tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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同時進行!平城遷都1300年(13)

2008年10月30日 | 平城遷都1300年祭
今朝(10/30)の新聞各紙に、10/29に発表された「平城遷都1300年祭 事業計画(素案)」に関する記事が掲載された。大筋は春に発表された基本計画のとおりだが、各種イベントの詳細内容や実施時期がハッキリと示され、収支計画や経済波及効果が明らかにされた。

この素案と、前回「同時進行!平城遷都1300年(12)」(08.4.26付)以降の主な動きを、私の新聞スクラップ帖からピックアップして紹介することにしたい。
※同時進行!平城遷都1300年(12)(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ee5a845be5128e525d0d4fc1be56dc93

主催団体である平城遷都1300年記念事業協会の第4回理事会で「平城遷都1300年祭 実施基本計画」が承認された(08.4.15)。 概要は同協会のHPに詳しいが、要するに、1.平城宮跡事業、2.県内各地事業、3.関連広域事業、4.事前展開事業の4つのジャンルに分けて事業を展開するということだ。特に私が注目したのは「2.県内各地事業」で春秋に予定している「各社寺における秘宝秘仏特別公開、特別講話」である(HPの「実施基本計画」[全体]のP10~11に掲載)。
http://www.1300.jp/jigyou/2008/04/1300.html

この「特別公開」は、9/17になって、奈良日日新聞に詳細が報じられた。《約50の社寺で国宝・重文などの秘宝・秘仏の特別公開を予定。来年秋に北和地域でプレ特別公開を行った後、平成22年は冬季(1~4月頃)に中和地域、春季(4~6月頃)に県内各地、夏季(7~9月ごろ)に南和地域、秋季(9~11月ごろ)に県内各地で順次、特別公開を開く。創建以来初公開のものも含むかつてない試みで、美術・歴史ファンらの期待に応える》という。10/29発表の「事業計画(素案)」の概要版を見せてもらったが、ここにも盛り込まれていた。

興福寺南円堂で特別公開された観音さまに感動したから言うのではないが、このような形で来県客にサービスができるというのは、とても意義のあることだ。私も楽しみにしている。

6/1~30、平城遷都1300年記念事業協会は、1300年祭に向けた応援団(1300人の応援団)を募集した。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/50c039f7fb14effcc5ff26a3310129f2

1300人の応募に対し、締め切り間際の記念事業協会の勧誘活動が功を奏し、1600人の応募者があり、めでたく全員当選となった。
http://www.1300.jp/news/2008/07/1300-1.html

応援団の決起集会として、8/19には平城遷都1300年祭〈500日前〉Startingイベントが行われた。
http://www.1300.jp/ivent/2008/07/1300500.html


荒井知事、せんとくん、ミス奈良の木村智子さん(8/19)

8/20付の奈良新聞によると《1300年祭の始まりを告げる平成22年1月1日から数えて500日前となる19日、「1300年祭500日前スターティングイベント」が奈良市内などで始まった。メーンイベントのほか、記念事業協会の公式キャラクター「せんとくん」の着ぐるみ発表や残日計除幕式、1300年祭応援団結団式、奈良おいしいもん・楽しいもん露店出店、燈花会などが行われた。以後約1カ月間、県内各地でさまざまなイベントが繰り広げられる》。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080820/all080820a.shtml



ここで、にわかに暗雲が立ちこめた。2010年の開業をめざし、奈良市がJR奈良駅西側の市所有地に誘致したホテル事業(コートヤード・バイ・マリオットの誘致)で、市が契約した不動産管理会社・ゼファーが7/18、民事再生法の適用を申請した。市の幹部は「2010年春のオープンに影響を与える可能性は否定できない」などというノー天気なコメントを発表していたが、こんな事態で開業などできるはずがない。結局現時点(10/30)でも、事業継承先は見つかっていない。
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/nara/080923/nar0809230319002-n1.htm

7/30、国交省は、宮跡内を横切る近鉄奈良線や県道、市道を宮跡の外へ移設することを柱とする基本計画を発表した。移設前の経過措置として、1300年祭には宮跡内に近鉄の踏切を新設し、通路を確保する案を盛り込んだ。
http://www.asuka-park.go.jp/arekore/heijo/committee-3.html

8/18の産経新聞夕刊(大阪本社版)1面に、面白いスクープが載った。見出しは《平城遷都1300年祭 PR懸垂幕 奈良県も市も掲示せんといて》。1300年協会が祭りをPRする横断幕の掲示を県と市に頼んだのに《「造形美にふさわしくない」などの理由で断られていたことが18日、分かった。(中略) 協会関係者は、予想外の展開に、「どちらも身内なんですが…」と困惑している》。他の県内38市町村はOKだったから、お膝元の身内だけに裏切られた格好だ。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080818/trd0808181436007-n1.htm

この報道と反響に驚いて、8/19には荒井知事も藤原市長も承諾の意向を明らかにした。どうやら係レベルで対応していて、知事や市長に情報は届いていなかった様子だ。それにしても空気の読めない職員がいたものだ。役所内でのチェックが効いていないのも、お粗末。

9/2付の読売新聞に「第31回読売関西フォーラム(下)関西観光、新ビジョン」という特集記事が載った。奈良県の動きとして、1300年祭を控え、荒井知事の中国(1月)・韓国(6月)訪問、1300年祭を紹介する中国語・韓国語パンフレットの制作、両国旅行会社商品企画担当者の招聘(7、8月)の話などが紹介されていた。


朱雀門(9/2撮影)

9/4、県は11月に発行するミニ公募債「第7回まほろば奈良県債」で、百万円以上の購入者に、「せんとくん」の携帯電話クリーナー(キーホルダーのような形をしている)をプレゼントすると発表した。せんとくん効果の甲斐あってか、この債券は、募集初日の10/22に完売した。
http://www.pref.nara.jp/koho/hodo/h20/html/012500-081022180010_M14124.html

9/10、県は大型ホテルの誘致事業を断念した。奈良新聞(9/11付)によると《奈良市三条大路一丁目の県営プール跡地に予定されている大型ホテルの誘致事業で、県は10日、事業計画の提案があった1事業者について審査委員会で審査した結果「不採択とした」と発表した。あらためて再募集を予定している。新ホテルオープンは当初予定の平城遷都1300年祭中ではなく、その後の平成23年中となる》。

荒井知事は《「サブプライムローン問題などで不動産市況が低迷するなど、厳しい経済情勢にあるが、引き続きホテル誘致に取り組むこととし、再募集を実施する」と述べた》。なお県のホテル誘致は、奈良市が進めているJR奈良駅西側のホテル誘致とは別の話なので、混同されないように。
http://www.nara-np.co.jp/n_soc/080911/soc080911a.shtml


平城宮の基壇跡(9/2撮影)

9/11、1300年協会は、平城宮跡の整備計画を発表した。新聞によると《宮跡内を6ブロックに分け、電動のトラムやカートで移動。遺構への影響をなくすため、各種施設はテント形式の簡易なものにする。将来は国営公園として国が整備することから、整備は小規模にとどめる》(9/11付朝日新聞)。
http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200809110064.html
 
《6ブロックは、文化庁が復元を進めている第1次大極殿(だいごくでん)正殿南側の「南門前広場」▽衛士(えじ)交代などの古代行事の催しをする「朱雀門広場」▽「ターミナル広場」など。催しや物販用の施設は、宮跡に盛り土をしてパビリオンを建てることも検討されたが、荷重がかからないテント形式にした。遷都祭終了後に撤去する。各ブロックで、奈良時代の暮らしを体験するイベントや、シルクロードにゆかりのある各国の文化を紹介する展示会などを開く。遷都祭の総事業費は約100億円。期間中、約200万人の来場を見込んでいる》(同)。

しかも協会のHPには《仮設建築物については、木組みや格子などを取り入れ、「木」のもつ美しさを活用するとともに、周辺の歴史的景観との調和に配慮する》と出ている。木材は県産材を使用するそうだから、県下林材業活性化のため、とても有り難い話だ。
http://www.1300.jp/news/2008/09/1300-3.html


平城遷都1300年祭コーナー(10/27 奈良ビブレ4階)

地元シンクタンクである(財)南都経済センターは、同センターの月報9月号で、「首都圏在住者の観光の動向と奈良県への観光に関する調査」の結果を発表した。その中に、1300年祭と「せんとくん」の認知度を問う質問があったことから、マスコミが飛びついた。

「1300年祭」の認知度は、1.名前は知っている49.1%、2.知らない43.8%、3.ある程度の内容を知っている7.1% 。しかし祭りの「マスコットキャラクター」については、1.せんとくんを知っている75.6%、2.まんとくんを知っている51.8% 

祭りへの「興味」と「参加予定」は、1.興味なし39.6%、2.興味あり38.0%。
1.参加予定なし82.0%、2.わからない8.3%、3.行く予定8.3%、と、キャラクター以外は心許ない結果であった。
※観光地奈良の勝ち残り戦略(18)首都圏住民の観光動向(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7323edd11210952c03a96c54e0c5377b


橿原市にも登場(8/27 橿原ロイヤルホテル)

奈良新聞によると協会は、2010年に「奈良を巡るてくてくウオーク」を企画しているそうだ。《歴史文化、自然の魅力をまるごと体験できるウオークを体系的に打ち出すことで「平成の奈良巡礼」ブームをつくり出す狙い。同協会の中山悟県内・広域事業部長は「県内市町村全域で1300年祭を盛り上げ、宿泊型のウオークイベントを売り出していきたい」と話している》(宿泊型ウオーク 「奈良巡礼ブームを」08.9.14付 奈良新聞)。

《平成22年の1300年祭期間中に集中して実施。同年のJRディスティネーションキャンペーン(4月―6月)およびマスコミや日本ウォーキング協会が進めるウォーキング国民運動と連動して話題性を高め、全国からの宿泊型ウオーク「巡礼の旅」を売り出し、「平成の奈良巡礼ブーム」を創出する。今後、各イベントごとに地元市町村やマスコミ、事業協会などでつくる実行委員会を組織し、具体的な内容をつめていく。今後イベント自体が継続的な取組みとなることを目指す》(同) 。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080914/all080914a.shtml

この話は10/29の事業計画(素案)にも盛り込まれている。「宿泊型」ということと、「継続的な取組みとなることを目指す」というところが良い。私も、ぜひ遠方の友人を誘って一緒に歩きたいと思う。

さらに9/17付奈良日日新聞には《「四神(しじん)」キーワードに 秘宝・秘仏の特別公開など 平城遷都祭の県内各地事業》という記事が1面トップに出た。

《2010年に実施する平城宮跡、県内各地、関連広域の3事業のうち、県内各地事業の概要をまとめた。中国、韓国など海外からも観光客を呼び込むため、両国とも縁のある「四神」をキーワードとし、奈良全体を四神の地として提示。県内社寺での秘宝・秘仏特別公開や市町村企画事業などで各地域が一体的に魅力を発信してもらう方針で、観光客呼び込みとともに、将来に向け奈良のブランド力のアップも目指す》。
http://www.naranichi.co.jp/20080916ne2501.html

この話も、10/29の事業計画(素案)に盛り込まれていた。協会は、各種のイベントを小出しに新聞にリークして、祭りの盛り上げを図っているようで、これはなかなかの高等戦術だ。いくらドーンと大きく計画を発表しても紙幅が限られているので、個別の社に小出しした方が、大きく掲載されるのだ。

9/19、財務省は「地方自治法施行60周年」記念貨幣について、09年度後半に発行する自治体を茨城、奈良の両県に決め、奈良県は10年に開催される「平城遷都1300年祭」をテーマにするここなった。図柄などは、県と調整するという。これは話題になりそうだ。 
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200809/2008091900459 

10/17付の新聞各紙に、協会の寄付金集めの話が一斉に載った。奈良新聞の見出しは《寄付金まだ180万円》だ。10/16の県議会で《民間から集める寄付金が話題に上がり、目標の20億円に対して、まだ180万円しか集まっていないことが明らかにされた。席上、1300年記念事業協会の中島敬介企画管理課長は「現在、個人などから寄付金180万円が集まっている」。(中略) 来年4月からは本格的に企業からの寄付・協賛金を集める予定のほか、さまざまな形で寄付金などが集まる方法を検討中であることを示して理解を求めた》 (08.10.17付 奈良新聞) 。

そして10/29の「平城遷都1300年祭 事業計画(素案)」である。私が見せてもらった概要版だけで15ページもある「素案」を記事にするのは大変だろうが、それで各紙の目の付け所がよく分かる。読売新聞(10/30付)から拾うと、

《世界的に著名なアーティストによるステージや、東アジアの首長らを招く国際会議などが開催される》《主会場と最寄り駅を結ぶシャトルバスなどを導入する》。《来場者は、関連事業を含めて1200万~1300万人とし、平城宮跡会場では250万人と想定。飲食や宿泊費などの消費が増えることで雇用が創出され、経済波及効果は県内で約750億、関西で約1100億円と試算している》。

奈良新聞(10/30)は一面トップ扱いだ。読売とはタッチが違って、見出しは《遣唐使船を復元・展示 世界初の実物大》。今朝のNHKニュースも、この船のことを紹介していた。奈良新聞には《御手洗富士夫・経団連会長を会長とし、下妻関経連会長を委員長とする財界や政界、有識者からなる「平城遷都1300年記念事業推進委員会」などの各委員会を設立。企業との協賛金などに関する覚書の締結が開始される予定だ》とある。

なお同紙には《11月4日には社団法人平城遷都1300年記念事業協会の設立総会が行われ、事業計画案が承認される》と報じられている。だから10/29発表の「事業計画(素案)」は、まだ承認されていないということだ。そのせいか、10/29の報道資料は(現時点では)協会のHPにも県のHPにも、載っていない。すでに昨夜(10/29)のニュースで報じられてたが、この調子だと、県民は(断片的な)報道から推測するほかない。せめて報道機関に提供した資料くらいは早急にHPにアップしてほしいものだ。

そもそも記念事業協会は、情報の公開が不足しているし、不親切きわまりない。今春「協会のHPにブログができる」と聞いたときは大いに期待したものだが、結局できた「職員ブログ」は当たり障りのない話題が、しかも大幅に遅れて載るだけで、コメントもトラックバックもシャットアウトしている。まるで大本営発表だ。協会の「職員」が、仕事として(勤務時間中に)書くブログなのだから、もう少し真面目に取り組んでいただきたいものだ。
http://www.1300.jp/blog/index.html

また不思議なことに、協会幹部の遷都祭に関する講話を聴いても、全くピンとこない。その理由が、やっと最近分かった。知人(編集者)が「実施基本計画」の要点をピックアップして誌面に紹介しようとすると、協会のチェックが入り、恣意的に要点を拾ってはダメで、すべての事業を網羅的に書くよう訂正を求められたという。そんなことをしているから話が総花式になり、結局、聞いても読んでも頭に入らないのだ。

私の「同時進行…」を「とても分かりやすい」と言ってくれる人が多くて、それはそれで有り難いのだが、そもそも協会がこの程度の時期ごとの「まとめ」をしてくれても、良さそうなものだ。

私は県広報広聴課が運営する電子掲示板「なら県民会議室」の「平城遷都1300年祭を成功させよう」の行方を注目している。一般市民のナマの声が現れるからだ。、皆さんも、ぜひいちどご覧いただき、書き込んでいただきたい。書き込みには登録(無料)が必要だが、それは初回だけで、とても簡単だ。
http://www.kenminconf.pref.nara.jp/top.cgi?FID=forum17

※冒頭の写真は平城宮跡。朱雀門に向けてカメラを構えていると、うまい具合に鳥が飛び立った(9/2撮影)。
コメント (5)
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