数日前アブラゼミを初めて聞いた。ニイニイゼミ、ヒグラシ、アブラゼミと暑くなるにつれて順に声が聞こえてくる。そのあとミンミンゼミが最高の暑さを締めくくるのだろうか。
今日の里山散歩で、ふと目の前のヤマボウシの幹にアブラゼミが鳴いた。静かに近づく私に気づきながらも、何とか怖がらずにずっと鳴いていた。幼虫期間は約6年、きのう雨上がりの晩に羽化したのだろうか。
「ジジジジー」「ジージー」と、暑い夏をよりいっそう暑くするセミの声だが、その名は、油で揚げる時の音に似ているかららしい。
「長い間の土の中での生活は大変だったな」と声を掛けた。接写するファインダーに写った姿は地味だが、とても美しく感じられた。何枚も写真を撮らせてくれた。横から近づくと、蟹のように横に這ってカメラの見えない方向に移動する。なんと愛おしいことか。数週間の精一杯の生を願い別れた。