tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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正暦寺(奈良市菩提山町)は 清酒の発祥地/毎日新聞「ディスカバー!奈良」第94回

2018年12月09日 | ディスカバー!奈良(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「ディスカバー!奈良」を連載している。先週(12/6)掲載されたのは、私が書いた「菩提酛清酒祭(ぼだいもとせいしゅさい)奈良市の正暦寺(しょうりゃくじ)」だった。
※写真は、2018年1月8日の菩提酛清酒祭の様子



このお祭り、次回(2019年)は1月12日(土)に開催される(毎年1月上旬の土日祝日)。ちょうど今は「日本酒文化および清酒発祥の地」として、日本遺産申請を準備しているところなので、このムードを盛り上げようと書かせていただいた(申請の締切は1月下旬)。



よく「日本酒の発祥は?」と聞かれるが、それはよく分からない。『世界大百科事典』の「清酒」を引いても

米と米こうじと水を主原料として醸造した日本固有の酒。明治以降,各種外来酒の国産化が始まってから,一般に日本酒とも呼ばれている。

来歴 《播磨国風土記》にはカビの生えた乾飯(かれいい)で酒をかもしたという伝承が記載されており,日本では8世紀初頭すでに酒造にこうじが用いられていたことをうかがわせる。古来,酒造の神として信仰を集めてきたのは奈良県桜井市の大神(おおみわ)神社,京都市の梅宮(うめのみや)大社,松尾(まつのお)大社の3社であった。



お祭りの見物客には、かす汁や餅が振舞われる

という記載にとどまる。もとは濁り酒だったが、室町時代、正暦寺で澄み酒(清酒)が初めて造られた。それは古文書(『御酒之日記』『童蒙(どうもう)酒造記』『多聞院日記』など)で確認できる歴史的事実である。しかも大神神社には酒の神さまが鎮座するのだ(記紀伝承などによる)。これらをひっくるめて日本遺産を申請する予定なのである。では最後に記事全文を紹介する。


境内には「日本清酒発祥之地」の碑が建つ

清酒の原型は室町時代の嘉吉年間(1441~44)、奈良市菩提山(ぼだいせん)町の正暦寺(しょうりゃくじ)で初めて造られました。ここで創案された「菩提酛(もと)」は、現在の酒母(酵母を大量に含むアルコール発酵のもと)の原型です。麹用(こうじ)の米と蒸し米の両方に精白米を使う「諸白(もろはく)造り」も、この寺で始まりました。

「菩提酛造り」は長い間廃れていましたが、ちょうど20年前の1998(平成10)年、奈良県菩提酛による清酒製造研究会がこれを復活。毎年1月上旬には正暦寺で菩提酛清酒祭が行われ、ここの酒母を酒造メーカーが持ち帰ってお酒に仕上げます。そのため正暦寺は全国の寺で初めて「酒母製造免許」を取得しました。来年の清酒祭は1月12日です。

(メモ)西名阪自動車道天理インターチェンジから国道169号を奈良方面に北上。約10分走り窪之庄南交差点(右脇に正暦寺の看板)を山側に右折し、道なりに4㌔。紅葉の季節以外はバスの運行がありません。車かタクシーをご利用ください(奈良まほろばソムリエの会 専務理事 鉄田憲男)。


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