奈良新聞「明風清音」欄に月1~2回、寄稿している。この木曜日(2021.3.18)に掲載されたのは「奈良万葉の旅百首」、2月末に発刊されたばかりの書籍の紹介である。おかげさまで本書は順調に売れ行きを伸ばしている。本書編集者の加藤なほさんは、版元のFacebookに「もう2度とこんな本は作れないんじゃないかと思うくらい、スゴい本になりました」とお書きになっている。
※トップ写真は奈良新聞本社で3/10撮影。中央は同社の田中篤則社長、右は豊田敏雄理事長
この本を手にされたKさんからは「万葉集を勉強しようと思って読み始める本というより、万葉集に興味がなくても気軽に手に取れて、そのうち万葉集が好きなるという本ですね」というコメントをいただき、思わず膝を打った。「万葉集のような古典は苦手」という人にこそ、気軽に手に取っていただきたい本である。では全文を紹介する。
ことし2月末、奈良まほろばソムリエの会は京阪奈情報教育出版から『奈良万葉の旅百首』(税込み1100円)を刊行した。4月に迎える当会の設立十周年を記念して制作したものである。当会としては、『奈良「地理・地名・地図」の謎』『奈良の隠れ名所』(いずれも実業之日本社刊)、『奈良百寺巡礼』(京阪奈情報教育出版刊)に続く4冊目の著作となる。
本書は当会会員60人が分担して執筆し、5人の会員(編集委員)と加藤なほさん(京阪奈情報教育出版)が編集・校閲、上野誠氏(奈良大学文学部教授)に監修していただいた。上野氏からは「ワインをたしなむには、ワイン通に聞くのがよい。この本は、奈良通が、奈良万葉のウンチクを語る本です。じつに、滋味豊か――。感服しました」というキャッチコピーも頂戴した。
おかげさまで本書は、啓林堂書店奈良店(近鉄奈良駅前)の「一般書部門ベスト5」のベスト1位を独走している。額田王(ぬかたのおおきみ)と大和三山をあしらったカバーも、とても評判がいい。絵本画家なかじまゆたかさんのイラストをもとに、千田淳さん(センダデザイン代表)にデザインしていただいたものだ。コピーの「ワイン」にちなみ、ワインレッドを基調としている。
本書コンセプトは「この本を携えて、現地を訪ねてもらおう」。万葉びとが見たであろう風景を眺め、歩いたであろう道をたどってもらいたいという思いで制作した。そのため地図をつけ、交通手段も詳しく記載し、持ち歩きに便利な新書サイズとした(全288ページ)。
本書「推薦のことば」に岡本三千代さん(犬養万葉記念館館長)は、「地図や歌碑が紹介されたり、現地を訪ねるために掲載された情報がとてもきめ細やかで(中略)県内の散策を多角的に楽しめる貴重なガイドブックになっています」とお書きくださった。基本的に1首を見開き2ページで紹介し、巻頭には代表的なスポット24ヵ所のカラー画像を掲載した。
特徴の1つは、漢字のみで書かれた歌の「原文」を載せたこと。万葉の時代にはまだ平仮名がなかったので、漢字を借りて書き記していたのである。巻末の「万葉集の基礎知識」で詳しく解説しているが、例えば「牛鳴」と書いて「む」と読ませる。これは牛の鳴き声「ムー」から来ている(今は「モー」だが)。
本書の制作にあたっては、イオングループのご寄付による「奈良の文化遺産やまちなみの保全事業」をテーマとした「奈良県地域貢献サポート基金」(県文化・教育・くらし創造部青少年・社会活動推進課)から助成を受けた。同課からは「歴史のある奈良の魅力が伝わる本を制作していただくことで、多くの皆さまに関心を寄せていただき、奈良を訪れていただくきっかけになることを期待しています」というコメントもいただいた。
奈良県民のなかには万葉集にまるで関心を持たない人がいて、とても残念に思っている。しかし万葉集に登場する地名は延べ約2900、うち奈良県の地名は延べ約900とほぼ3分の1を占めるのである。しかも県内に立つ万葉歌碑も、200基以上にのぼる。いよいよこれから行楽シーズンが到来する。ぜひ本書をポケットに入れ、万葉集のゆかり地や歌碑を巡っていただきたい。当会では万葉集をテーマにした講演会も企画しているので皆さん、お楽しみに!(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)
※トップ写真は奈良新聞本社で3/10撮影。中央は同社の田中篤則社長、右は豊田敏雄理事長
この本を手にされたKさんからは「万葉集を勉強しようと思って読み始める本というより、万葉集に興味がなくても気軽に手に取れて、そのうち万葉集が好きなるという本ですね」というコメントをいただき、思わず膝を打った。「万葉集のような古典は苦手」という人にこそ、気軽に手に取っていただきたい本である。では全文を紹介する。
ことし2月末、奈良まほろばソムリエの会は京阪奈情報教育出版から『奈良万葉の旅百首』(税込み1100円)を刊行した。4月に迎える当会の設立十周年を記念して制作したものである。当会としては、『奈良「地理・地名・地図」の謎』『奈良の隠れ名所』(いずれも実業之日本社刊)、『奈良百寺巡礼』(京阪奈情報教育出版刊)に続く4冊目の著作となる。
本書は当会会員60人が分担して執筆し、5人の会員(編集委員)と加藤なほさん(京阪奈情報教育出版)が編集・校閲、上野誠氏(奈良大学文学部教授)に監修していただいた。上野氏からは「ワインをたしなむには、ワイン通に聞くのがよい。この本は、奈良通が、奈良万葉のウンチクを語る本です。じつに、滋味豊か――。感服しました」というキャッチコピーも頂戴した。
おかげさまで本書は、啓林堂書店奈良店(近鉄奈良駅前)の「一般書部門ベスト5」のベスト1位を独走している。額田王(ぬかたのおおきみ)と大和三山をあしらったカバーも、とても評判がいい。絵本画家なかじまゆたかさんのイラストをもとに、千田淳さん(センダデザイン代表)にデザインしていただいたものだ。コピーの「ワイン」にちなみ、ワインレッドを基調としている。
本書コンセプトは「この本を携えて、現地を訪ねてもらおう」。万葉びとが見たであろう風景を眺め、歩いたであろう道をたどってもらいたいという思いで制作した。そのため地図をつけ、交通手段も詳しく記載し、持ち歩きに便利な新書サイズとした(全288ページ)。
本書「推薦のことば」に岡本三千代さん(犬養万葉記念館館長)は、「地図や歌碑が紹介されたり、現地を訪ねるために掲載された情報がとてもきめ細やかで(中略)県内の散策を多角的に楽しめる貴重なガイドブックになっています」とお書きくださった。基本的に1首を見開き2ページで紹介し、巻頭には代表的なスポット24ヵ所のカラー画像を掲載した。
特徴の1つは、漢字のみで書かれた歌の「原文」を載せたこと。万葉の時代にはまだ平仮名がなかったので、漢字を借りて書き記していたのである。巻末の「万葉集の基礎知識」で詳しく解説しているが、例えば「牛鳴」と書いて「む」と読ませる。これは牛の鳴き声「ムー」から来ている(今は「モー」だが)。
本書の制作にあたっては、イオングループのご寄付による「奈良の文化遺産やまちなみの保全事業」をテーマとした「奈良県地域貢献サポート基金」(県文化・教育・くらし創造部青少年・社会活動推進課)から助成を受けた。同課からは「歴史のある奈良の魅力が伝わる本を制作していただくことで、多くの皆さまに関心を寄せていただき、奈良を訪れていただくきっかけになることを期待しています」というコメントもいただいた。
奈良県民のなかには万葉集にまるで関心を持たない人がいて、とても残念に思っている。しかし万葉集に登場する地名は延べ約2900、うち奈良県の地名は延べ約900とほぼ3分の1を占めるのである。しかも県内に立つ万葉歌碑も、200基以上にのぼる。いよいよこれから行楽シーズンが到来する。ぜひ本書をポケットに入れ、万葉集のゆかり地や歌碑を巡っていただきたい。当会では万葉集をテーマにした講演会も企画しているので皆さん、お楽しみに!(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)
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