「まいまい京都」をご存じだろうか?地元民がガイドする京都の「まち歩きツアー」(ミニツアー)だ(HPは、こちら)。なお「まいまい」とは「うろうろする」という京都の方言である。事務局は「一般財団法人京都ユースホステル協会」内。2011年にスタートした。
※トップ写真は「曼殊院(まんしゅいん)」(京都市左京区一乗寺竹ノ内町42)のお庭
集合場所は、叡電「修学院駅」(無人駅)鞍馬方面ホーム
待っている間にもユニークな車両が続々と到着するので、飽きることはない
6/11(日)9:30~12:30、私も「【曼殊院】桂離宮の美学が息づく名刹、宮廷の風雅を詰め込んだ庭園と建築美~白砂の海に青苔きらめく、遠州好みの枯山水、新緑の鷺森神社を越えて~」というコースに参加してきた。ガイドは気象予報士の吉村晋弥さん。参加費は曼殊院の拝観料600円を含み3,600円。奈良よりずいぶん高いが、そんなに違和感はなかった。写真で当日の様子を紹介する。
鷺森神社(左京区修学院宮ノ脇町16)に到着、まずは写真をパチパチ
ここで、吉村さんのガイドが始まる
まいまい京都については以前、産経新聞が大きく紹介していた。「産経ニュース」(2015.3.20付)《いま「まち歩き」が人気 知る・学ぶ・交流の楽しさ》から抜粋すると、
「八重垣」と呼ばれる石に触って祈ると悪縁を絶ち思う人との良縁が得られ、夫婦和合・家内安全が授かる
各地で今、「まち歩き」が人気を集めている。従来のツアーやガイドブックにはない、地元の知られざる見どころや暮らしを、住民が案内しながら歩く。名所旧跡の見学中心の観光とは異なり、体験や交流を取り入れた面白さも魅力だ。地元にとっても、まちおこしや郷土愛を育むことにつながると、積極的に取り組む地域が増えている。(横山由紀子)
武田薬品の「京都薬用植物園」の横を通った
■路地裏散策
3月10日の昼下がり。京都の中心部、四条烏丸近くで、まち歩きツアー「まいまい京都」が開催されていた。町家が並ぶ路地裏などを散策する2時間のコース。赤い旗を手にした住民ガイドと11人の参加者が、碁盤の目のように張り巡らされた市街地を歩く。
小さな桂離宮と呼ばれる「曼殊院」に到着
しばらくすると、住民ガイドが足を止めた。角地には、かつて理髪店だったという文房具店。「ほら、壁に理髪店の看板が残っているでしょう。昔は、こうした角地に理髪店が多くあって、3日とあけず髷(まげ)を結いに来る男たちの情報交換の場でした。角地にあることで、不審者を見張る役目も果たしていたのです」。ガイドの山田章博さん(55)が説明すると、参加者はメモを取ったり写真を撮ったり、熱心に見学していた。
「仏像と建造物の奈良、庭の京都」と言われるとおり、お庭はすごい
お寺の建物内は写真撮影不可だった。お寺の案内は若いお坊さんで、これがまた面白かった
今回が6回目の参加だという大阪府吹田市の主婦(60)は、「メジャーな神社仏閣より、地元の人が暮らしている路地裏を散策するのがとても面白い」と満足そうな様子。まいまい京都は平成23年3月、「ひと味違う京都の魅力を紹介したい」と市民団体が立ち上げた。「まいまい」とは、うろうろする、という意味の京言葉。
町家大工の棟梁(とうりょう)や呉服店の店主、花街の芸妓(げいこ)、占い師…などバラエティーに富んだ住民ガイド約100人が、銭湯のタイル絵鑑賞や神社のこま犬巡りなどユニークなツアーを率いている。参加費は1500円からで、キャンセル待ちも出る人気だ。事務局の阿比留優子さんは「住民が郷土愛を持って、隅々まで案内しています。知られざる京都の暮らしや見どころを堪能してほしい」と話す。
曼殊院の勅使門
新緑がお寺の壁に映える。皆さん、本当に写真がお好きだ
■長崎からブーム
まち歩きは、北海道から沖縄まで全国で広がりを見せている。ブームの火付け役となったのが、18年に長崎市が開催した日本初のまち歩き博覧会「長崎さるく博」だ。日常そのままの長崎のまちを歩くことに徹し、博覧会期間中の7カ月間で参加者が延べ約1千万人を超える大成功を収めた。以後、住民ガイドのまち歩きツアー「長崎さるく」として定着。落ち込んでいた観光客数の回復にもつながったという。
長崎さるく博のコーディネート・プロデューサーを務め、「まち歩きが観光を変える」(学芸出版社)の著書がある茶谷(ちゃたに)幸治さんは、観光が従来の「名所旧跡、温泉、宴会、観光バス」といったパターンから、「知る、学ぶ、交流する」ことを重視するスタイルへと変化しているという。「まちを歩いて、独自の文化や生活を知り、住民と触れ合う面白さがあります。お金をかけずに楽しめる知的なまち歩きがブームとなるのは、社会が成熟してきた証しなのかもしれません」と話している。
雲母漬(きららづけ)老舗「穂野出(ほので)」。前の坂は雲母坂(土に雲母が含まれていることから)
要は小ナスの白味噌漬である
■全国約250カ所で開催
茶谷さんによると、全国の約250の地域でまち歩きが開催されているという。「大阪あそ歩(ぼ)」(大阪市)は一般社団法人・大阪あそ歩委員会が運営。レトロな街並みが残る大阪・中崎町の路地裏をたどるツアーなどを開催。春季(3月末~6月初旬)だけでも約100のコースを用意している。
宮本武蔵が吉岡一門数十人と決闘を行ったという「一乗寺下(さが)り松」。大楠公戦陣蹟碑(足利尊氏と戦った楠木正成の陣所跡)も建つ
東京都練馬区観光協会の「ねりまのねり歩き」は、石神井公園周辺の歴史を楽しむコースなど毎年春と秋に開催。新潟市の「新潟シティガイド」は、市が養成したガイドが案内。北前船の寄港で栄えた港町の様子を伝えるツアーなどが人気という。
「まいまい京都」のツアーは、奈良で我々がやっていてるツアー(史跡探訪など)とはコンセプトが全く違う。特徴を列挙すると、
1.ガイドさんの平均年齢が若い
2.「一芸に秀でた」ガイドさんが多い(住職、宮司、芸妓、占い師、職人さん etc.)
3.お客さんに若い女性が多い
4.ガイド料が高い(通常は@200~500円程度、ここは半日で@3,000円・1日@6,000円程度)
5.参加者数を絞っている(15人程度。通常はもっと多く、20人に1人程度のガイドをつける)
6.インターネットで集客・連絡もEメール
7.ガイド内容が楽しくて、分かりやすい
8.だから人気が高く、ツアーはすぐに満杯になりキャンセル待ちが続出する
1.と3.は連動しているのだろう。やはりガイドさんが高齢者だと、お客も高齢者が主体になる。私は神戸市内や富岡製糸場(群馬県富岡市)でもガイドツアーに参加したが、いずれもシニアで、こんなに若いガイドさんは、あまり見たことがない(最近はバスガイドもアラ還が多い)。
4.と5.も連動している。ガイド料が高いから、少人数のツアーができるのだ。6.も、客層が若いからすべてインターネット経由としてもクレームが来ないのだ。
新幹線が停まり入り込み客数が多く、また約150万人もの人口を擁する京都市ならではのビジネスモデル、と言ってしまえばそれまでだが、奈良県でも、集客力があり鉄道などの便の良いところでは、このようなツアーができそうだ。いちど「お試し」でやってみようかな!?
※トップ写真は「曼殊院(まんしゅいん)」(京都市左京区一乗寺竹ノ内町42)のお庭
集合場所は、叡電「修学院駅」(無人駅)鞍馬方面ホーム
待っている間にもユニークな車両が続々と到着するので、飽きることはない
6/11(日)9:30~12:30、私も「【曼殊院】桂離宮の美学が息づく名刹、宮廷の風雅を詰め込んだ庭園と建築美~白砂の海に青苔きらめく、遠州好みの枯山水、新緑の鷺森神社を越えて~」というコースに参加してきた。ガイドは気象予報士の吉村晋弥さん。参加費は曼殊院の拝観料600円を含み3,600円。奈良よりずいぶん高いが、そんなに違和感はなかった。写真で当日の様子を紹介する。
鷺森神社(左京区修学院宮ノ脇町16)に到着、まずは写真をパチパチ
ここで、吉村さんのガイドが始まる
まいまい京都については以前、産経新聞が大きく紹介していた。「産経ニュース」(2015.3.20付)《いま「まち歩き」が人気 知る・学ぶ・交流の楽しさ》から抜粋すると、
「八重垣」と呼ばれる石に触って祈ると悪縁を絶ち思う人との良縁が得られ、夫婦和合・家内安全が授かる
各地で今、「まち歩き」が人気を集めている。従来のツアーやガイドブックにはない、地元の知られざる見どころや暮らしを、住民が案内しながら歩く。名所旧跡の見学中心の観光とは異なり、体験や交流を取り入れた面白さも魅力だ。地元にとっても、まちおこしや郷土愛を育むことにつながると、積極的に取り組む地域が増えている。(横山由紀子)
武田薬品の「京都薬用植物園」の横を通った
■路地裏散策
3月10日の昼下がり。京都の中心部、四条烏丸近くで、まち歩きツアー「まいまい京都」が開催されていた。町家が並ぶ路地裏などを散策する2時間のコース。赤い旗を手にした住民ガイドと11人の参加者が、碁盤の目のように張り巡らされた市街地を歩く。
小さな桂離宮と呼ばれる「曼殊院」に到着
しばらくすると、住民ガイドが足を止めた。角地には、かつて理髪店だったという文房具店。「ほら、壁に理髪店の看板が残っているでしょう。昔は、こうした角地に理髪店が多くあって、3日とあけず髷(まげ)を結いに来る男たちの情報交換の場でした。角地にあることで、不審者を見張る役目も果たしていたのです」。ガイドの山田章博さん(55)が説明すると、参加者はメモを取ったり写真を撮ったり、熱心に見学していた。
「仏像と建造物の奈良、庭の京都」と言われるとおり、お庭はすごい
お寺の建物内は写真撮影不可だった。お寺の案内は若いお坊さんで、これがまた面白かった
今回が6回目の参加だという大阪府吹田市の主婦(60)は、「メジャーな神社仏閣より、地元の人が暮らしている路地裏を散策するのがとても面白い」と満足そうな様子。まいまい京都は平成23年3月、「ひと味違う京都の魅力を紹介したい」と市民団体が立ち上げた。「まいまい」とは、うろうろする、という意味の京言葉。
町家大工の棟梁(とうりょう)や呉服店の店主、花街の芸妓(げいこ)、占い師…などバラエティーに富んだ住民ガイド約100人が、銭湯のタイル絵鑑賞や神社のこま犬巡りなどユニークなツアーを率いている。参加費は1500円からで、キャンセル待ちも出る人気だ。事務局の阿比留優子さんは「住民が郷土愛を持って、隅々まで案内しています。知られざる京都の暮らしや見どころを堪能してほしい」と話す。
曼殊院の勅使門
新緑がお寺の壁に映える。皆さん、本当に写真がお好きだ
■長崎からブーム
まち歩きは、北海道から沖縄まで全国で広がりを見せている。ブームの火付け役となったのが、18年に長崎市が開催した日本初のまち歩き博覧会「長崎さるく博」だ。日常そのままの長崎のまちを歩くことに徹し、博覧会期間中の7カ月間で参加者が延べ約1千万人を超える大成功を収めた。以後、住民ガイドのまち歩きツアー「長崎さるく」として定着。落ち込んでいた観光客数の回復にもつながったという。
長崎さるく博のコーディネート・プロデューサーを務め、「まち歩きが観光を変える」(学芸出版社)の著書がある茶谷(ちゃたに)幸治さんは、観光が従来の「名所旧跡、温泉、宴会、観光バス」といったパターンから、「知る、学ぶ、交流する」ことを重視するスタイルへと変化しているという。「まちを歩いて、独自の文化や生活を知り、住民と触れ合う面白さがあります。お金をかけずに楽しめる知的なまち歩きがブームとなるのは、社会が成熟してきた証しなのかもしれません」と話している。
雲母漬(きららづけ)老舗「穂野出(ほので)」。前の坂は雲母坂(土に雲母が含まれていることから)
要は小ナスの白味噌漬である
■全国約250カ所で開催
茶谷さんによると、全国の約250の地域でまち歩きが開催されているという。「大阪あそ歩(ぼ)」(大阪市)は一般社団法人・大阪あそ歩委員会が運営。レトロな街並みが残る大阪・中崎町の路地裏をたどるツアーなどを開催。春季(3月末~6月初旬)だけでも約100のコースを用意している。
宮本武蔵が吉岡一門数十人と決闘を行ったという「一乗寺下(さが)り松」。大楠公戦陣蹟碑(足利尊氏と戦った楠木正成の陣所跡)も建つ
東京都練馬区観光協会の「ねりまのねり歩き」は、石神井公園周辺の歴史を楽しむコースなど毎年春と秋に開催。新潟市の「新潟シティガイド」は、市が養成したガイドが案内。北前船の寄港で栄えた港町の様子を伝えるツアーなどが人気という。
「まいまい京都」のツアーは、奈良で我々がやっていてるツアー(史跡探訪など)とはコンセプトが全く違う。特徴を列挙すると、
1.ガイドさんの平均年齢が若い
2.「一芸に秀でた」ガイドさんが多い(住職、宮司、芸妓、占い師、職人さん etc.)
3.お客さんに若い女性が多い
4.ガイド料が高い(通常は@200~500円程度、ここは半日で@3,000円・1日@6,000円程度)
5.参加者数を絞っている(15人程度。通常はもっと多く、20人に1人程度のガイドをつける)
6.インターネットで集客・連絡もEメール
7.ガイド内容が楽しくて、分かりやすい
8.だから人気が高く、ツアーはすぐに満杯になりキャンセル待ちが続出する
1.と3.は連動しているのだろう。やはりガイドさんが高齢者だと、お客も高齢者が主体になる。私は神戸市内や富岡製糸場(群馬県富岡市)でもガイドツアーに参加したが、いずれもシニアで、こんなに若いガイドさんは、あまり見たことがない(最近はバスガイドもアラ還が多い)。
4.と5.も連動している。ガイド料が高いから、少人数のツアーができるのだ。6.も、客層が若いからすべてインターネット経由としてもクレームが来ないのだ。
新幹線が停まり入り込み客数が多く、また約150万人もの人口を擁する京都市ならではのビジネスモデル、と言ってしまえばそれまでだが、奈良県でも、集客力があり鉄道などの便の良いところでは、このようなツアーができそうだ。いちど「お試し」でやってみようかな!?