tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良の鹿愛護会

2007年04月22日 | 奈良にこだわる
4/16(月)に開かれたならまち座の月例会、今回のゲストスピーカーは、「財団法人 奈良の鹿愛護会」事務局長・池田佐知子さんだった。

私は以前から(人に頼まれて)奈良の鹿愛護会の賛助会員として、毎年3千円也を納めていたのだが、実は池田さんの話を聞くまで、この会を反捕鯨の活動をする「グリーンピース」(NGO)のような団体だと思いこんでいた。皆さんの中にもそういう方がおられると思うので、この日のお話をもとに同会について紹介したい(写真は昨年夏の奈良公園)。

この会のルーツは明治24年に結成された「春日神鹿(しんろく)保護会」で、昭和9年に財団法人化し、昭和22年に現在の名称になった。現在の鹿の頭数は約1200頭(うちメスが800頭)。明治維新の時は35頭(有害獣として射殺した)、第二次大戦時は79頭にまで減っていたという。

今も交通事故が多発し、毎年約100頭(全体の8%)が事故死している。会では6人のメンバーが24時間の緊急連絡体制を敷き、通報があれば軽トラックで駆けつけて保護している。年間出動回数は約1400回に上るという。
 
「鹿の角(つの)きり」は奈良の秋の風物詩だが、実は毎年8月中旬~3月末まで取り組んでいる日常業務だそうだ。公園内で角が生えた鹿を見つけては、麻酔銃で撃って捕獲し、公園内の鹿苑(ろくえん)に運んで角を切る。その数は毎年3百数十頭にもなる。

また3月下旬にもなると、妊娠したメス鹿の捕獲が始まる。母鹿は子供を産むと警戒心が強くなり人を攻撃することがあるため、鹿苑で出産させ大きくなるまで飼育する。約250頭の子鹿が母鹿とともに公園に放されるのは、7月半ばだ。その1か月後にはまた角切りの季節がやってくる…。

鹿は畑を荒らす「害獣」だと言われることがあるが、これは鹿に不用意に野菜を与える人間の行動が関係しているそうだ。最近は奈良県立大学の学生たちが、鹿が野菜の味を覚えて農家の畑を荒らしたり、慣れない食物を消化しきれずに死んだりするのを防ぐため、チラシを配っている。

チラシには「生ゴミを捨てている業者や、エサをあげている人を見たら注意して止めさせてください」と書かれているそうだ。私もよく浮見堂の近くなどで、パンくずや野菜くずを与えている人たち(ゴミ処理業者?)を見かけるが、これからは注意喚起することにしたい。
※奈良のシカ・まもり隊(産経新聞・イザ!)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/39289/

それにしても、大変なご苦労だ。「鹿を守る」というより「人間を守る」「人間と鹿を共生させる」というのが会の使命なのだ。「アニマルセラピー」という言葉もあるが、駅も近い都市公園で、たくさんの野生の鹿と触れ合えるというのは、素晴らしい。鹿のいない奈良公園んて、想像もできない。

しかしこの会も、事業収入(修学旅行生の減少で鹿せんべいが売れない)・利息収入が減るとともに、県からの補助金も昨年度から180万円カットされ、財政危機が深刻だ。角きりも中止に追い込まれるかも知れないという。
※奈良新聞が詳述(「奈良のシカ」保護ピンチ)
http://narashikanko.jp/j/whatsnew/aigo/news.html

この事態を救うには、同会に入るのが早道だ。別に池田さんに頼まれたわけではないのだが、奈良の鹿を、そして奈良を愛する人のご協力をぜひお願いしたい。
※奈良の鹿愛護会・入会申込書
http://naradeer.com/feedback.htm

※その他の関連サイト
奈良の名物が泣いている(NEWSゆう)
http://webnews.asahi.co.jp/you/special/2006/t20060719.html
「奈良の鹿愛護会」財政難深刻(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/kikaku/019/17.htm
コメント (2)
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