青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

名鉄顔の、団塊ジュニア。

2023年01月07日 10時00分00秒 | 名古屋鉄道

(海街電車@名鉄蒲郡線車内)

蒲郡を出た電車は、蒲郡競艇場前駅を出ると東海道線から離れ、三ヶ根山の南側を三河湾に沿って走っていきます。昔は蒲郡競艇への客も蒲郡線の収益を支えてたんですが、東海道線に競艇場前駅と並ぶ形で三河塩津駅が出来てしまって、そこらへんのニーズも吸収されてしまっているそうな。ちなみに「がまごおりきょうていじょうまえ」って読み仮名の長い駅名だよねえ。今は地鉄の富山市内線に「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)」というアホみたいに長い駅名があって、この程度の長さでは霞んでしまうのだが。子供のころの記憶だと、日本で一番長い駅名は「西線9条旭山公園通(札幌市交通局)」だったなあ。

電車は三河鹿島、形原、西浦と三河湾沿いの漁港町に止まっては、地元客が降りたり乗ったりしてくる。西浦で蒲郡行き電車と交換。沿線の形原温泉や西浦温泉は、以前は三河湾沿いの温泉地としてホテルが立ち並び、それなりの宿泊客を集めた観光地ではありましたが、そこらへんの「昭和な」温泉地の斜陽化も、なんとなく蒲郡線の衰退に拍車をかけているようです。西浦から先、車窓には海が見え、こどもの国に向かって小さなサミットを越えて行きます。山にはミカンの木が植わっていて、この時期オレンジの鮮やかな果実を付けていました。

電車は旧幡豆郡に入って東幡豆・西幡豆とそれぞれかつての中心街の駅に停車。ここらへんでもそれなりの地元客の乗り降り。割と高齢者中心ですが。名鉄蒲郡線の存廃問題は、前述の西浦・形原温泉などの観光衰退、旧幡豆郡の合併消滅による域内流動の減少、工業化しなかった三河湾沿岸の町の農業漁業の斜陽化など複合的な理由がありそうなのだが、岡崎や刈谷など東海道線沿いの内陸へ人口が遷移する中、対名古屋への流動に合わない線形も仇か。この「沿線にはそこそこ人口があってもニーズに合わない感じ」は、長野市内へのアクセスが悪い長電の屋代線に近い印象を受けた。ただ、普通にすれ違う電車にも1列車に30人くらいは乗車してたんで、そこまで存廃問題になるのかな?という雰囲気はあるんだよね。末期の屋代線に比べればウンと乗客多いよ。もっとガラガラなのかと思っていたのでね。

三河鳥羽駅で行先板付きの「にしがま号」と交換。かつての特急車を彷彿とさせる白帯にプレミアム感が。サボの「三河湾」ってのは、かつてパノラマカーで運転されていた蒲郡行きの有料特急「三河湾号」をリバイバルしたもの。逆に名鉄名古屋行きは「名古屋号」という名前で運転されていたそうです。当時の蒲郡線は、一応名古屋から特急が直通するくらいの観光需要があって、春の潮干狩りや夏の海水浴、こどもの国や温泉地も賑わいがあったという事なのでしょう・・・

6000系のハンドルを握る初老の運転士氏。結構ブレーキ音の大きい車両で、右手が左右に動くたびにシュー、プシューとエアー音が盛大に漏れる。マスコンとブレーキハンドル、両手で操るのもいかにも昭和世代の電車という感じがする。計器類にデジタルなものが皆無というのも今となってはポイント高い。6000系は1976年~83年にかけて増備された車両で、ちょうど我々のような団塊ジュニア世代。自分的にも「名鉄顔」って言われるとこの6000系の顔を思い出してしまうので、色々と「刺さる」ポイントの多い車両でもあります。

針を見て  細かく動く 右腕に
誰が継ぐのか 職人の技。

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都忘れの赤き防人。

2023年01月05日 17時00分00秒 | 名古屋鉄道

(久し振りだよトト丸くん@蒲郡駅)

豊橋から特別快速に乗車し、一つ目の蒲郡で下車。蒲郡自体には、かつて競艇客だった時代にしょっちゅう来ていたものだが、電車で来るのは初めてだなあ。高架のホームから駅下の改札口に降りると、「BOAT RACE」と名前を変えた蒲郡競艇の広告看板がお出迎えしてくれた。マスコットキャラクターはトト丸くんだっけ。今ではボートのナイター開催も珍しくありませんが、蒲郡は桐生に続いて二番目にナイター始めたんで導入が早かったよね。思い出に残るのは熊谷直樹が気合の減量とイン突っ張りで逃げ切った2000年の第27回笹川賞とか、2号艇の今垣光太郎が超抜機で1枠の濱野谷からイン強奪で逃げ切った2002年の第48回MB記念とかなんですけど、話が聞きたかったらまた別の機会に話します(笑)。

ここから乗り換えるのは、名鉄蒲郡線。名鉄乗るなら豊橋からでも乗れましたが、すんなり名古屋本線に乗っても面白くないので、未乗の路線からアプローチしてみたいと思います。蒲郡駅で見上げる名鉄の路線図。かつての路線網からだいぶスリム化されたとはいえ、それでも名鉄は東海地区の私鉄の王者。三河・尾張・美濃そして知多半島に巡る20の路線。今のところどこへ行くか分からんし、途中精算が続くと運賃が嵩んでしまいそうなので、ひとまず3,200円で「まる乗り1DAYフリーきっぷ」を購入。さすが名鉄、フリーきっぷの価格もなかなかだが、まあ名鉄の運賃って高いので(笑)、元を取ろうと思えば案外簡単だ。少なくとも蒲郡から名鉄名古屋までで1,290円だから、往復してチョイチョイと途中下車すればすぐそのくらいの金額には行ってしまうだろう。

昭和の時代は名鉄名古屋から特急パノラマカーなども走っていたという蒲郡線ですが、今は蒲郡~吉良吉田間を結ぶ地域のローカル輸送にその役割が置かれていて、日中は30分ヘッドで2両の電車が往ったり来たりするのみ。駅に貼られた所要時間表には、「名古屋に行くならJR乗ったほうが・・・」的な、対名古屋を諦めたような表記もあって涙を禁じ得ない。真矢みきでも呼んで来ようかな。JR東海40分990円、名鉄100分1,290円。どっちを選ぶか。何となく、魚津あたりから対富山を眺めた地鉄vsあい鉄みたいなロケーションに近いものがあるな・・・

高架の蒲郡駅のホームに佇む名鉄6000系。現在の蒲郡線の主力車両。2連のワンマン対応車にて料金箱の設置などもある。蒲郡線は途中駅にICカードリーダーの設置もなく、途中の無人駅から乗る場合は自動券売機できっぷを買うか、乗車証明書を取って下車駅で精算するかのどっちか。そのため、蒲郡駅で到着列車のかなりの客が乗車証明書でラッチ精算してた。時間掛かっちゃってJRの乗り継ぎとか逃してるお客もいたので、そういうトコやぞ!って思ったんだけど、存廃問題も取り沙汰される名鉄の末端ローカル路線にICカードリーダーを入れて、どんくらいの費用対効果があるか・・・ということなんでしょうね。

ちなみにこの6000系ワンマン、蒲郡線と広見線でしか使われていない名鉄のローカル線区専用車のようです。上の路線図で見れば分かりますけど、両路線とも名鉄の中でも末端の末端にあって、うーん、まあようはそんなに利用者がいない閑散線区用の車両なんでしょうね。遠く名古屋を離れ、防人の如く東三河の末端ローカル需要を担います。

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冬三河・行き当たりばっ旅。

2023年01月03日 12時00分00秒 | 名古屋鉄道

(居酒屋新幹線@東海道新幹線・熱海駅)

この秋(昨年の秋)は、「関東甲信越小さな旅モード」というべき小商いに留まっていた私の趣味活動。移動距離の小さい旅ばかりしていたので、少し年末に遠出してみようかなって事で新しい愛機こと「OLYMPUSPEN E-7」を持って日帰り旅に出てみました。というか、いきなり年休取ったから全くのノープランで、事前の計画が全くなかったのだけども、自分の胸に手を当てて何がしたいか考えてみたら「とりあえず新幹線乗って朝から酒飲みてえなあ」という我ながらどうしようもない欲求だった(笑)。そんなこんなで熱海駅。熱海から新幹線に乗るのは流石に人生で初めてなのだが、どうしてこうなった。

新幹線に乗るのに、ひとまず小田原に出て西行きの切符を手に入れるのだが、問題はどこへ行くか。静岡じゃ近過ぎて、でも名古屋じゃ片道でも1万弱。貧乏人なのでね、距離感と新幹線特急料金の「ちょうどええトコ」を時刻表引き引き考えてたら、小田原から熱海まで東海道線に乗って、熱海から豊橋までを新幹線にすると6,000円チョイくらいに収まる事が分かった。よし、んじゃそれ行ってみよ。という事でわざわざ熱海から新幹線に乗る事に。東海道新幹線の中でおそらく唯一通過線のない駅ですよね熱海って。西の方に行くと新神戸とかもそうだったと思うけど、どちらも平地がなく山が駅の際まで迫っているというスペースの都合でしょうね。

ガラガラの下りのこだま。自由席の三列シートを余裕で全占領し、通路側からコート、荷物、自分の順に並んだところでレモンサワーをプシュリ。あとはひたすらボーっとしながら高速で流れて行く景色にぼんやり目を合わせて微睡みの時間を過ごす。とはいえそこは各駅停車のこだま号、各駅に停車しては地上時代の小田急の東北沢もかくや、というような停車時間をたっぷり取って、とにかくのぞみに抜かれまくる。駅間の時間より駅での退避時間の方が長いんじゃねーか・・・と錯覚するくらい。冬の真っ青な浜名湖が眼下に過ぎて行く。

熱海から約1時間半で豊橋到着。ゆっくりレモンサワー2缶の飲酒で本懐を遂げる。これでこの日の目的を果たしてしまったので、いきなりやる事がなくなる(笑)。1時間半ってーと、のぞみの早いのだと東京から名古屋着いちゃうからなあ。静岡県を抜けるだけなのに、随分と悠長なのがこだまの旅である。別に急ぐ旅でもないのでいいんだけど、そんだけ静岡が横に長いという事か。

豊橋駅。春にJR東海の「休日乗り放題切符」で訪れたので今年二回目か。言わずと知れた東三河の中心都市、そして東京から一番近い路面電車のある街(で、いいんだよね?)。三河田原方面に伸びる豊鉄なんかも、車両は東急の7200系だけど温暖で花の見どころの多い路線で魅力的。んー、どうするか。路面電車は春に乗った、豊鉄でもいいんだけど、さすがに今は花の時期ではなく・・・帰省の手土産か、藤田屋の「大あんまき」の売店に並ぶ人並みを眺めながら、豊橋駅の構内をウロウロ。飯田線に乗って豊川行って、稲荷寿司食べて豊川稲荷にお参りでもしてこようかな。なんて思っているうちに、新城行きの飯田線は発車して行ってしまった。優柔不断。

ひとまず東海道線ホームに移り、全部が313系といういかにも東海地区な光景を眺める。313系は、スピード・快適性・車内設備・バリエーションと四拍子揃っていて、JR東海の作った最高傑作だと個人的には思っているのだけど、既に後継の315系という車両がスタンバっていて、まっことJR東海は新幹線の収益を設備更新に叩き込むという好循環サイクルが形成されていて羨ましいなあと思うばかり。いつまでもグズグズしていても仕方ないので、手前の特別快速大垣行きに飛び乗ったのでありました。

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新年あけましておめでとうございます。

2023年01月01日 18時00分00秒 | その他私鉄

(2023年が明ける@相州大山・阿夫利神社)

謹賀新年。毎年恒例の初日の出撮影、ここんところは手近なところで七里ヶ浜の海岸から見る事が多かったのだけど、ちとマンネリ感もありましたので今回は初参りを兼ねて相州は大山(阿夫利山)へ登って来ました。新東名の伊勢原大山ICってのが出来たんで、自宅からリアルで30分くらいで行けるようになったのもポイント。まあ近くなったからって大山にそう何度も行く訳でもないんだけど、正月くらいはその恩恵をフルに活かしてみようかなと。上の息子も行くって言うんで、朝5時に家を出て大山ケーブルに乗り、阿夫利神社の境内に入ったのが午前6時。とりあえず初日の出の前にお参りを済ませてお札を授かる。2023年の払暁の時、明けて行く相模平野を眺めながら日の出を待つ。

七里ヶ浜の海岸だと、人は多くとも砂浜なので好き勝手な場所で見れるし、そう混雑した感じもないのですが、さすがに阿夫利神社の境内からという事になると見る場所が限られている。いい場所は既に抑えられていたため、初日の出は人の頭越しに。今年は相模湾上に厚い雲がかかってましたけど、基本的には晴れベースなんで雲通過後の初日の出をバッチリと拝めましたね。境内には初日の出に合わせて大きな太鼓の打ち鳴らしと同時に「君が代」が流れて来て、思わず胸に手を当てながら日本代表の如く2023年の夜明けを迎えたのでありました。

つつがなく初日の出のイベントを終え、参拝客が一斉に下山する頃合い。大山ケーブルも、10分ヘッドの最高頻度で客捌きをしていたのだが、さすがに元日の多客期。下山迄30分ほど待たされる。ともあれ、また新しい年のスタート。この歳になって、新しい年に改めての感慨とか皆無になって来たってのはあるんだが(笑)、TL諸兄に置かれましては、趣味商売家庭ほか森羅万象に幸多からんことをお祈り申し上げて、年頭のご挨拶とさせていただきます。

本年も宜しくお願い申し上げます。

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