(ああ、美わしの志賀高原@湯田中駅)
週末の午後遅く、湯田中・渋温泉郷や志賀高原を訪れる観光客が、「ゆけむり号」に乗って続々と到着する。暫しの賑わいの中にある湯田中駅。コロナ禍を過ぎて外国人観光客も日本に戻りつつあるようだし、そして後押しする「円安」もあって、海外勢にとっての日本は「安くて・楽しく・安全」な観光地であるようだ。大きなバゲージを引きながら改札を出て来る彼らを出迎えるのは、雪国仕様の四駆のハイエースで乗り付けた宿の送迎係たち。お宿のお迎えという光景は、昭和の時代とそう変わらないのかもしれないけど、何が違うかと言えばご丁寧に英語で書かれた宿の幟旗だろうか。それこそ「スノーモンキー」で一世を風靡した地獄谷野猿公苑を擁する湯田中・渋温泉郷。インフレの中にあって内需を喚起しても日本人が踊らない中では、多少なりとて英語くらい喋れないと仕事にならないのはむべなるかな。
ゆけむり号で長野から湯田中に運ばれてきた観光客は、ここからは長電バスにお乗り換え。冬でも横手山の下のスキー場までは通行が確保されており、厳しい冬の志賀高原の主要な公共交通となっている。いくら暖冬とはいえ、冬の志賀高原をマイカーで闊歩するのはそれなりの運転技術が必要なのではないかと思われるが、長電バスの熟練ドライバーは凍結路をいとも簡単にスイスイと登って行く。長電バスと言えば、2024年1月より乗務員不足のため日曜日の長野市内のバス運行をほぼ運休としてしまったことでちょっとしたニュースとなった。全国各地で路線バスのドライバー不足が叫ばれる中、冬場はドル箱である志賀高原線の運行人員を確保するために、限りあるドライバーのリソースを集中させたのだろうか。
長野電鉄、富山地方鉄道、北陸鉄道、そして西では一畑電車や高松のことでん、伊予鉄道あたり。「地方私鉄の優等生」とも言える経営規模を持ち、地元においても一定の地位を確立した老舗企業であったはずなのですが、この令和のご時世に至り、地方の人口減による乗車人員減、そして労働者の高齢化と常態化する低賃金による離職率の高さという苦しみの中にあります。そんな中で、確実にそれなりの金額を落としてくれるインバウンド需要・・・特にバスツアーでもなければ、鉄道利用が優先となる海外勢からの収入が無視出来なくなっている地方の観光地の姿を、長電沿線の湯田中や小布施に見る。羽田から東京、東京から北陸新幹線で一本で来れるのだから、比較的アクセスが良いというアドバンテージもあるんだろうし、スノーモンキーを見て志賀高原でスキーなんてこの時期らしいアクティビティですよねえ。
そんな「おもてなし」の一部として、展望席を備えた「ゆけむり号」のインプレッションやいかばかりか。そして、国際観光都市として発展する長野~湯田中を結ぶ長野電鉄には、ゆけむりのほかにも元成田エクスプレスのJR253系が投入されており、そちらはそちらで元々空港特急車だったため大きなバゲージを置ける荷物置き場があったりして。これもインバウンド向きの車両であるとも言えます。
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