tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

観光地奈良の勝ち残り戦略(20)奈良美食倶楽部

2008年11月21日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
フジサンケイビジネスアイの「けいえい問答」(11/19付)を読んで、思わず膝を打った。見出しは《料理人が腕競う「味」な集客作戦》。有馬温泉観光協会常務理事の金井啓修(かない・ひろのぶ)氏による「有馬美食倶楽部」の話である。

《最近、温泉旅行の目的が温泉につかるということから、おいしいものを食べるということに変わってきた》。発足したばかりの有馬美食倶楽部とは《産地と提携して素材を直送してもらい、有馬の名物料理人がそれを調理して提供しようというものです。それぞれの旅館が同じ素材を使って腕を競い、お客さんに楽しんでもらおうという趣向です》(同紙)。

同倶楽部のHPには《有馬と産地の美味しい饗宴 毎回、特別提携した産地直送の新鮮な素材と有馬の名料理人たちがコラボレートする夢の企画。有馬を愛する料理人たちが、有馬を愛するお客様の為に、腕によりをかけて作る美食メニューの数々をぜひご堪能下さい》とある。


有馬温泉の名旅館「欽山」のお座敷天ぷら。アツアツでとても美味しい(07.3.10)

Webの「日経ネット」(11/15配信)にも記事が出ている。《有馬温泉観光協会はこのほど、旅館・ホテルと飲食店が一体となって産地や安全性にこだわった旬の食材を提供する「有馬美食倶楽部」を設立した》《まず浜坂町漁業協同組合(兵庫県新温泉町)と松葉ガニを直接売買する契約を結んだ。「日本海まで行かなくても、産地と同じ新鮮なカニ料理を味わってもらう」(観光協会)。新温泉町の「カニソムリエ」がカニの調理法などを指導、有馬にある約30の旅館や飲食店で松葉ガニを使ったメニューの提供を始めた》(11/15付 日経ネット)。
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news003399.html

温泉と新鮮な松葉ガニ、しかも30もの店が競うのだから、まるで「料理の鉄人・今週のテーマは松葉ガニ」だ。これは楽しい。


竹細工の実演(有馬温泉 07.3.10)

《すでにお客さんが増えている》《料理人の間からは『次は何をするのか』という声がすでに出ています》《これからいろいろアイデアを募りますが、例えば神戸ビーフとか、春の野菜と魚に焦点を当てるとか、明石のタコとか》《幻の食材を集めるのもいいし。とにかく、行ってみたい、食べてみたいという衝動に駆られるようなことをしたい》(11/19付 フジサンケイビジネスアイ)。

このアイデア、奈良県下でも応用できないだろうか。大和肉鶏(やまとにくどり)、大和牛(やまとうし)、ヤマトポーク、大和なでしこ卵(らん)は言うに及ばず、牧場飼育の猪肉(黒滝村)、吉野の鮎・アマゴ、宇陀の金ごぼう、大和芋など、素材には事欠かない。姉妹都市の小浜市(奈良市)、宮崎市(橿原市)の食材を使うという手もある。何しろ奈良時代には、全国から選りすぐりの食材が平城宮に集まったのだ。


黒滝村の猪肉(08.1.26)


猪鍋用の地元野菜(同日)

有馬美食倶楽部のミソは「同じ素材を使って腕を競い、お客さんに楽しんでもらおう」という所だ。奈良でよく聞くのは「調理人は意欲的な料理を作ろうとするが、経営者がそれを許さない」「以前著名シェフを奈良に招き、調理人を集めて講習会を開いたところ皆感心して帰ったが、その後料理は何も変わらなかった」という話だ。今も「奈良に来ても、地元食材を使った料理が出てこない」という不満の声を耳にする。

テレビの「料理の鉄人」では、アドリブで思わぬ料理が出来上がり、それが審査員を唸(うな)らせた、というシーンは何度も見たことがある。旅館や飲食店の経営者がこの企画を認め、調理人が競って腕を振るえば、きっと面白い料理が誕生することだろう。

しかも有馬では《観光協会は11月9日から6週間、毎週日曜日に近郊農家の野菜などを扱う朝市「有馬門前市」も始めた。朝楽しめるイベントをつくりだすのが狙いだ》(11/15付 日経ネット)という。 「奈良の朝」を本当に売り出したいのなら、ぜひこれも見習っていただきたいものだ。


信州・昼神温泉の朝市。とても楽しい(08.6.8)











古くからたくさんの観光客の洗礼を受けている奈良の料理人のレベルは、高いはずだ。業界がまとまれば、「奈良美食倶楽部」を作るのはそう難しいことではない。

ウデの良し悪しがハッキリと出るので、躊躇するところも出てくるかも知れない。しかし「疾風に勁草(けいそう)を知る」(=強い風が吹き天候が荒れたときにこそ、強さの真価がわかる)のたとえもある。自信がないところは、ウデを磨くか撤退するしか方法はない。旅ホ組合(奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合)あたり、これに取り組んでいただけないものだろうか。
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大和長寿道を歩く

2008年11月19日 | 奈良にこだわる
「大和長寿道」をご存じだろうか。桜井市の安倍文殊院と橿原市のおふさ観音(観音寺)を結ぶ、一直線に西に伸びる道のことだ。知恵の文殊さまのご利益でぼけ(認知症)を封じ、十一面観音さまに身体の健康を授けていただく、というお年寄りに人気のコースである。

私は11/16(日)、地元銀行の「萬葉チャリティーウォーク」に参加して歩いてきた。万葉集ゆかりの地を講師の講話を聞きながら巡る、というウォーキング・ツアーで、参加費も拝観料も無料である。



朝はあいにくの雨だった。最初に訪ねた安倍文殊院では、新しい「ジャンボ絵馬」が完成していた。約8千株のパンジーを使い、20m×25mの花壇一杯に植えられている。陰陽師・安倍晴明の誕生他であるこの寺には、若者の参拝も多いそうだ。境内の文殊院西古墳は、石室にも入ることができる。







講師の長岡玲子氏(写真=安倍文殊院内)は、「奈良あをに会万葉教室」「万葉さきさは会」などを主宰される万葉集の研究家である。長年、このウォーキングの講師を務めておられる。お話はとても分かりやすくて、いつも好評である。







この辺り(橿原市東池尻町の御厨子観音の東)に、万葉集に登場する磐余(いわれ)の池があったとされる。今は田んぼが広がっている。

大津皇子は、草壁皇子に対する謀反の罪で逮捕された。その時に歌が詠まれた(皇子は翌日に処刑された)。



大津皇子(おほつのみこ)、死を被(たまは)りし時に、磐余(いはれ)の池の堤にして涙(なみた)を流して作らす歌一首

百(もも)伝(づた)ふ 磐余(いはれ)の池に 鳴く鴨(かも)を 今日(けふ)のみ見てや 雲(くも)隠(がく)りなむ(巻3-416)







畝傍山が見えてきた。藤原京跡は、もうすぐだ。





おふさ観音は、有名な「バラの寺」。お参りのあとは、1500種類のバラを楽しんだ。



伝統のある町並みを抜けると、まもなく解散場所のJR畝傍駅だ。



安倍文殊院住職の祈祷のおかげで、雨は午前中に上がり、暑くも寒くもない快適な気候のもと、ウォーキングは無事終了した。文殊院では抹茶と茶菓子が出、お弁当の時間には熱いお茶もいただいた。ご住職の法話も、ユーモアたっぷりでとても楽しいものだった。このイベントが20年以上続くというのもうなずける。ぜひ、次回(09年5月)も参加したい。
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紅葉始まる奈良公園

2008年11月17日 | 写真
地球温暖化の影響か、近年、紅葉の時期はどんどん遅くなっているが、今年の紅葉は、意外と早い。朝夕冷え込む日が続いているので、奈良では一気に葉が色づいてきた。

新聞の「紅葉だより」で、この日(11/15)の奈良公園は「色づき始め」だったが、ナンキンハゼやイチョウは、もう見頃を迎えている。浮見堂→大仏前→正倉院→荒池→興福寺というルートを散歩してみた。



写真は浮見堂。この辺りは紅葉には早かったが、たくさんの人が訪れていた。どこからか水鳥が現れて、絵を描くおじさんを珍しそうにながめていた。







大仏前バス停近くの浮雲園地に来ると、カエデやナンキンハゼがきれいに色づいていた。この日は天気予報が外れて晴れたので観光客も多く、鹿もたっぷりせんべいにありつけたことだろう。





大仏殿回廊の西側から正倉院へ。正倉院南側の黄葉は、いつも見事だ。イチョウの下で鹿がたむろする構図は、カメラマン必撮だ。





大仏池(二ツ池)の周りも、絵になるスポットだ。たくさんの人がカンバスに向かっていた。



これは西大門跡。隣の天極堂の二階からイチョウがよく見渡せるので、食事しながら黄葉を楽しむ人も多い。









バス通りに出て、奈良ホテル北側の荒池へ。先週も訪ねた場所だが、ずいぶん紅葉が進んでいる。ナンキンハゼには、すでに散った木もあった。



これは興福寺南側(菊水楼の並び)の菩提院(興福寺の塔頭)の門前。これから真紅に色づくのが楽しみだ。そして最後に撮った写真が、冒頭のすべり坂(三条通の五重塔前)だ。

よく遠方の人から「奈良の紅葉名所はどこですか」という質問を受ける。正暦寺(奈良市菩提山町)、多武峰の談山神社(桜井市)、一言主神社(御所市)、みたらい渓谷(天川村)という世評の高い紅葉名所を挙げると、「もう少し分かりやすくて行きやすい所はありませんか」と聞き返される。そういう時は「奈良公園はいかがですか」と言うことにしている。何しろ、近鉄奈良駅から徒歩3分で公園に入れるのだ。

奈良公園周辺には、まだまだ紅葉スポットがある。私のおススメは、写真にあった正倉院南側のイチョウと、手向山八幡宮(二月堂の南)のモミジだ。桜と違って紅葉の見頃は長いので、ご都合に合わせてお訪ねいただきたい。食事とお土産は、国立博物館向かい(大仏前交差点西側)の「夢しるべ風しるべ」がおススメだ。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e949ebc60f825f141bc3770fe75557cb
コメント (7)
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そば処 觀

2008年11月15日 | グルメガイド
久しぶりに、奈良市高畑の「そば処 觀(かん)」(奈良市東大路町731)を訪ねた。秋の観光シーズンとあって、たくさんのお客が入っていた。
http://gourmet.yahoo.co.jp/0006712788/M0029000482/

ここは観光客に人気の店で、観光ガイド本などにもよく取り上げられる。試しに手元の『五木寛之の百寺巡礼ガイド版 第一巻 奈良』を開くと「そば処 觀 地元でも人気の店」というタイトルで《奈良公園の南側、高畑エリアにある、1968年創業の老舗のそば処。地元でも「そばといえば、ここ」という人が多い人気店だ。ほとんどの来店客が頼むのは、内容充実の「觀定食」》云々とある。

観光ガイド本が「地元でも人気」と書くところが面白い。われわれ地元民からすれば、「観光客に人気」と言うところだが。

確かに民芸調のお店は洒落た雰囲気なので、観光客にも受けるだろう。その雰囲気が買われて、映画『春の鐘』に登場したこともある。
http://movies.jp.msn.com/film.aspx?p_mediaid=21766

棚に並んだ1300個の古伊万里は、いつ見ても壮観だ。大地震が来たらどうなるのだろう、と心配にもなるが…。
http://zuboratarou.blog80.fc2.com/blog-entry-373.html


店は砕石町(わりいしちょう)のバス停前にある

私が訪ねた日、ふと周りを見渡すとお客はみんな観光客で、判で押したように1500円の「觀定食」を食べていた。観光ガイドブックの威力はすごい。 私は「ひやとろ」(ざるそば+とろろ=900円)を注文した。単品で頼んでもそばの量は多くないという記憶があるので、白ご飯(300円)も注文。それが冒頭の写真だ。

麺はこげ茶色の田舎風だが、ツルツルと口当たりが良い。割り箸は、香り高い吉野杉の天削箸だ。締めて1200円になるから、そばの量が少ないのを気にしなければ、わずか300円差の「觀定食」がリーズナブルだろう。

もと地元銀行員だったという親父さんは、さすがに寄る年波は隠せないが、矍鑠(かくしゃく)として店に出ておられた。

この店のように、観光客にも地元民にも人気の店は、奈良には案外少ない。地元民は(多少不便でも店が汚くても)とにかく安くて味の良い店を求めるし、観光客はガイド本に地図が載っていて、雰囲気が良い店を求めるから、重ならないのだ。しかし、とかくガイド本に載るような店は、(味と雰囲気ははそこそこだが)値段設定の高い店が多く、「奈良の食べ物は割高だ」という悪評が広がることになる。

その点「そば処 觀」は、観光客・地元民ともに満足できる店である。「觀」のおかげで、奈良観光の問題点がひとつ浮かび上がってきた。
コメント (3)
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ヤマトポークは美味しい

2008年11月13日 | グルメガイド
11/11付の産経新聞奈良版に、奈良のブランド豚肉「ヤマトポーク」試食会の記事が載っていた。記事によると、

《奈良県などの推奨で今年3月から販売されているブランド豚肉「ヤマトポーク」の販売促進をはかる初めての試食会が10日、奈良市三条本町の市男女共同参画センターで開かれ、消費者団体の関係者ら25人がヤマトポークを使った料理6品を試食。上質な脂肪が適度に入った独特の肉質が、参加者から「おいしい」「甘い」などと好評を得た》。

《ヤマトポークは、奈良県県畜産技術センターの推奨する米国原産デュロック種などを掛け合わせて開発された。飼料に菓子粉やパン粉を混ぜて飼育することなど、ブランド化には一定の条件を設けている》。

《現在は奈良や五條など2市2町の計5農家が生産し、10月末までに計764頭分を出荷。平成22年度には年間出荷量3000頭を目指しており、さらなる販売促進につなげようと、同協議会が県内の消費者団体や飲食店などの関係者を招待し、初の試食会を企画した》。

試食会は初めてのようだが、記事にあるように、販売は今年3月から始まっている。私は今年の7/30、奈良県庁6階の食堂で、冒頭写真の「ポークソテー」250円をいただいた。これにライス(M)150円と小鉢90円をセットし、締めて490円だった。

産経新聞には《フランス料理店「ル・ベンケイ」(奈良県大和郡山市)の尾川欣司オーナーシェフがヤマトポークを使い、スモークハムやトンカツ、角煮、ポークチャップなど6品を会場で調理して提供。できたての料理を次々と賞味した参加者の感想は、「脂分まで甘みがある」「やわらかい」など軒並み好評だった》とあった。中国の胡錦涛主席の昼食会を仕切った尾川氏の料理なら、さぞ美味しかったことだろう。確かにヤマトポークは、上品な甘味と豚本来の旨味がうまく調和している。これは「菓子粉やパン粉」の賜物なのだろうか。

産経が「ポークチャップ」(Pork Chop)と表記しているところが嬉しい。最近はソテー(炒め焼き)と書くことが多い。Chop(ぶった切り)は、空手チョップのChopなので、ワイルドな感じが出て良い。


先週、県庁を訪ねたついでに食堂へ行くと、ヤマトポークを使った「八宝菜」250円がメニューに出ていたので、これを選んだ。食べてみると、肉はとても柔らかくてジューシーだった。八宝菜自体の味付もいい。ここの食堂は、ウチの社食より薄味で、私には具合が良い。

これで奈良県には、大和肉鶏(やまとにくどり)、大和牛(やまとうし)、ヤマトポークの3点がすべて出揃ったことになる。最近はヤマトナデシコ七変化ならぬ「大和なでしこ卵(らん)」という県産ブランド卵も誕生した。ご飯に県産ヒノヒカリを使えば、オール奈良県特産の他人丼やカツ丼ができるわけだ。親子丼は、荒井知事の提案で、すでに県庁食堂で提供されているが、ぜひとも県産丼第2弾、第3弾をお願いしたいと思う。
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