが、その辺りは追って。

三峰口からは6000系の羽生行きに乗ってトンボ返り。
秩父鉄道の真髄とも言うべき、貨物輸送を見学に行くことに致しましょう。
岳南のときもそうだけど、割と貨物列車好きだな、俺。

続く。
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