tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

行ってきました!第60回正倉院展

2008年11月03日 | 奈良にこだわる
「奈良県代官山iスタジオ」のIさんからメールでお知らせいただき、昨日(11/2)、NHK教育テレビの「新日曜美術館」を見た。この日のタイトルは「宝物が勇気と誇りをくれた~第60回正倉院展~」で、ゲストは竹下景子と、奈良国立博物館学芸部長の西山厚氏だった。

番組のHPには《竹下景子さんを正倉院展に招き、本年の見どころを紹介。合わせて、昭和21年に開催され、敗戦で打ちひしがれた日本人に勇気を与えたという第一回正倉院展の知られざるエピソードや、正倉院展が開催されるまでの神経をすり減らす準備の様子など、正倉院宝物の魅力を多角的に伝える》とある。
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2008/1102/index.html

今年、竹下景子は近鉄のキャンペーン広告にも登場していて、すっかり奈良づいている。三択の女王(クイズダービー)で、雪子おばさん(北の国から)だった彼女は団塊世代のアイドルとして、どんどん奈良に観光客(特におカネのある中高年)を引きつけていただきたいものだ。


http://www.kintetsu.co.jp/senden/ad_kintetsu/cmmake/index-nara.html

なお「宝物が勇気と誇りをくれた」とは、こういうことだ。もともと正倉院展は、戦火を逃れるため帝室博物館に避難させていた収蔵品を、終戦により正倉院(東大寺境内)へ戻すにあたり、奈良の観光団体などが拝観を求めたのが始まりである。正倉院宝物は、戦後の厳しい生活にあえぐ国民に、日本の文化的水準の高さを再認識させ、生きる勇気と誇りを与えてくれたのだ。

私も、今年の正倉院展に行ってきた(昼間は混むので夕方に)。やはり、約1500年前にペルシアで作られたというカットグラス「白瑠璃碗(はくるりのわん)」、白の螺鈿(らでん)や赤い琥珀(こはく)で細工された唐の鏡「平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)」、綾や錦の布で飾られた貴族用の日傘「方形天蓋(ほうけいてんがい)」あたりが、特に素晴らしい。
http://www.narahaku.go.jp/exhib/2008toku/shosoin/shosoin-1.htm



ピカピカの白瑠璃碗の近くには、傷んでしまった現地の同時代の品(土中から掘り出された)も陳列されていて、いかに正倉院の校倉と木櫃での保存が良かったか、ということが実感でき、感慨深いものがあった。

正倉院展の楽しみは、展示だけでなく、お土産物にもある。館内には正倉院展用に特設されたショップもあれば、もともとのミュージアムショップもある。最近は屋外のテントでも正倉院グッズを販売している。

八角鏡をデザインした「手鏡」1,000円、「ハンカチ」630円、碁盤と碁石をモチーフにしたマープルチョコ「碁石貯古齢糖」300円などが人気を集めていた。私は冒頭写真のクリアファイル(315円)や、紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく=染め象牙のものさし)を模した定規などを買い求めた。グッズは写真に撮れたので、以下に貼り付けておく。









こういう正倉院柄のグラスで冷酒などを飲むと、さぞ気持ち良く酔えることだろう。お酒はもちろん、奈良の地酒を選んでいただきたい。





地元商店主などが運営する「校倉な会」からは、「正倉文様」(正倉院柄)のグッズも展示即売されていた。正倉院柄を現代風にアレンジしていて、これも面白いものだ。
※正倉文様(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/592d19cb50ece843c787594613b27434



正倉院宝物は、整理済のものだけで9000点に上るが、このうち公開される宝物の品目は毎年変更され約数十点のみである。だから、代表的な宝物を見るには複数年の見学が必要になる。

学芸員が手作業で点検と陳列を慎重に行うが、それに前後約40日の時間を必要とするので、展示の期間は約2週間と短くなる。


観光ボランティアガイド(「朱雀」のスタッフ。近鉄奈良駅構内で)

昨日(11/2)は天気が良かったので、昼間の奈良市中心部は大渋滞で、車はほとんど動かず、駐車場に停めようとする車が裏通りにまであふれていたという。正倉院展も大行列で、60分待ちだったそうだ。こんな状態で入場しても、展示物は遠くでしか見ることができないし、説明文すら読めないだろう。

正倉院展は、残すところあと8日となった。狙い目は11/7(金)の午後5時30分だ。夕方は人が少ないし、金・土・日・祝は夜7時まで開いている(入場は6時半まで)。閉館の90分前からはチケットが700円になる(300円引き)。ぜひ足をお運びいただき、1500年前のグラスの輝きをご自分の目で確かめていただきたい。
※参考:正倉院展モデルコース
http://www.narakko.com/tokusyuu/shosoin2008/model-course/

iスタジオのIさん、オンエア情報、有難うございました。

※11/13追記 ならまち周辺で「ならまち正倉院」という催しが行われている(11/16まで)。そのうち、魚佐旅館(猿沢池畔)で行われている展示を拝見してきたので、以下に紹介する。
なお詳細は、楽天トラベルの同旅館サイトをご覧いただきたい。
http://web.travel.rakuten.co.jp/portal/my/jyouhou_page.main?f_no=4919&f_teikei=quick&f_flg=CUSTOM&f_custom_code=491971003004139



「お宿博物館」というサブタイトルが良い。



金田専務が書かれた説明書きによると、向かって右はニッカウヰスキーで《当館の先々代の経営者が、戦時中に「旅館で酒を切らせてはいけない。」という精神の基で、当時のヤミ市場で入手したと伝えられて居ります。当時の世相を現す品物で有ります。これは、当時何ケースか手に入れた中の1本で、工事の際、床下から出て参りました。これらは、木箱に封入されていて、この1ケースを開封してみると、此が入っておりました。今もまだ床下には、此の木箱が当時のまま3、4ケースが眠って居ります》。酒を切らさぬよう、ヤミで仕入れて保管していたとは、見上げた「もてなしの心」ではないか。

左は《東和醸造株式会社と云う会社の作ったウヰスキーです。戦前で有ろうと推測されますが、今の杉ヶ町(するがまち)に工場が有った様です。今は巨大マンションに変貌して、当時の面影は全く有りませんが、敷地から推測するに、相当の広さがあります。工場の規模を推測する事が出来ます。ただ品質は褒められた物では有りませんが、当時の奈良で、ウヰスキーを作っていた事は驚きに値するのではないでしょうか》。「奈良産ウイスキー」とは、驚きだ。



《「国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)」に記される「御屏風壹佰疊」のうち「鳥毛篆書屏風六扇」とあるものである》《第1扇が「主無獨治 臣有賛明」(主、独治すること無くんば、臣、賛明する有り=君主が政治を独断しなければ、臣下はそれをたすけあきらかにするであろう)、第2扇が「箴規苟納 咎悔不生」(箴規(しんき)、苟(いや)しくも納めらるれば、咎悔を生まず=戒めを仮にも聞き入れられれば、過ちや悔いを生むことはないであろう)であり、君主に対する訓戒が述べられている。聖武天皇の身近に置かれた屏風としても伝えられています》《当館の物は、こちらを江戸時代に、技術がほぼ確定し、再現する事が可能になったので、盛んに模写された物の一つで有ります》。

この企画が広がれば、正倉院展を見た人は2度楽しめるし、見逃した人は正倉院展さらがらの雰囲気が味わえる。ぜひ、来年も頑張っていただきたいものだ。
コメント (14)
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