午前中は水を打った庭に出ている。庭の小さなテーブルにパラソルを広げ、パソコンを持ち出す。
数冊の本、ノートと鉛筆、横にカメラを置くと大自然の書斎と化した。
咲き誇ったサツキやバラが盛りを過ぎ、バイカウツギが咲き始めシモツケソウが風に揺れている。
アジサイの花芽も鞠のように脹らんできた。ウツギの花にトラマルハナバチが羽音を立てて潜っている。
初夏の爽やかな風にコミスジが舞い始めた。庭のユキヤナギに命をつなぐこのチョウに今年も癒やされている。
また、あちこちにタケノコがニョキニョキ伸びている。40年も前、鉢から庭の隅に下ろした黒竹がいつしか周囲に広がった。
思えば、これらすべての自然が我が家の風物詩となっている。
ペンを走らせ、空を見上げる。梅雨を控えたこの緑溢れる静寂の庭に庭に佇み、一篇の詩想を巡らせ至福の一時を過ごしている。
こんな幸せなときがいつまで続くのだろうか。 《 少し前のエッセイ 2018.6.10 》