tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ふぞろいの桜たち

2007年04月12日 | 環境問題
造幣局の「桜の通り抜け」(4/5~11)も昨日で終わった。今年は開花が早く、1883年にこの行事が始まって以来、最も早い開催となった。大川(旧淀川=造幣局の東側)沿いのソメイヨシノも咲き残っていたので、造幣局の八重桜との競演が楽しめたようだ。

今年のように、八重桜とソメイヨシノの見頃が重なるのは異例だという。日経新聞夕刊(大阪本社版 4/5付)によれば《ソメイヨシノ、八重桜とも暖冬の影響で開花時期は例年よりやや早いものの、ソメイヨシノの花びらが開くペースが鈍く、遅れて咲く八重桜の開花時期と重なった》。

《永田洋・三重大名誉教授(樹木生理学)によると、長命は今年の天候が原因。桜は冬の寒さで成長を促すホルモンが作られるため、暖冬の年は開花時期が長くなる。さらにいったん花が咲いた後、気温が低いと満開までのペースが鈍化。今年は暖冬に加え、3月末以降の寒の戻りで、長い期間咲く条件がそろったという》

開花時期が長いだけでなく、今年のソメイヨシノの咲き方は異常だった。写真は4月初旬の興福寺(五重塔前・奈良市登大路町)だ。上半分は、ほとんど咲いていないのがお分かりいただけるだろう。他にも木(または枝)によって、全く咲いていないものもあった。興福寺だけでなく、平城宮跡でも、けいはんな記念公園(京都府相楽郡)でも、光明寺(長岡京市)でも、このような不揃いな桜が散見された。

以前このブログで、ソメイヨシノはすべてクローンなので、気候条件や土壌が同じなら一斉に咲いて一斉に散る、と書いた。それが今年は、バラバラに咲いてバラバラに散っているのだ。
※参考:クローンな花見(ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f1ce2571fd967474407b8b60c1126e8f

植物は、急激な環境変化による絶滅を防ぐため、個体ごとに発芽や開花がズレることがあるそうだ。いわば、種の保存本能である。今年のソメイヨシノは、暖冬(地球温暖化)という「不都合な真実」に直面し、保存本能をフルに発揮して身を守ったのだ。寒の戻りでカゼをひいた万物の霊長より、よほど頼もしいヤツである。
コメント
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