青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

学べや励め、黒部の子。

2021年06月21日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(生徒を迎える新列車@浦山駅)

春の地鉄の話題は、ほぼ特急が運行休止となった新ダイヤや、系列のタクシー会社の廃業、そして史上最大規模の赤字決算など暗い話題ばかり。そんな中で、平日朝に新たに設定されたのが、浦山始発の電鉄富山行き普通列車。黒部市内の朝の通学需要をカバーするためのものと思われますが、電鉄黒部発の列車をわざわざ延長しての運転開始は、小さなことながら「鉄道の価値」の見直しに繋がる動きとなってくれればと願わずにいられません。

朝7時過ぎに、電鉄黒部から回送されてくる18列車。この日はカボチャ京阪が担当でした。普段折り返し列車のない駅でしたので、ホームのどっち側に付けるか分からなかったのですが、普通に宇奈月方面の1番線を通過してから、駅の宇奈月側で転線して電鉄富山方面の2番線ホームに入って来ます。回送列車の到着を知らせる構内踏切の音がチャイム代わりなのか、浦山駅に三々五々に集まって来る学生たち。中学生もいれば、高校生もいるという感じですが、こんな賑やかな浦山の駅は見た事なくて・・・

浦山を発車した18レ、栃屋でも20人ほどの学生さんを回収。狭いホームにきちんと横並びになっている制服姿が、なんだか電線に止まってチュンチュン囀っているスズメのようで、微笑ましく可愛らしい。列をなす若人に、大ベテランのカボチャ京阪から、「お待たせ、生徒諸君」という声が聞こえて来そうだ。こんな光景を見ると、厳しい話が多い中で、定期の学生とは言え乗客の姿がある事は何物にも変え難いなあと。そんな思いが募ってしまう。

カボチャ京阪の車内は、黒部郷の学生でいっぱいになりました。整然と並ぶ小窓と、転換クロスシートに映り込む学生の姿は、なんだか廊下から眺めた教室のようでもあり。個人的には、学校をサボってフラフラと出掛けて行った府中の街で、授業中の高校の教室を垣根越しに眺めたあの日の事を思い出してしまうのだ。

地鉄は僕らの足、そして、私たちの学び舎。


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