
(画像:岐れ道)
我が家にほど近い場所を走る相鉄線に、相模大塚と言う駅があります。
大和市と座間市の境目あたりにあるこの駅の脇から、なにやら怪しい線路が伸びている。
最近は鉄道廃線跡を歩く、なんてスタイルの趣味もポピュラーになって来ましたが、
今日は、家からチャリで行ける廃線の旅。
この地図にその跡を残す、相鉄線の厚木基地への引き込み線を歩いてみました。

本線から分かれた引き込み線。
草むした中を赤錆びた線路が伸びています。
実のところ1998年まではこの線路を使って貨物輸送を行っていたそうで、
まだ使われなくなってから10年程度しか経ってはいません。

それでも手入れをしない人工物と言うのは、自然の前には実に無力なもので。
住宅街の中を走っていた引き込み線。
路地にもしっかりと警報機付きの踏切がありました。
蔦の絡まる警報器。
チャペルじゃないけど、ペギー葉山呼んで来ていいですかw

本線から分かれ、150m程度走ったところで引き込み線は厚木街道を渡る。
現在の県道40号横浜厚木線は、旧R246。
大和バイパスが開通するまではこちらが国道指定されていました。
道路に一応白線は引かれていますが、止まる車はおりません。
自分もここで止まった事ないなw

厚木街道を渡り、民家の軒先に突っ込んで行く線路。
完全に民家の裏庭の続きのようになっている。
開け放たれた窓から漏れ聞こえて来るテレビの音。
何となく雰囲気は江ノ電の腰越あたりに近いものがある(笑)。

「ちゅうい」の必要も、現在は特にありません。
真新しいマンションと、打ち捨てられた看板の対比の妙。
この辺りは普通に周辺住民の生活道路と化している。

廃線跡とはいいながら、架線も線路も比較的良好な状態。
それもそのはず、一応この路線を相鉄は「休止」扱いにしているらしい。
って事は、何かあったら再整備して使用する事があるのかもしれない。
とは言え、線路際の民家から伸びた木の枝はこんもりと線路を塞いでおりますw
切っとけよw

廃線跡に似合う動物は、間違いなく野良猫だと思うw
猫だってスタンド・バイ・ミー。

ほどなく線路は道路と一緒に跨道橋にさしかかる。
ここでまたぎ越すのは東名高速。
大和のトンネルから海老名SAに向かって、相鉄本線の下をくぐってすぐのあたり。
何だかひょろひょろの架線がかかった橋をくぐりますでしょ。
それがこの橋、大和5号橋。

朽ちた枕木の向こうに、東名高速下り線。
ただいま絶賛渋滞中。

東名高速を跨ぎ越し、線路は基地に向かって右カーブを描く。
この写真はカーブを過ぎたあたりから振り返っての一枚。
黄色い野の花に囲まれて、レールは夢の世界へ帰ってしまったようだ。

やがてレールは直線になり、古い文化住宅の中へ吸い込まれて行く。
ここまで駅からホケホケと歩いて20分程度。
線路際の家の住人が花壇を作っていたりして…
一応この線路敷地は相鉄か防衛庁かどっちかの管轄みたいですけど、
今のところ花壇程度なら黙認って事ですかね。

ついぞ正面に厚木基地を捉えたその瞬間、敷地の前の金網でレールは潰える。
打ち捨てられた古タイヤがいい感じに物悲しいw

金網の向こうに、ちょうど厚木基地の燃料施設のようなものが見える。
この線路は、厚木基地の燃料施設までジェット燃料を輸送するための引き込み線でした。
鶴見の安善と横須賀の田浦にある米軍の油槽所から、茅ヶ崎経由で厚木へ。
厚木で相鉄の電気機関車が荷物を引き取り、相模大塚から厚木基地へ。
この頼りないレールの上を、電気機関車がタンク車を引いてゆっくりゆっくり走っていたそうな。
米軍用のタンク車での燃料輸送だから、「米タン列車」。
鉄道ファンたちは、この列車をそう呼んだそうです。
前述のように、この線路は廃線ではなく厳密に言えば「休止」扱い。
事実上基地内の線路が剥がされちゃってるんで復活は無理だとは思うんですが…
用途から考えた場合、有事の際を想定して最終の権利は確保しているのかもしれません。
またここをジェット燃料を積んだ貨車が走る事があるのかなあ…
ま、世の中が平和なら、詮なきことでしょう。