青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

モダニズムイン六甲

2019年08月11日 17時00分00秒 | その他私鉄

(阪神間モダニズム@六甲ケーブル六甲山上駅)

摩耶ロープウェイの摩耶山上から、阪急バスに乗って六甲山上を縦走。六甲ケーブルの六甲山上駅にやって来ました。こちらもまたアールデコ調のクラシカルな駅舎、六甲ケーブルが出来た昭和初期からの伝統ある建造物です。この六甲ケーブルに限らず、鋼索線やロープウェイの駅には時折おやっと思うほど伝統と風格が感じられる駅舎があるような気がしますね。おおかたの駅が立地の厳しい山岳地帯にあって、容易に再建築が効かないということもあるんだろうけど、開業当時の姿をそのまま残している事が多い。

六甲山の中腹に立つ六甲山上駅は、地上3階地下1階の規模を持ちます。外壁のところどころにレリーフがはめ込まれるなど、標高は730mの位置にあり、摩耶山ロープウェイの星の駅(山上駅)に比べると70m程度低い。屋上の展望台は昭和天皇の行幸を仰いだこともあって、天覧台と呼ばれている。先ほどの眺めに比べ、やや目線が下がっているのがお分かりいただけるだろうか。

昭和初期に、阪神・阪急の両私鉄によって競うように開発された西宮・芦屋・灘などの表六甲各地区には、西洋のエッセンスを取り入れつつも日本文化と融合させた「阪神間モダニズム」という都市形成のムーブメントがありましたが、この六甲山上駅もその潮流に沿った形で出来た駅なのでしょう。大きくゆったりとした車寄せと、西洋のホールを思わせる高天井の待合室。裾の広がった丸階段と、階段の仕切りについた丸窓にコンセプトの統一感があって佳き。陳腐な表現だが、なんというか、松屋に代表されるような昭和の銀座のデパート感というかね。レトロお洒落だよね。

さて、六甲ケーブルで麓まで降りる事にします。摩耶ケーブルはあんまり化粧っ気のないフツウのケーブルカーだったけど。こっちはガッツリと観光施設的自覚に満ち溢れた雰囲気で、山の下手側の車両はオープンエアーのトロッコ車両になっていました。分かる人にしか分からないと思いますが、かつて下津井電鉄が起死回生で製造したメリーベル号のような、あーいう感じです。

大きく六甲の森の爽やかな空気を取り込みながら、山麓までは約10分。途中に何本もトンネルがあったりして、アトラクション的にも結構楽しめます。距離の1.7kmってそこそこ長いんじゃないですかね。と思って調べてみたら、比叡山坂本ケーブル(2,025m)に次いで日本第2位の長さ(1,764m)なんだそうな。坂本ケーブルが中間駅を挟んでの全長という事を考えると、山麓~山上間のワンスパンを一気に上り下りする六甲ケーブルは駅間距離が日本一長いケーブルカーと言えます。

摩耶ケーブルは駅前(摩耶ケーブル下)まで行くバスの本数が少ないのだけど、六甲ケーブルは山麓駅の前にバスターミナルがあって、阪急六甲やJR六甲道、阪神御影方面へ路線バスが結構頻繁に走っている。六甲山観光のルートは大まかに言えば二つありまして、我々が使った六甲ケーブルから山上バスで摩耶山に抜けてまやビューラインを使うルートと、六甲ケーブルから山上バスと六甲有馬ロープウェイを使って最終的には有馬温泉に出るルートがあるのだが、どちらかというと有馬温泉ルートの方がメジャーみたいですね。ちなみに有馬温泉ルートを使いたい場合は「六甲有馬フリーきっぷ」を利用するのが良いようです。あー、これ使うと有馬温泉で金の湯に浸かれて、神鉄も北神急行電鉄も使えたのか。そっちでも良かったかなあ(笑)。


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