(画像:秩父神社)
日本三大曳山祭りの一つである
「秩父の夜祭り」の舞台となる秩父神社です。
有名な祭りだから神社もでっかいかと思いきや、思ったよりは小さかった。
あ、もし秩父に行くなら12月の夜祭開催の2日間と
春の羊山公園の芝桜の時期だけは秩父市内は車で行かないほうが無難。特に芝桜の時期の週末は朝早くから夕方までR140が死亡するほど混むんで。ぜひ、お出掛けは渋滞知らずの秩父鉄道で!
…宣伝したんだからなんかくれ(笑)。
●車窓のトピックス
午前は影森、午後は武川と秩父鉄道の貨物列車を中心に見学してたんですが、日中はしっかりと乗り鉄もこなしていました。荒川が岩肌を舐めるように渓谷を刻む
長瀞渓谷は秩父鉄道沿線でも随一の観光地でありますが、秩父鉄道沿線の車窓風景の一番のハイライトは、何と言っても親鼻駅~上長瀞駅の間にかかる
荒川橋梁でしょう。ちょっとでも鉄道に興味のある人なら、この大きな鉄橋を蒸気機関車がシュッポシュッポと越えて行く写真、見たことあるんでないかな?と言う訳で、有名撮影地でもあるこの鉄橋を見学に行ってみました。
最寄の駅は上長瀞駅。駅からは徒歩5分程度、駅前通りから河原に続く土手を降りて行けばすぐですから
アクセスは楽です。河原に降りて仰ぎ見ると、荒川の岩石段丘を跨ぐ長さ約170m・高さ20mのこの鉄橋、なかなかの迫力。近くに寄って見ると
煉瓦作りの橋台が実に緻密で、建造物としても充分文化財的な風格を備えている事が分かります。完成は1914年(大正3年)だそうなので、出来てからもうすぐ100年か…。1912年製の餘部橋梁とほぼ同期の橋梁を、川原の岩の上に座ってコーヒーを飲みながらしばし見学&撮り鉄。本当は川下側から撮るのがセオリーみたいなんだけど、時間的に逆光になってしまうので川上側から鉄橋を渡る列車たちを待ち、長瀞を渡る
貨物列車と
スカブーを収める。
うーん、逆光を避けたつもりでもちょっと白トビ気味だな。
●心憎いストラクチャーたち
この荒川橋梁の最寄り駅である
上長瀞駅は、瓦葺きの実に堂々としたもの。
今でこそ訪れる人も減った長瀞も、戦後間もなくから昭和40年代までは、それこそ箱根あたりとタメを張る関東の一大観光地だったようです。池袋から東武東上線は「フライング東上号」と言う特急列車を走らせてたし、その他にも「急行ながとろ」「急行みつみね」と言う乗り入れ列車も設定されていたしね。休日には、都内からたくさんの行楽客を乗せて、列車は秩父路を目指したんでしょう。
今でも「長瀞の桜」とか「ライン下り」ってのは確かに有名だとは思うけど、今となっては時代に取り残されたような感もあり。この駅の堂々たる佇まいは、そんな「在りし日・よき日の長瀞」の栄華を今に伝えているのだと思う。ホームの切妻屋根を支える
アーチの優美さはどうだろう。レールを曲げて作られており、塗装の下の打刻には「1900」と言う文字がかすかに浮かんでいる。
この駅の佇まいに感心しつつ写真を撮っていると、不意に現れた中年の地元氏から「ここの先の波久礼駅もなかなかのもんだ」と言う話を聞く。列車を待つ間にしばしお喋り。聞けば毎日秩父市から熊谷市へ通勤しているのだそうで、他にもなかなか面白い話を聞き、別れ際に写真入り絵ハガキまで戴いてしまった(笑)。絵ハガキの柄は、赤青黄色の旧101系が仲良く並んだスリーショットだった。
武川駅で貨物列車を見学した後に、地元氏オススメの
波久礼駅に降りてみた。
えーと、
これは1/1の鉄道模型ですか?(笑)。
駅入口のポストと公衆電話がクオリティ高杉だろ!
駅正面からもいいが、
ホームから見た駅舎も極めて味わい深いな。三角梁が支える赤いトタン屋根。プラレールとか鉄道模型で売ってる典型的な
「いなかのえき」だなこりゃ…駅を出て
波久礼駅全景を捉えてみる。構内踏み切りをトントントンと渡ってホームに上がる構造といい、ホームのへの字型の屋根といい、何もかもが素晴らし過ぎるストラクチャーであります。地元氏GJ。しかし、午前中に行った三峰口といい、上長瀞といい、ここ波久礼といい、当たり前のようにこんな構造物が現存している事が秩父鉄道の素晴らしいトコだと思うのです。木造だし管理も大変なんじゃないだろうか。御花畑駅も「開業当時からの駅舎」と言う事で
文化財指定されているし…
普通なら無人化して、建物はぶっ壊して待合用のプレハブでも一個建てておくのがいわゆる「合理化」ってヤツなんだろう。味気ないけど、世の中の流れってのは愛すべき無駄、いとおしい無駄、必要のないものがある事を嫌う時代じゃないですか。秩父鉄道は列車こそワンマン運転だけど、未だにほとんどの駅にきちんと駅員を配しているし…そんなトコもエライなあと思う。
次の電車が来るまでの30分を、「郷愁」と言うエッセンスのたっぷり詰まった
日暮れの波久礼で過ごす。曇り空の山の端に日が翳ったようで、辺りは少し寒くなって来たなあ。構内踏切が「カン、カン」と鳴って、カナリヤイエローの三峰口行きが到着。
日中はハイキング客で若干混雑していた沿線も夕方を迎えて、窓の外は少し蒼いような
暮れなずむ秩父路。国電101系はタタン、タタンとジョイントの音を刻む他は静かな車内。車内は学校帰りの高校生と、街へ出掛けた家族連れが中心となっていた。この人たちが、普段の「秩鉄」のユーザーなんだろうねえ。
すっかり暗くなった秩父駅で
カナリヤと別れて、そろそろ秩父鉄道の旅もおしまい。
お土産に秩父名物の「豚肉の味噌漬け」を購入し、西武秩父駅へ。
一日秩父鉄道を見た目には、施設の一つ一つが何とも近代的だ。
秩父鉄道。まだ関東にこんな面白い鉄道があったのかと、思いを新たにしたところです。結局、武川駅~羽生駅間は乗らなかったんだけど、乗れなかった。じっくり見てたら時間が足りなかったというのが真相だなあ。普通電車だと通しで乗ると2時間かかる路線だから、出来るなら秩父で一泊してじっくり楽しむのがいいかもしれません。地味だけど秩父には温泉宿もあるし、市内は商家の残る街並みなんかもかなり残ってて、歩いてみるだけでも結構面白そうだしね。
●おまけ情報
秩父鉄道と西武鉄道の乗換駅である御花畑駅の売店の横にある
立ち食いそば屋。
手作りかき揚げがサクサクで、妙に美味いのでオススメw
なんかやたら来店客が多いし隠れた人気店なのかもしれませんが。
おしまい。