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昨夜(4/1)、当ブログ読者の「あをによし南都」さんから、特ダネ情報をいただいた。《すごい統計が発表されたようです。やはり奈良は日本の奈良でなく世界級の奈良ですね。奈良国立博物館の西山さんがTV出演で強調されていた「世界トップクラス」はまさにここで証明されているのですね》。
彼が添付してくれたYahoo!ニュースによると《[ロンドン 31日 ロイター] 2009年に世界各地の美術館で開かれた特別展の1日当たりの来場者数調査で、日本の展示会が1位から4位を独占したことが分かった。英アート情報誌「The Art Newspaper」が発表した》。「アート・ニューズペーパー」誌がつけた見出しは、「日本の名宝が、奈良と東京の驚異的な数の群集を動員」、リードは「本誌常連読者は、日本の展示が再び主要展示会に関する本誌年間調査でトップに立つという場面に、驚くこともなく出くわすだろう」だった。
《それによると、1位は東京国立博物館の「国宝 阿修羅展」で、1日当たりの来場者数は1万5960人。2位は奈良国立博物館の「正倉院展」で同14965人。3位には同9473人で東京国立博物館の「皇室の名宝―日本美の華」、4位は同9267人で国立西洋美術館の「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」が入った。ほかにも、国立新美術館の「THE ハプスブルク」が同5609人で10位に入り、ベスト10のうち半分を日本の展示会が占めた》。
http://d.hatena.ne.jp/utako1265alighieri/20100401/p1
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「アート・ニューズペーパー」誌発表のベスト4を並べてみると、
順位・作品展・会場名
1位 国宝 阿修羅展 東京国立博物館
2位 正倉院展 奈良国立博物館
3位 皇室の名宝―日本美の華 東京国立博物館(正倉院宝物&春日権現絵巻など)
4位 ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 国立西洋美術館
と、確かに奈良の名宝が世界1~3位を独占している。朝日新聞も、早速《阿修羅展、入場者数で世界1位 英誌が09年調査》《美術専門の英・月刊誌「アート・ニューズペーパー」4月号が、2009年の展覧会入場者数ランキングの1位は東京国立博物館で開催された「国宝 阿修羅展」(朝日新聞社など主催)だったと発表した。1日当たりの平均入場者数を比べたもので、上位4位を日本の展覧会が占めた》(4/1 21:48配信)と、ロイターの記事を紹介している。
http://www.asahi.com/culture/update/0401/TKY201004010388.html
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奈良がベスト3を独占とは、過去に例を見ない快挙である。私はよく「奈良は文化財の宝庫なのに、『倉庫』になり下がっている」と申し上げているが、ひとたび倉庫から取り出し、しかるべき場所で展示し、ちゃんとPRすれば、これだけの数のファンを引きつけるのである。
以前、これも「あをによし南都」さんに教えていただいた「秘密のケンミンSHOW『奈良の明日を考える』」で、《平城遷都1300年を迎えた奈良県。関東をはじめ全国的にはリスペクトされているのに、どうやら関西では事情が違うらしい!? どうして関西とほかの地域ではイメージにギャップがあるのか?》(番組HP)という話があったが、国際的に比較しても、奈良の名宝はこんなに評価されていたのだ!
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e1526829cfc65e076b27b0f774f103c8
今更ながら、奈良のポテンシャルの高さには驚かされる。平城遷都1300年祭を機会に、この素晴らしい奈良を全国、いや全世界にアピールしていきたいものだ。
京都の東山区など観光推進賛成が半分、残りは反対だそうな。観光に生活を依存している人の構成比が高ければ、観光依存だから行政もそれに絞れる。しかしただのサラリーマン住民も多い。行政の主眼を観光開発に絞れない。東山区のただの市民にとっては観光客の万来は迷惑なのだ。ハイシーズンには外にも出られない。
奈良博には、正倉院展のあり方について展望を示してほしい、興福寺は「貧者の一灯」を呼びかけてほしい。遷都祭は当然、一過性のものに過ぎない。廃墟の奈良が美しいのだ。「成長神話」はいらない、「持続」こそが望ましい。
薬師寺の再建は「写経運動」が支えた。
阿修羅の人気は凄いです。未だに阿修羅を見に宿泊される方も数多いです。無論それだけを目的とされている訳では有りませんが・・。
東京と云う、最大人口の所での展示で有ったと云う事に成功の秘訣が有る訳ですが、私がもう10年以上前に、奈良市観光協会の出張宣伝で、東京駅八重洲コンコースで、喜光寺の行基像のレプリカを展示していた時の事です。
FRP製で・・とは云っても、忠実に再現しているのですが、所詮はレプリカ。持って行った我々は、「こんなモン」と云う位の感覚だったのですが、この像の前が、黒山の人だかりができる訳です。
で、分析なのですが、東京では、斯様な展示は人気が有る訳で、これは昨日・今日始まった訳では無い訳です。行基像でこの状態な訳ですから、阿修羅などの一級品を展示するとなれば、推して知るべしです。
一大人口の所でウケると、あとは銀座4丁目理論。一番上から球を転がすと、どこまでも行く、と云う事で、あちこちで話題になっていきます。
ディズニーが大成功しているのも、これと同様な条件が有って、東京と云う巨大市場の横だからこそ、これだけの集客もある訳です。これに対して、ハウステンボスは相当なハンディーを背負っています。
tetsudaさんも良くご存じの方に、「阿修羅さんは、東京と九州に営業に出られた」と説明しますと、既に、このフレーズが著書に載っていました。
営業的には、大成功だったと感じます。なぜなら、いつでも見られた仏さんが、こんなにも話題になった訳ですから・・・・
ご意見が2つに割れましたね。まず鹿鳴人さんと金田さん。
> 奈良は1級です。それをどのように生かして、きて
> いただくか、この平城遷都1300年を一過性のもので
> おわらせず、奈良の未来のために考えるべきだと思います。
ポスト1300年に向けて、良いお手本ができたと思います。奈良には「お宝」が眠っています。要は「見せ方」だということが分かったわけです。今日から「大遣唐使展」が始まりますし(今度は読売新聞です。朝読戦争の奈良版ですね)、NHKドラマ「大仏開眼」も今日と来週の放送です。反響が楽しみです。
http://kentoushi.exh.jp/
> 阿修羅の人気は凄いです。未だに阿修羅を見に宿泊される方も数多いです。
興福寺国宝館は、とても見やすくなりました。明るくてガラスケースなしで、阿修羅さんは輝いて見えます。「待ち時間ゼロで、阿修羅さんに会えますよ」と、もっとPRすべきです。
> 行基像のレプリカを展示していた時の事です。
> この像の前が、黒山の人だかりができる訳です。
私も東京国立博物館で、薬師寺聖観音さんのレプリカ(精巧な木彫)の前に人だかりができているのを目にしました。東京人の文化水準は、相当高いです。
> 営業的には、大成功だったと感じます。
中金堂再建事業に、拍車がかかりますね。
畳薦さん。
> 大衆の付和雷同性の表現に過ぎない。マスコミ動員に流されるばかり。
江戸時代にも「出開帳」はありました。興福寺仮金堂での「お堂で見る阿修羅」は、やや過剰フィーバーのきらいがありますが、東京と九州の人たちは、喜んで行列に並ばれたのではないでしょうか。
> 興福寺は「貧者の一灯」を呼びかけてほしい。
一枚千円の瓦勧進や一組(2枚)2千円の散華写経を呼びかけておられます。
> 薬師寺の再建は「写経運動」が支えた。
当時の薬師寺には、高田好胤師というスーパー営業マンがおられました。「マスコミ坊主」などと陰口をたたかれながら、全国各地を遊説行脚し、浄財をお集めになりました。阿修羅さんが東京と九州に営業(出開帳)に行かれたのと、同じ構図ではないでしょうか。
しかしだからといって奈良の観光戦略を抑制すべきなんて全然思いません。
観光客が殺到するならそれに合わせた施策(パーク&ライド、バスのEV化、中心部クルマ乗り入れ規制など)で対処するばいいわけで。
ですからなるべくクルマなどは乗らないようにしていますし、市内の移動は基本的に徒歩かバスにしています。
国家の礎として運営されていた奈良の大寺をこの人口の少ない奈良という地域と他地域との比較で少ない観光収入ではまともにメンテできるものとは思えません。
超越されておられた高田好胤師やかつての重源でない限り朽ち果てつつある堂宇を維持、復興することなど極めて困難かと。
その点今回の興福寺さんのお取組みは素晴らしかったと思います。まさにプロデュース力が素晴らしかったです。
それでも中金堂の復興への道のりはまだまだ遠く現実は厳しいようです。
奈良時代からの多くの寺院には江戸幕府体制下で進んだ檀家制度がなく、観光客と一部の地元民の篤志、国のわずかな文化財支援予算で支えられているようなものです。イベントで国民を啓蒙、啓発し、美術品・仏教文化財を支えるというのは至極もっともな取り組みだと思います。
何もしなければあの巨大な奈良の伽藍は朽ち果てていくだけでそうなれば世界でも稀有な奈良という地域の歴史文化都市の価値が損なわれると思います。
ついでにいえば日本国民の家計に滞留している1000兆円超市場の金融資産のことを考えればこのようなイベントで動く資金など誤差の範囲で、それくらいの富の移転が歴史文化都市奈良に向かうのは国民の民度からして当然と云えば当然でしょう。
興福寺でしたら中金堂だけでなく、南大門も必要でしょうし、東大寺なら本来伽藍としてなくてはならない塔など復興できていません。祈りの町、世界級の歴史文化都市奈良が取り組まないといけない課題はまだまだ大きいと思われます。
そのためには人口集中地域、首都圏での啓蒙活動、素晴らしい奈良の持つ世界級の宝に気づいてもらうという行為、イベントは持続させていかないといけないでしょう。
> ハイシーズンになって観光客が殺到すると生活が不便になる地域です。
> しかしだからといって奈良の観光戦略を抑制すべきなんて全然思いません。
ならまちの住民も、最近までは観光客が増えることに対しては慎重意見が大勢でしたが、次第に変化してきました。観光客が増えることで、町への誇りが募ってきたのではないでしょうか。
> イベントで国民を啓蒙、啓発し、美術・仏教文化財を支えると
> いうのは至極もっともな取り組みだと思います。何もしなければあの
> 巨大な奈良の伽藍は朽ち果てていくだけでそうなれば世界でも稀有な
> 奈良という地域の歴史文化都市の価値が損なわれると思います。
畳薦さんは《廃墟の奈良が美しいのだ。「成長神話」はいらない》とお書きでした。志賀直哉も「奈良は、名画の残欠が美しいように美しい」と書きましたが、それらはよほど奈良に精通した人の感慨です。たいていの人にとって、朽ちた伽藍や廃墟は、美しくは見えないものです。
> 祈りの町、世界級の歴史文化都市奈良が取り組ま
> ないといけない課題はまだまだ大きいと思われます。
4/2に東大寺は、室町時代に焼失した高さ約100メートルの東塔の再建構想を発表し、話題になりました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20100403-OYT1T00241.htm
「奈良は燦然と輝く都だった」という歴史的事実を思い起こすモニュメントとして、意義のある構想だと思います。
ここ数年で一番嬉しいニュースです。
東大寺さん勧進たいへんですが奈良市民としてしっかりサポートしたいですね。
新「国宝館」、まだ参観できていない。今週行けるかもしれない。エアコンもなく、噂では、旧帝室博物館時代のケースに入っていた阿修羅像が新展示法で見られるのは悪くはない。
旧館の隅の方に忘れられたように瓦寄進の呼びかけと、寄金箱があった。あれはどうなっているだろう。薬師寺では、マスコミ坊主がきっかけでたくさんの「写経」が奉納・保管されている。これは信仰の力だと思いたい。
東大寺七重塔の復元事業、その前に東塔跡、西塔跡に小さな案内表示を立ててほしい、西塔跡の駐車場も何とかならないか?
> 東大寺七重塔の復元事業、その前に東塔跡、西塔跡に小さな
> 案内標示を立ててほしい、西塔跡の駐車場も何とかならないか?
それは私も同感です。近畿文化会で連れて行ってもらうまで、塔跡とは知りませんでした。浮見堂の周辺にも興福寺の塔頭跡がたくさんあるのに、標示がないので気づきません。このあたりの「見せ方」が、まだまだですね。
運慶も石川麻呂も喜んでいるだろう。エアコンを入れずにサーキュレーターが入ったようだ(?)。まあ見識か。瓦寄進もコーナーが作られ、寄付場所も明記されていた。これで貧者も安心できる。